すっかり冬ですね。
夏の終わりから秋にかけて収穫された、根菜たちが主役の季節がやってきました。

根菜の中でも、収穫後に長期保存がきき、あたたかいお料理に向いている「かぼちゃ」

生でも美味しいですが、かぼちゃのポタージュ、煮物、パンプキンパイ…などなどの火を通したかぼちゃの甘味は、寒い時期のお楽しみのひとつです。

かぼちゃは涼しいところで保存すると、2ヶ月以上もちます
わたしの知っているファーマーさんは「5ヶ月はもっちゃうよ?」と言ってました!

一般家庭の暖かい家ではそこまでの保存はちょっと難しそうですが、かぼちゃが長く保存できる野菜なのは間違いありません。

それどころか、追熟した方が甘みが出て美味しくもなるのです。
これはかぼちゃに含まれるデンプンが、熟成によって糖分に分解されることで起きるもので、ホクホクした食感も、それによって増します。

ご存知の通り、かぼちゃは代表的な緑黄色野菜です。
カロテンのほか、ビタミンCカリウムビタミンEを豊富に含みます。また、食物繊維もたっぷりで、便秘の予防や改善にも役立ちます。

βカロテンには粘膜や皮膚の健康維持のほか、呼吸器系を守る作用もあるので、ぐっと寒さが増してくる12月からの冬本番には、食べておきたい野菜です。

日本の習慣にも「冬至にかぼちゃを食べると風邪をひかない」…というのががありますね。

かぼちゃを選ぶ時は、皮にハリとツヤがあり、軸が太くコルク状にしっかり乾燥しているものがいいです。これは収穫後によく熟成されている証拠です。

そして、形は左右対称がよく、軸の周りがへこんでいるものを選びます。
持ったときにズシッと重みを感じることも大事。

カットされていて種の部分が見えるものなら、種がよくふくらんでいることも目安になります。
種が平べったいままのものは、未熟な状態で収穫されてしまったものだからです。

緑または黒系の皮のかぼちゃは時々、一部が黄色やオレンジになっていることがありますが、これは成長時に日が当たらなかったために起きているもので、悪いものではありません。

ここの色を見ると中の様子が想像できる、便利なものでもあります。
つまり、オレンジ色が濃い方がよく熟している…ということです。

そんなかぼちゃを、今日は「揚げないコロッケ」にしてみます。

「揚げないコロッケ」、というと「ぇつ」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、油をあまり使わずにコロッケのお味を楽しめる「楽ちんメニュー」です。

揚げ物の作業が苦手でも全く問題ないですし、衣をつけることもないのでキッチンも手も汚れません
種を作ってオーブンで焼いて出すだけ…なので、時間も節約できます。

一度おぼえてしまうと、普通のコロッケづくりには戻れない…かも?

材料はこちら。

材料<8インチ(22センチ)のベイク皿用・2〜3人前>

  • かぼちゃ(注1)・半個(種を抜いて約450g)
  • じゃがいも(注2)中1個(皮をむいて120g)
  • にんにく・ひとかけ
  • 玉ねぎ・大きめのものの1/4個
  • きのこ(注3)・合計で140g
  • オリーブオイル・大さじ1+大さじ1
  • パン粉・大さじ4
  • ・適宜(量は後述)
  • 胡椒・適宜

道具

  • 蓋付きのフライパンか小鍋
  • 蒸し器(万能蒸し器+鍋でもOK)
  • ベイク皿(8インチ)
  • 大きめのボウル
  • 小さめのボウル
  • シリコンべら
  • 木べら(ターナーでもOK)
  • ピーラー
  • マッシャー
  • 計量スプーン

オーブンを360F(180C)に予熱します。
蒸し器にはお湯を沸かし始めます。

まずはかぼちゃから。
かぼちゃを割る時は、まず軸の周りに包丁を入れて、軸だけを外します

かぼちゃはこの軸を外したところから包丁を入れると、あまり力をかけなくても割れます。

玉ねぎ、にんにく、きのこ(注4)は全てみじん切りにします。
マッシュルームとしいたけは、軸のかたいところだけ切り落として、軸もみじん切りにして使います。

フードプロセッサを使ってもOKですが、個人的には食感の楽しさが生まれるので手切りがおすすめです。

粒が揃ってなくても大丈夫!!
逆にそれが楽しい仕上がりになります。

冷たいフライパンか小鍋に、みじん切りにしたにんにくと玉ねぎを入れ、オリーブオイル大さじ1をまわしかけます。
塩を人差し指+親指でひとつまみ、全体にパラパラとかけます。

そのまま点火して弱火にかけ、じっくりとにんにく&玉ねぎを炒めます。
時々かき混ぜてやり、焦げないようにしてください

炒め上がりには10分ほどがかかります。

その間に、かぼちゃは種をとり、皮をむいてから(ピーラーを使うと便利です)だいたい同じ大きさになるよう、一口大に切り分けます(注5)。
じゃがいもも皮をむき、同じくらいの大きさにします。

切り終わったかぼちゃとじゃがいもは蒸し器にセットし、10〜15分くらい強めの中火で蒸し上げます(注6)。

さて、玉ねぎとにんにくがこんな感じで少し色づいて透明になったら、きのこを入れます。

きのこに油が回るよう全体をよくかき混ぜたら、塩をひとつまみふりかけて蓋をします。

5分くらいしてきのこがクタッとしたら蓋をとり、水分を飛ばすように炒め上げていきます。
焦げないように時々かき混ぜてくださいね。

こんな感じで炒めあがったら、そのまま火を止めて粗熱を取ります

かぼちゃ&じゃがいもは、柔らかく蒸しあがったらボウルにあけて、マッシャーでつぶします。

全体がつぶせたら、塩をふたつまみと軽く胡椒をしておきます。
ここへ炒め上がったきのこを入れて、練らないようにさっくりと混ぜ合わせます

よく混ざったかぼちゃ&きのこはそのまま置いておき、手でさわれるくらいになるまで粗熱を取ります

その間に、ベイク皿とパン粉を準備しましょう。
まず、ベイク皿には油(分量外)を薄く塗ります(注7)。

パン粉は小さめのボウルに入れ、オリーブオイル大さじ1を回しかけます。
これをシリコンべらやスプーンなどでよく混ぜてやり、パン粉全体に油が回るようにします(注8)。

