秋も深まり、野外のファーマーズ・マーケットには着込んだ買い物客が増えて来ました。
夏野菜も名残りとなり、毎週、どれかが姿を消して行きます

ファームの方でも、今はもう畑を仕舞って次のシーズンに備える時期です。

そんななか、「走り(注1)」で出てくるのがキャベツです。
冬の霜にあたった冬キャベツは本当に甘くて美味しいですが、雪の深いニューイングランドでは、キャベツは本格的に寒くなる前に収穫して、冬には貯蔵していたものを売ります

今はその、貯蔵される前の冬キャベツが走りで出回っています。
緑のキャベツ、そして深い色合いが美しい紫キャベツ。

緑のキャベツ同様、ビタミンC、抗潰瘍作用があるビタミンU、骨の形成に役立つビタミンKを含みますが、特にビタミンKは緑のものの1.5倍以上を含みます

大根に含まれていることで有名な、消化を助けるジアスターゼは、キャベツの方が大根よりも多いのです。
そしてご存知のように、繊維質もたっぷり。

紫の色素は抗酸化作用のあるアントシアニン(ポリフェノールの一種)です(注2)。

今回は、この紫キャベツを使ってみます。
走りのものは、まだ葉の水分が多くて柔らかいため、そのまま食べても美味しいのです(注3)。

緑のキャベツよりも葉に厚みがあるので、少し薄め(細め)に切る方が口当たりよく食べられます
千切りをそのまま食べてもサクサクとして美味しいですが、今日はぐっと量を食べられる、塩もみしてからのコールスローをご紹介します。

材料はこちら。

材料<4人前>

  • 紫キャベツ・中玉1/4個
  • 人参・1本
  • 玉ねぎ・1/2個
  • アップルサイダービネガー・大さじ1〜2
  • オリーブオイル・大さじ1〜2
  • 粒マスタード・小さじ2
  • ハバネロ・オイル(またはチリ・オイル)・小さじ1
  • ・小さじ2
  • 胡椒・適量

道具

  • スライサー
  • 計量スプーン
  • 大きめのボウル

では、まずキャベツを千切りにします。
包丁で切ってもいいですが、スライサーがあったらスライサーを使うと便利です。

キャベツは水に5分ほどつけながら洗います。
農薬が気になる方は、重曹水を使ってくださいね。

千切りはできるだけ細く、スライサーを使う場合は1mm程度の薄めにスライスします。

根気のいる作業ですけども、キャベツの水気をペーパータオルなどでよくとって滑らないようにしてから、手に気をつけて慎重にやってくださいね。
ガードをお持ちでしたら、ガードを使ってください。

さて、大きなボウルいっぱいのスライスができあがりました。
この量で400gありました。

人参も洗ってから千切りにします(注4)。
玉ねぎは皮をむき、繊維に沿って薄切りに。

人参も玉ねぎも、全部いっしょにボウルに入れます

小さじ2の塩をまんべんなくまぶして野菜たちがよく混ざるようにしたら、そのまま10〜15分ほど放置します。

放置後は、ボウルの中身をキュッキュッともんで水分を出します
水分が出たら、野菜を少しずつ両手で握って絞り、水分を出しきります(注5)。

ボウルに戻すと…こんなに少なくなってるのがわかります!
ここに味付けをして仕上げて行きます。

塩は既に入ってますので、粒マスタードを入れ、オリーブオイルをひとまわしからふたまわしほど(量的には大さじ1から2ほど、回数はお好みで)、胡椒をお好みで入れます

更にアップルサイダービネガーを入れます。
酸味がお好きな方は大さじ2、お好きでない方は大さじ1くらいが目安です。

そして、仕上げに「ピリ辛」風味をプラスするため、ハバネロ・オイルを加えます。辛いのが苦手な方はまず少しだけ入れて、味見をしてから量を決めてください

手で優しく全体をなじませたら、できあがりです。
ハバネロ・オイルがついた手は、すぐに洗ってくださいね!

このハバネロ・オイルは自家製です。
作り方は簡単なので、おまけレシピで載せておきますね。

<おまけレシピ:ハバネロオイル>

ハバネロペッパー(適量)を種ごと輪切りにします(肌が敏感な方は手袋を着用してください!)。小さなフライパンか鍋にハバネロを入れ、ヒタヒタまでオリーブオイルを注ぎます

弱火でじっくり火を通し、鍋を傾けた時にオイルがサラッとした感じになったら、そのまま火を止めて冷まします。
密閉できる瓶などに移し、常温の冷暗所で熟成して、1ヶ月くらいから使えます
保存はそのまま、常温の冷暗所でOKです。

このチリオイルの作り方は、他のどんなチリペッパーにも応用ができます

くれぐれも、ハバネロを触った手で顔などを触らないように!
包丁やまな板も、注意して洗ってくださいね!!

アップルサイダービネガーを加えたことで、紫キャベツの色合いが赤みがかった感じになります。
緑のレタスと一緒にしたら、食卓の彩りが楽しくなりますね。

お味のほうは、見た目の可愛さに反してハバネロ・オイルのおかげでピリッと辛いので、意外性があっていい感じ。
「何を使ったの?」って訊かれることが多いレシピです。

色合い的にはハロウィン・カラーなので、ハロウィン・パーティの一品としても活躍しそう。ピリ辛なのも、なんだかハロウィンっぽいですね。

紫キャベツで作りましたが、普通の緑のキャベツでも作れます。
その時はキャベツを少しだけ、厚め(太め)の千切りにしてくださいね。


注1
野菜は出始めの頃を「走り」、旬まっただ中を「盛り」、終盤を「名残り」と呼びます。

注2
水溶性なので、煮ると煮汁が染まってしまいます。
この煮汁には、酸性のものを入れると赤く、アルカリ性のものを入れると緑になるという、リトマス試験紙のような機能があります。

注3
固くて生食に向いていない場合は、刻んでから浅漬風やザワー・クラウトなどに加工して食べると食べやすいです。
火を通すと色が抜けてしまうので、生食がおすすめです。

わたしはお酢やレモン汁で色が抜けるのを利用して、紫キャベツの千切りを薄切りにした生のカリフラワーと一緒にマリネしたりします。カリフラワーがピンクに染まって可愛いのです!

注4
わたしはピーラーの先にスライサーのように刃がついている道具を使いました。これがあると、根菜をささがき状に作るのが早いのです。

注5
この時、キャベツを食べてみてしょっぱいと感じたら、野菜をしばらく水にはなしてから、絞りなおしてください。
わたしの好みでは、この野菜の量に対して塩はちょうどよい下味に感じましたので、そのまま使いました。