粗熱が取れたかぼちゃときのこをベイク皿に入れ、シリコンべらなどでならしてやります。

さらに、さきほどの油をまぶしたパン粉をベイク皿に入れたかぼちゃ&きのこの上にまんべんなくのせてやります。手を使ってやると上手く行きます

パン粉が綺麗にのったら、オーブンに入れて20分〜30分
中身には既に火が通っているので、パン粉に焼き色がつくまで焼きます

できあがりました!

召し上がるときには、中濃ソースウスターソースお醤油ケチャップなどなど、お好みの調味料でどうぞ。

ソースをかけることを前提にして薄味にしてあるので、ソース無しで食べるのであれば、かぼちゃのマッシュにもう少し塩気を足すといいと思います。

お供にはシンプルにキャベツの千切り、グリーンサラダなど「コロッケを食べるときの付け合せ」がいい感じです。

ソースをかけて食べると、たしかに「スプーンで食べるコロッケ」になります。
食べやすいのでお子さんにも喜ばれそうです。

もしも残ってしまったら、パン粉も一緒にスープで軽く煮ると、少し粗めのポタージュにもなります。残りを焼き戻すのが面倒な時におすすめです。

焼き戻す時は、全体にホイルをかぶせて360F(180C)で20〜30分くらい、全体があたたまるようにします。
最後に様子を見ながら3〜5分ほどホイルを外して湿気を飛ばすと、パン粉がカリッと仕上がります。

揚げないとはいえ「コロッケ」なのでじゃがいもで作ってもOKですが、かぼちゃを使えばオレンジ色が華やかで、パーティの一品にもなりますね。

さつまいもで作っても美味しくできそうです!

本格的な冬の寒さは、栄養素たっぷりの野菜を使ったアツアツのオーブン料理で乗り切りましょう!!


注1
かぼちゃは水分が少なく、加熱するとホクホクするものを使います。
つまり、日本かぼちゃや栗かぼちゃは向いていますが、洋物のかぼちゃ(スクワッシュ)は向いていません。

バターナッツスクワッシュ、エーコンスクワッシュ、オレンジパンプキンなどの水分が多いものはNGです。
アメリカでも「Kabucha」「Japanese Pumpkin」などの名前で普通に売られるようになった、日本系のかぼちゃを使ってください。

注2
かぼちゃの水気を調節するものなので、ネットリ系ではなくてホクホク系のじゃがいもを選んでください。
アメリカのじゃがいもでしたら、オールパーパスのホワイトポテトなどが向いています。ベイクして美味しいユーコン、アイダホ、ラセット(皮の赤いじゃがいも)などは向いていません。

注3
組み合わせはなんでもOKです。
わたしは今回、ホワイトマッシュルーム(ボタンマッシュルーム)を6個、しいたけを4枚使いました。

一種類のきのこで作ってもOKですが、できれば組み合わせると香りと旨味が違います。

注4
きのこは基本的に水洗いをしません。乾いたふきん、ペーパータオルや刷毛などで汚れや土をとるだけにします。
よほどひどい時には、濡らしてよく絞ったふきんやペーパータオルなどで掃除してやります。

注5
かぼちゃは種から傷むので、残す方のかぼちゃからも、種を取り除いてください。種を取り除いたら、ピチッとラップをして冷蔵庫保存し、3〜5日の間で食べきります。

注6
わたしは「電子レンジを使わない派」なので蒸し器で調理していますが、レンジを使う方は、レンジで加熱しても構いません。

注7
ベイク皿に焦げ付くのを防ぐためにやります。

注8
わたしが使っているのは、ライ麦パンを乾燥させて自作したパン粉なので、色がついています。
わざわざ自作される必要はなく、いつもお使いの市販のパン粉でもちろんOKです。イタリア式の目が細かいものでやるとヨーロッパ風に、日本のパン粉のように粗いものでやると日本風の仕上がりになります。

今回もまた番外篇として、カナダのトロントに行ってきた時の写真や雑談をシェアします。

マンハッタンをうんと北に登って「アップステート」と呼ばれる地域を抜けると、カナダに入ります。ご存じの方も多いと思いますが、実はニューヨーク州ってかなり北に長いのです。

英仏語が公用語のカナダにあって、英語圏であるトロントはカナダでも「アメリカ色が濃い」と言われます。アメリカのチェーン店がいくつも進出しているので、街なかでおなじみのロゴを見かけることも。

でも、わたしが行ったのはこんな牧歌的な風景が楽しめる、トロントから車で3時間ほどの北の街です。

まずは楽しみにしていた、ファーマーズ・マーケットへ。

しかしながら、11月の頭は既に「木でできたクリスマスツリー」が売っているくらいのシーズンオフ目前で、出ているベンダーも最盛期の1/3くらいでした(注1)。

売っている野菜もほとんどが保存の効くものたち。
にんにく、かぼちゃ類、いも類、根菜類、キャベツ…などなど。そして寒さに強いケール。

個性あるトラックで野菜を売りに来ている農家さんがいくつかいて、見た目にも楽しめます。

寒い地域ならではの、アルパカ製品を売っているベンダーもいました。
夏にはアルパカを連れて来ていたそうです!

わたしはこのマーケットでは「ヤギ乳の手作り石けん」を買いました。
香りづけにハーブや精油を使っただけのシンプルな洗顔用石けんで、泡立ちは少ないですが毛穴の汚れがよく取れて、肌がツルッツルになります!

こちらはギフト用にもなりそうなにんにく。
編みこみで茎をまとめてあり、チャームとして自然石がついているものも。ナチュラルなスタイルのキッチンなら、実用も兼ねた飾りになりそうです。

翌日に訪れたのは、街なかの自然食料品店です。

人口密度が少なく、土地がたっぷりあるカナダでは、中心地以外の街なかではあまり高い建物がなく、施設はとにかく横へ横へと広がっています。
このスーパーがあるショッピングセンターもご多分にもれず、横に平べったいスタイルです。

食料品、雑貨、お惣菜、そして自然派化粧品や健康系商品など、アメリカにもよくあるお店の品揃えです。

しかしながら、中規模のサプリメントストアが丸ごと入っているかのような健康系商品の売り場の広さには、ビックリでした!

入ってすぐのところにあったお惣菜コーナーでは、スープ類が瓶入りで売られていました。ラベルもすぐにはがせるシンプルなものです。

食品のにおいや油がなじみやすいプラスチックのコンテナの場合、中に入っていた食べ物によってはきれいに洗って使い回すのがちょっと面倒ですが、瓶ならにおいもつきませんし、洗えばすぐ、きれいになります。

これはぜひ、アメリカでもやってほしいなあ…と思いました。
重たい、割れる…などの欠点はあるでしょうが、プラスチックではないというだけで、個人的には気持ちよく感じます。

冷たい飲料の冷蔵庫で売られているお水にも、100%リサイクルで作られたペットボトルを使ったものがあります。この緑のボトルがそれです(注2)。
こういう製品を見ると、お店のモラルの高さを感じますね。

この地域にはドネーションによって運営されるセカンドハンド・ショップも多く、そこで売られている商品はかなりきれいです。ものを大切に使い、使わなくなったらリサイクルする…という感覚が人々の身についているように感じました。

お惣菜のガラスケース内のディスプレイも可愛い!
適度な空間があるために詰め込み感がなく、見やすくなっています。
アジア人が少ない地域ということですが、意外にエスニックなメニューがありました。

友人のおすすめは生地がスペルト小麦(注3)でできている、専門のシェフが店頭で焼くピザ

…というわけで、軽いお昼ごはんにいただいてみました。

このピザ一切れが4カナダドルくらい。
米ドルだと3.5ドルという感じでしょうか。

白小麦の生地と違ってモチモチ感は少なめですが、小麦の香りがふくよかで、硬めの歯ごたえが気持ちよかったです。上にのっている野菜の種類と量もたっぷりで、満足の行くお味でした。

この時、友人が飲んでいたのが「マッシュルーム・ラテ」
これは「チャーガ」という野生のきのこ(注4)を粉末にしたものが使われていて、カナダでは健康食品として愛飲されているそうです。

ちょっとお試しでもらったお味は…ミルクの奥の方にきのこの香りがある…という、不思議なものでした(笑)

野菜売り場では、一部のレタスがこんなふうに売られています。

カナダではこの形での販売が多いそうで、このまま水をやって水耕したり、夏なら土に埋めて育てたりもするそうです。「鉢」はもちろん「バイオ系素材」で、このまま土にかえすことができます。

アメリカでもそのまま土に埋め込んで使えるよう、ハーブの鉢が同じような「バイオ系素材」で売られていることがありますね。

これはカナダならではの「メイプルの樹でフィルタリングした水」
メイプルシロップを作る際に出るもので、今までは捨てられていたものだそうですが、今は有効利用をしようという動きがあるようです。

和食系の商品棚も立派なものです!

味噌と醤油だけで棚が上から下まで埋まっていて、きちんとした「みりん」も数種類ありました。
わたしの最寄りのWhole Foods Marketよりもすごい品揃えです。

この店を利用する層は発酵系に関心が深いのか、「発酵101」と名づけられた、初心者向けのワークショップの告知も見かけました。

こちらはジャム。
カナダの製品はパッケージデザインが美しいものが多く、シンプルだったり可愛かったりと、購買意欲をそそります。

こちらは羊乳製ヨーグルト。
何とも可愛く、これならまた買おうかな…という気になります。

この街にはこうした自然食料品店がいくつもあり、どのお店もゆっくりと店内をながめるだけで十分に楽しめます。
お店ごとに個性や傾向がありますが、総じてどれもインテリアや造りがきれいです。

他にも、経営者のカラー(出身国など)が強く出ているスーパーマーケットなどもあって、こうした個性のあるお店を回るのが、カナダを訪ねる時の大きな楽しみになっています。

実はまだまだ回りきれていないので、この次は、雪がなくなる春の終わりくらいにまた訪ねようと思っています。

注1)カナダのサンクスギビングは10月なので、11月頭の街や店は既にクリスマス一色です。

注2)カナダは公用語が英仏のため、製品のパッケージは両言語を記載することが法律で定められているそうです。
この水のボトルも、ちゃんと英仏併記になっています。

注3)スペルト小麦は「古代小麦」と呼ばれている、昔ながらの品種改良をしていない小麦です。グルテンが少ないこともあり、グルテンアレルギーのリアクションが起きにくいと言われています。
実際に、わたしが出会ったグルテンアレルギーの方も「スペルト小麦の製品は食べられる」とのことでした。

注4)「チャーガ」は和名をカバノアナタケ、別名で「シベリア霊芝」とも呼ばれます。
森を探しまわっても1〜2本とれるかどうか、というくらいの非常に希少な「幻のきのこ」で、抗酸化作用、抗腫瘍作用、免疫増強、美容効果などがあるとされています。

今回は番外篇として、カナダのトロントに行ってきた時の写真や雑談をシェアしますね。

大陸を横断するように国境が接しているアメリカの北側の州の住人にとって、カナダはたぶん「いちばん近い外国」ではないかと思います。

飛行機だけではなく、マンハッタン(ペン・ステーション)から直接カナダに入国する電車もありますし、陸路で入ることもできます。
とはいえ、国境のどこからでも入れるかというとそんなことはなく、空港以外の入国ポイントはいくつかに限られています。

その中のひとつが、オンタリオ湖をはさんでアメリカと接している、オンタリオ州のフォート・エリーです。

あの有名なナイアガラの滝から少し南に下ったところで、入国ポイントから1時間くらい車で行くと、カナダでも有数の著名な大都市・トロントがあります。

わたしは友人がトロント郊外に住んでいるので、かの女を訪ねてきた次第です。

カナダは人口密度がかなり低いのですが、そのせいかおおらかで優しい人が多い印象ですね。

また、大都市トロントだから…というのもありますが、ヘルスコンシャスな人の割合がとても多いと感じました。
肥満率NYに比べて低いようで、街なかで太った人をさほど見かけません。

今はトロントの北側にとてもたくさんの人が住みつくようになっていて、たくさんの新しい家やコンドミニアムが作られています。
移民もたくさん受け入れているとも聞きました。

わたしが友人を訪ねた街は、ほぼ白人系の住人でしめられており、東欧やイタリア系が多いそうです。

まず連れて行ってもらったのは、NYでもなかなかないと思われる「大型の東欧系スーパー」でした。

しかしながら、何故か韓国系の商品が置いてあったり、惣菜コーナーでキムチが売っていたりと、不思議なミックス具合。
資本に韓国系が入っているのかもしれません。

オンタリオ州では、州内で収穫された農作物にオリジナルのマークをつけ、ハッキリとわかるようにしています。高速道路沿いには「オンタリオ州産」をPRする大きなビルボードもありました。

かなりの量をまとめ売りしているこのきゅうりは、ピクルス用。
東欧系の食事には欠かせないものですね。

持ち手にカナダのメイプルリーフがあしらってあり、箱にもオンタリオの名前が入っています。

そのきゅうりの隣には、ピクルスの香りづけに使うフェンネルの花が大きな束で売っていました。

このきゅうりが載っている台の黒い幕にあるグリーンのマーク、これが「オンタリオ州産をあらわすロゴ」です。

こちらはジャム用に大量売りしているサワーチェリーといちじく。
こちらの台をおおう幕にも「オンタリオ産ロゴ」がついているのを見ていただけます。

他の野菜にも、オンタリオ産がたくさん用意されていました。

こちらは乾物系を量り売りしてくれるお店。
粉物、ナッツ、クーベルチュールチョコなどの材料系から、グミやクッキーなどの製品系まで…たくさんのものが好きな量で買えます。

とにかくこの、商品が入っている容器が大きくてビックリです。
たぶん下までギッチリと入ってはいないでしょうけど、この容器が店中を埋め尽くしているさまは、圧巻です!

こちらはスーパーフードとして有名なキヌアとチアシード。
ちょっとした湯船くらいある容器に入ってます!!

広い敷地を使っていることもあって、品揃えが豊かでした。

NYでもなかなか見かけないスーパーフード系をはじめとして珍しいものがかなりあって、わたしは大興奮で買い物をしてしまいました(笑)

ナッツ・バターのコーナーには、ナッツ系だけではなく、ひまわりの種(サンフラワーシード)やかぼちゃの種のバターもありました。

Whole Foodsなどのナチュラル系のお店でのナッツ・バターの量り売りはよく見ますが、シード系のバターを売っているのは初めて見ました。

こちらがわたしの戦利品。

野菜の色素を使った3色のクスクス黄大豆の打豆カニワ(まだマイナーですが、スーパーフードのひとつ)、カシャ(ポーランド語で「蕎麦」、炒って香りと色を出したもの)、スペルト小麦の押し麦かぼちゃの種のバターオーガニック・ココナッツの発酵調味料…です。

何を作ろうかと今から楽しみです!!

このお店でも製品系を買う人はあまりおらず、粉、スーパーフード系、豆類などの「材料」を買っている人が多かったです。

スーパーの買い物客のカートの中も「料理をする人」の買い方がほとんど。
野菜をはじめとする「原材料」が入っていました。

無添加のものを探すのが相当に難しい加工肉(ハム、ソーセージ類)でも、普通のスーパーで「無添加&自然な材料だけでできているオーガニックの製品」が見つかります

見わたすとほとんどの商品に対してナチュラル系のものが置いてあり、添加物やケミカルありの製品とどちらも選べるようになっています。

買う側のニーズがなければ品物は置いていないはずで、このことと、そしてゴミの分別がかなり厳しくされていることから「トロント近郊のカナダ人は、ヘルスコンシャス&ナチュラル志向が強いのだな」と感じました。

友人の意見も同じでしたが、「トロントは大都市なので、そのせいもあるのではないか」…とのこと。

確かに、ナチュラル志向の製品やサービスを利用しやすい都会だから…という理由はあるかもしれないですね。

そのあたりはNY、特にマンハッタンを中心とした諸地域の事情と同じ感じです。

さて、カナダのお店で驚いたのは、牛乳の売り方

アメリカならガロンのプラスチック容器に入っている「大容量の牛乳」が、なんと「ビニール袋」に入った状態で売っているのです。

このビニール袋を収めて注いだり保存したりする、専用のプラ容器も売っているんだとか!!!

こちらは、ナチュラル系スーパーの「ヤギ乳」です。

脂肪球が小さいために消化吸収がよくて胃腸に負担がかからないこと、牛乳とは違うタンパク質で組成されているために牛乳アレルギーの人でも飲める可能性が高い…などの理由で、ナチュラル志向の人には人気があります。

アメリカでは数える程度しか見かけませんが、カナダでは脂肪分をとったものやオーガニックまで、たくさんの種類で売っていました。

そしてもちろん「ビニール袋」入りも!

こちらは冷凍の果物&野菜類。
アメリカ産のものなのですが、カナダへの輸出仕様になっているのでパッケージが「二言語併記」になっています。

ご存知の通り、カナダは英仏両方が母国語として使われる国です。
このパッケージの「二言語併記」は法律で決まっているのだそうで、あらゆる製品において、英語とフランス語の両方が表示されています。

「Organic」はフランス語だと「Bio」です。

ちなみにトロントは英語圏です。

アメリカの影響がかなり強いと言われている地域で、確かにモールや街なかで見かけるブランドにもアメリカのものが多く、お店の構造などもかなり似ています。
そのため、アメリカから行ってもあまり異国感はありません。

時々、マンハッタン近郊でもオンタリオ・ナンバーの車を見かけますが、オンタリオ人から見ても、アメリカ東海岸は「気軽に行ける外国」なのかもしれないですね。

今回の記事の冒頭の写真は、カナダの無印良品で見かけた「カナダ版トートバッグ」です。

「国を象徴する動物」であるビーバー、ファースト・ネイション(カナダの先住民)のトーテムポール、そしてアイスホッケーのスティック&パック

この中ではビーバーが一番の人気でしたが、カナダ人はとにかくビーバー好きだからでしょう。

洋服などのブランドのロゴなどはもちろん、空港や政府の建物にもレリーフや彫像があるのだそうです。

「まじめに働く動物だから」という理由で愛されているそうですよ。

今回は上手く日程が合いませんでしたが、ファーマーズ・マーケットや様々な製品(メイプルシロップや調味料など)の作り手が直接に販売をやるマーケットなどもあるそうなので、次回はそれを狙ってみたいと思ってます!

夏です!!

ここニューイングランドのファーマーズ・マーケットにも順調に夏野菜が増えて、あとはすいかとコーンが出てきたら、オールスターが出そろう感じです。

その中でも夏を代表するお野菜のひとつが、トマト

ここ数年はエアルーム種(原種系)が流行していて、おなじみの赤いものだけではなく、黄色、オレンジ、薄緑、ピンク、深緑、薄紫、果ては「ゼブラ」と呼ばれるシマシマのものなど、トマトの世界もだいぶカラフルです。

今回は、そのトマトを使った野菜ごはんです。

ご存知の通り、トマトは抗酸化作用をもつリコピンで有名ですね。

皮の部分にはフラボノイドの一種であるケルセチン、実の部分には食物繊維クエン酸
さらに「むくみとりの名人」であるカリウムが含まれます。

他にもうまみ成分のひとつであるグルタミン酸が多いので、単体でもうまみを感じる野菜のひとつです。

このグルタミン酸は種の部分にこそ多いので、種はとらずに調理するほうがうまみを楽しめます

トマトの「お供」として知られるバジルは、これまた抗酸化作用があり、免疫力を高めるとされるβカロテンに加えてビタミンEが含まれており、殺菌・抗菌作用も期待できるハーブです。

香り成分にはリラックス効果があり、虫よけにもなります。

なんとなく気持ちが落ち込んだ時や、うっとうしい気分の時は、バジルの香りをかぐとスッキリするのでおすすめです(他のハーブや、柑橘類の香りも良いですよ)。

では、今日はシンプルにトマトとバジルを楽しむパスタを作ります!

ソース作りに火を使わないうえ、トマトのうまみと酸味+バジルの香味でサラッと、でもしっかり食べられるので、暑い日にピッタリです。

材料はこちら。

材料<2人前>

  • チェリートマト(可能ならエアルーム種で)・2パック〜(お好きなだけ)
  • バジル(普通の人参でもOKです)・4本〜(お好きなだけ)
  • にんにく・ひとかけ
  • パスタ・160g(注1)
  • オリーブオイル・2まわし
  • ・小さじ1/4+パスタ用(量は後述)
  • 胡椒・適宜
  • ぬるま湯・適宜
  • ・2リットル

道具

  • 大鍋ふたつ
  • 大きめのボウル
  • ざる
  • 計量スプーン
  • トング

まずはひとつめの鍋に水を張って火にかけます。
2人前のパスタでしたらお湯は2リットルは要ります

もうひとつの鍋にはぬるま湯を適当に張り、パスタをひたします(注2)。

バジルは葉を茎から外して、手で適当な大きさにちぎります。
ハーブは金気が嫌いなので、できるだけ包丁や鋏を使わずに手を使ってあげます。

先っぽの綺麗なところは飾り用として、ちぎらずにとっておきましょう。

チェリートマトは洗って水を切り、ヘタを取って半割にします。

にんにくはみじん切りにし、トマトと一緒にボウルへ入れます。
そこへ塩も入れます。

ボウルはゆであがったパスタが入ることを考えて、大きめのものを使ってくださいね。

トマトは手でザクザクとつぶしていきます。
つぶしすぎると美味しくないので、ラフな感じでOKです。

トマトから出た果汁、これがパスタソースになります。
ここへオリーブオイルをくるくるっとふたまわし、入れておきます。

15分〜20分が経過すると、ぬるま湯につけたパスタはこんなふうに白っぽくなります。
パスタが水を吸った証拠です。

持ってみると、クタッと柔らかくなっているはずです。

パスタをゆでる前に、盛り付けるお皿も準備しておきましょう。
ここからは早いですよ〜!

パスタをゆでる鍋には、ざっとひとつかみくらいのお塩をしっかり入れます(注3)。
これはパスタに下味をつける役割があります(注4)。

塩を入れたお湯は、しっかりとグラグラするまで待ちます。

ぬるま湯の鍋から上げて水切りしたパスタを入れたら、このくらいの感じになるよう、火加減を調整してください。

表面が軽くグツグツして、時おりポコポコと泡が浮かんでくる感じです。
パスタは「さみしがりや」で、ほっておくとくっつき合うので、そうならないよう、トングや菜箸などで軽くまぜながらゆでます。

ぬるま湯にひたしたパスタは、ひたしていた時間にもよりますが規定の時間の約半分でゆであがります。

まずは3〜4分ゆでて、1本食べてみてください。
まだだったら1分ずつ、ゆで時間を追加して行きます。

モチっとした感じで、ややかためになったらOKです。
ソースにからめる工程があるので、少しかためでゆであげとします。

ここからは手早くいきます!!!

ゆであがったパスタはざるでお湯を切り、チェリートマトが入っているボウルへ入れます。

ボウルの片側を持ってかたむけ、側面をパスタが上から下へ落ちる重力を使って全体をよくあえます。

全体があらかたまざったら、バジルを入れてさっとまぜ合わせます。

一口分くらいを食べてみて、塩加減を確認して調整します。
お好きな方は胡椒もどうぞ。

盛りつけたらできあがりです。
飾り用のバジルものせてくださいね。

食べてもOKなかたは、お好みでパルミジャーノ・レッジャーノをかけても美味しいです。

常温の果汁がソースなので、アツアツのパスタではないのですが、暑い時期には食べやすいです。
ソース作りに火を使わないので、暑い日でも手軽にできるのも嬉しいところ。

チェリートマトの他、湯むきしてざく切りにしたトマトでやっても美味しいです(注5)。

実はこのメニュー、わたしの「思い出の一皿」なのです。

アメリカに来たばっかりの頃に「なんとか早く英語になじまなくては」…と、友人のおすすめに従って、TVを観ていました。

その時によく観ていたのが「Food Network」の番組。
やっぱり、興味があることからだと覚えやすいですからね!

わたしは日本にいた頃からずっと、イギリスの料理人であるジェイミー・オリバーのファンだったのですが、「Food Network」にはかれの番組が輸入されていたのです。

ケーブルTVの番組表でそれを見つけた時は嬉しかったのなんの!!

それをワクワクで観た時の回でジェイミーが作っていたのが、今回ご紹介したパスタの原型です。

番組の趣旨はジェイミーが今も推奨している「できあいを買わず、簡単に作って『おうちごはん』しよう」で、番組内で手軽に作れるレシピを実演してくれる、というものでした。

確かにいちど観たらすぐに頭に入るくらい簡単なものだったので、翌日にさっそく作ってみたのです。

その「記憶レシピ」を、自分の好みにカスタマイズしたのが今回のものです。

番組内は夏でしたが、番組を観たのは冬。
冬のトマトで作るのも悪くはなかったですが、やっぱりこのパスタは夏のトマトで作るのがいちばん楽しめると思います。

ちなみにジェイミーは「英国英語」の人なので、米国英語にすら慣れていなかった当時のわたしには、番組でのかれのおしゃべりが全くわからなかったのは、内緒です(笑)


注1
普通の食事量の人の一人前が80gくらいです。多い人は量を増やしてください。
その場合、トマト&バジル、好みで塩、オリーブオイルなどの調味料も増やすとバランスが取れます。

パスタはお好みのものをどうぞ。わたしが使っているパスタはカムット小麦という「古代小麦」のパスタで、グルテンに対するリアクションが起きにくいと言われています。

注2
乾燥気味のアメリカではどうしてもパスタが乾燥してしまい、ゆでている間に切れてしまったりします。その対策で考えだしたのがこの方法です。

ゆでるまえにぬるま湯にひたしておくと、ゆでている間に切れることもなく、モチモチの食感になります。また、ゆでる時間も短くて済むので、おすすめです。

パスタ全体をぬるま湯になじませながら鍋に入れますが、大きな鍋がふたつない場合は、パスタを折ってしまっても大丈夫です。
食べる時も特に長さは気になりませんし、逆に食べやすいという方もいます。

注3
目安はこんな感じ。結構な量を入れますよ。

パスタ1人前:2リットルの水+塩大さじ1と1/3杯(20g)
パスタ2人前:3リットルの水+塩大さじ2杯(30g)

水1リットルに対して10g、と覚えておくと楽です。

注4
こうしてパスタに塩味を足しておかないと、ソースの持つ塩分との兼ね合いで、浸透圧によってパスタの水分が外に出てしまい、仕上がりがビチャビチャ&薄味になってしまうからだそう。

参考:http://xn--n8jtc0b9dub6348amu0anh2a.net/wp/2180.html

注5
普通のトマトを使う時は、果汁をよく出すために湯むきがおすすめです。

すっかり夏になりました!
わたしの街のファーマーズ・マーケットもようやく再開、週ごとに増える野菜たちとの生活を楽しんでいます。

この「マーケットの始まりの時期」によく出会うお野菜が、ほうれん草

冬の寒さにあたったほうれん草は言うまでもなく甘くて美味しいですが、初夏のやわらかなほうれん草も、また美味です。

サラダ用のシュウ酸が少ない品種はパッケージに入って年を通して売られていますが、土で育ったしっかりしたほうれん草は、やっぱり食べておきたいところです。

ご存知の通り、栄養価が高いことで知られる「健康野菜」の代表格のようなほうれん草
たっぷり含まれるβカロテンには抗酸化作用があり、抗がん作用や免疫を活性化させる緑黄色野菜としても知名度はバツグンです。

また、βカロテンは体内でビタミンAとなって髪・目・皮膚の健康を維持し、呼吸器系統をも守ります
根の赤い部分にはマンガンが含まれるので、全体を通して含まれているカルシウム&マグネシウムといっしょになると、とっても有益です。

しかしながら、ほうれん草にはシュウ酸が含まれているので、湯がいて取り除く必要があります。

シュウ酸は「灰汁(あく)」と呼ばれる水溶性の成分(注1)です。
水溶性ということで、湯がくことで8割がたを減らすことが可能です(注2)。

今回は、湯がいたほうれん草に、これまた緑黄色野菜としてよく知られる人参をプラスしたお料理をやってみます。

ほうれん草のお供をするのは、最近になってアメリカではかなりメジャーになった「カラー人参」
「Rainbow Carrot」などの名前で見かけるようになりました。

中でも「紫人参」は、アントシアニンを色素に持ちます。
これはあのブルーベリーや紫キャベツと同じもので、同様に強い抗酸化作業があります(注3)。

今回作るのは、この紫人参&ほうれん草の「抗酸化作用ペア」で作る、初夏らしい茹で野菜のサラダです。

βカロテンの吸収には欠かせない油分も、しっかり入れます!!

材料はこちら。

材料<2人前>

  • ほうれん草・一束
  • 紫人参(普通の人参でもOKです)・1/2本
  • 粒マスタード・小さじ3
  • オリーブオイル・大さじ1
  • 胡椒・適宜
  • ・(人差し指+中指+親指で)3つまみ

道具

  • 大きなボウル(できればふたつ)
  • 中くらいの鍋
  • タオル(フェイスタオルやハンドタオルなど)
  • ざる
  • 計量スプーン
  • トングや菜箸

アメリカのほうれん草はこうやって、葉っぱだけ摘みとったものを売っていることがよくあります。
もちろん、束でも売っていますが、以外に見かけるのがこの「葉っぱだけ」のスタイル

この写真で約一束くらいあります。

まずは鍋に水をたっぷり入れて火にかけます。
お湯を沸かす間に、ほうれん草を洗っておきましょう。

ボウルに水を張って、しっかり洗ってやります。

洗った後、5分くらいそのままボウルの水に漬けて水分を補給してやります
こうすると、湯がいた後のみずみずしさが違うのです。

根付きのほうれん草の場合、大きな根には2センチくらい、縦に切り込みを入れてあげます

人参はピーラーで薄く皮をむきます。

お湯には塩(分量外・お湯1.5リットルに対して小さじ1ほど)を入れ、まずは人参を茹でます。

人参の太さにもよりますが、かためで3分、ほどほどで5分、柔らか目で7分くらいです。
茹で加減を確かめるには、トングなどで取り出して、端っこを切って食べてみます。

そして「もう少し茹でたい」と思うところでお湯からあげ、ざるやボウルにのせてそのまま冷まします(注4)。

お次は、ほうれん草。

茹でる順番は、間違えないでくださいね。

ほうれん草を湯がくことでシュウ酸がお湯に溶け出すと、それ以上は使えません。
なので「人参が先でほうれん草が後」なのです。

一度に詰め込んで、葉っぱが折れたり、お湯の温度が急に下がって上手く湯がけないことがないよう、ほうれん草は多かったら2度に分けて湯がきます

根付きの場合は、根っこを入れてまず20〜30秒を手で支えながら「立った状態」で茹でます
その後、菜箸やトングを使い、葉っぱまで全部を沈めます。

ほうれん草を湯がくタイミングはなかなか難しいですが、基本的には「湯がく」です。「茹でる」ではありません

つまり、グツグツするのではなく、煮立ったお湯に沈めた後は2回くらい上下を返したら、もうOKなのです(注5)。

時間にして、長くて30秒くらいでしょうか。

湯がき上がったタイミングの目安になるのは、茎の透明度です。
茎が半透明になって、全体が綺麗な緑色になったら、すぐに引き上げてボウルで水にさらします。

この時はたっぷりと流水をあてます
時には全体を手で返してやり、全体が素早く冷めるようにします。

こんな風に、茎が透明になっていたら、湯がき上がっています

5分ほどチョロチョロと水を流しながら冷ましている間に、ざるにタオルを敷いておきます(注6)。

冷めたほうれん草を、少しずつ手にとって軽くしぼります。
絞り過ぎるとカスカスになって美味しくないので、ほどほどに絞るのがコツです。

根付きの場合は根を上に持って上から下へ何度か軽く絞り、葉っぱだけの場合は片手にとった葉っぱに上からもう片方の手をそえてそっと握るように絞ります

軽く絞ったら、タオルの上に広げ、軽くほぐして水気を切ります。
余分な水分をタオルが吸ってくれるので、後の作業が楽になります。

ほうれん草を水切りしている間に、冷めた人参を薄い輪切りにして行きます。

ほうれん草はもう一度軽く水気を絞って、ざく切りに。

野菜たちをボウルに入れ、粒マスタードと塩&胡椒を入れたら、オリーブオイルを入れます。

そして、全体を手でよく和えたら、出来上がりです(注7)。

輪切りの人参とほうれん草はなじみにくいので、ほうれん草をほぐすようにして、全体がよく混ざるように仕上げます

お好みで塩気が足りなければ塩を、酸味が足りなければレモン汁やヴィネガーを少々、足してあげてください。

時間が経過すると粒マスタードに含まれるお酢によって、ほうれん草の色が少し悪くなりますが、食感やお味には問題はありません

この「変色」があるので、仕上げるのはいただく直前がベターです。

このままサラダとして食べてもOKですが、お肉やお魚料理の付け合せにもなります。

残ったらスープやカレーの具材にするもよし、細かく刻んでパスタ+お好みの調味料と和えて、パスタサラダに進化させることもできます。

ほうれん草でなければできないのかというとそうでもなく、スイスチャード、小松菜、水菜、青梗菜など、クセのない青菜なら何でも合うと思います。
キャベツの外葉なんかも合いそうですね。

要は「粒マスタードで湯がいた青菜を和えたもの」と考えると、幅広く使えるレシピです。

暑さを感じる日も多いこの頃、酸味のあるサッパリしたサラダはメニューに取り入れやすいと思います。
緑黄色野菜をたっぷりとって、本格的な暑さにそなえましょう!


注1
シュウ酸はカルシウムの吸収を阻害したり、体内でカルシウムと結びついて結石の原因になったりもします。
しかしながら、結石などの持病を既にお持ちの方でしたら意識する必要がありますが、そうでない場合は「生で1kg食べる」などの常軌を逸した食べ方をしないかぎり、普通に食べて大丈夫です。シュウ酸については湯がくとよりいっそう安心なので、おすすめです!

注2
シュウ酸がお湯に溶け出すので、湯がく時のお湯はたっぷりと。
湯がいた後のお湯に色がつきますが、これがシュウ酸です。

また、湯がいたものを水にさらす時は、ただパシャパシャかけるのではなく、しっかりと流水を使います。
急速に温度を下げることで、綺麗な色を保てます。

注3
抗酸化作用が強いということは活性酸素に対抗する…ということで、結果的にアンチエイジングにも役立ちます。
眼精疲労の予防や、視力の維持&向上にも一役買います。

アントシアニンはポリフェノールの一種です。
紫人参は、通常の人参と比べて約10倍ものポリフェノールを含むそうです。

注4
水にさらさないので、余熱で火が入ります。
そのため「もう少し茹でたい」というところで止めるのがちょうどよいのです。

注5
葉っぱが柔らかい場合は、1回の天地返しで十分です。この場合、10秒程度でしょうか。

注6
ほうれん草の色素がついてしまうので、汚しても構わないものを使ってください。ふきんではなくてタオルです。あのループが、とってもいい仕事をします。

わたしは写真の通り、色がついても目立たない、濃い目のベージュのものを使っています。

注7
調理器具ではなく、手で和えてあげてください。
そうすることで全体がよく混ざりますし、混ざり具合もすぐにわかるので仕上がりのタイミングを読みやすいです。

春ですね〜。
薬膳的には、冬の間にたくわえたエネルギーが「成長の力」に変わるシーズンです。

寒さでちぢこまっていた身体はかたい蕾が花ひらくように伸びやかに広がり、冬の間にたまった老廃物を一気にデトックスします。

つまり、春はダイエットにも一番むいている季節なのです(注2)。

春はまた、山菜をはじめとする、芽ぶいたばかりのエネルギッシュな野菜たちを楽しめる季節です。

夏に向けて大きくなる野菜の間引き菜、やわらかいハーブたち。
わらび、行者にんにく、アスパラガス、ふきのとう、たけのこ、菜の花など、春を代表する野菜たち。

かれらが持っている苦味、これが春のデトックスには大切なものなのです。

この苦味の正体は「植物性アルカロイド」
この成分は、腎臓の「ろ過機能」をあげて、解毒作用や新陳代謝をうながす働きがあります(注1)。

デトックスの季節にはぴったりの食材…というわけで、美味しく上手に、そしてもちろん気軽に食べたいですね。

そこで今回は、気温が上がると食べたくなる、生野菜のレシピをご紹介します。

韓国の和え物「ナムル」はみなさんご存知のことと思います。
韓国系の料理屋さんに行くと小皿料理で出てきたり、ピビムパプの上にのっていたりする、ごま油の香りのするシンプルな和え物ですね。

その「ナムル」のうち、火を通した野菜を使うものを「スッチェナムル」、生野菜を使うものを「センチェナムル」と言います。

今回は、この「センチェナムル」を作ります。
できればぜひ、苦味のある野菜でやってみてください。

野菜の種類は生で食べられるものならなんでもよく、パックで売っているサラダ用の「ハーブミックス」「メスクラン・サラダ」も使えます。
単品のハーブ(コリアンダーの葉、アルグラ、クレソン、サラダほうれん草など)で作ることもできます。

実野菜も刻めばOK。
大根・きゅうり・セロリ・ピーマンなどの千切り、トマトのざく切りなどなど、生で食べられるものはなんでも。

葉野菜に実野菜を混ぜてボリュームを出すのもいいアイディア。
ちょっとアジアンなサラダ…くらいの気軽さで、いろんな組み合わせを楽しめちゃいます。

一度おぼえてしまえば5分で一品ができてしまう「スピードメニュー」、行ってみましょう!

材料はこちら。

材料<2人前>

  • サラダ用ハーブミックス(注3)・100g(大きく2つかみくらい)
  • コリアンダーの葉・5本〜
  • 醤油・大さじ2
  • ・大さじ1
  • メイプルシロップ・小さじ1/2
  • 韓国唐辛子(粗びき)(注4)・小さじ1/2
  • ごま油・小さじ2
  • ・ひとつまみ

道具

  • 大きなボウル
  • サラダスピナー
  • 計量スプーン

まずは葉野菜を洗います。
洗浄済みですぐに使えるようになっているものの場合は必要ありません。

大きなボウルに調味料類をすべて入れ、軽く混ぜあわせます

野菜を洗った場合はサラダスピナーなどでしっかりと水切りをして(そのまま使えるものはそのままで)、ボウルに入れます。

両手を使って調味料を全体にまとわせるようにさくっと混ぜたら、できあがりです!

早いでしょ?

でき上がってすぐを食べるのはもちろん、少ししんなりしたものもフレッシュなおひたしのようで美味しいです。

今回は「香菜」ともいわれる、香りの強いコリアンダーの葉(注5)を入れましたが、これはお好みで他のハーブに替えられます。
ただし、葉がかたいものは食感が悪くなるので気をつけてください。

バジル、チャービル、ローズマリーのやわらかい若芽、サラダほうれん草、アルグラ(ルッコラ)、クレソン、タイム、タラゴン、ディル、イタリアンパセリ、セロリの葉…単品でも、これらを複数組み合わせても。

大抵のものは、茎から外して、葉だけをつんで使います
サラダほうれん草(ベビースピナッチ)、アルグラ(ルッコラ)などはサラダ用に大きめのパック入りのものを売っているので手軽に作れますね。

アジアンな感じなら、春菊のやわらかい部分を使うのもおすすめですし、これからのシーズンに出回る、レタスの間引き菜なども使えます。
大きなレタスを刻んでやってもいい感じです!

「少し苦味のある素材」が合うので、選ぶ時はそれをポイントにするといいと思います。
レタスなら、アイスバーグ(玉レタス)よりも、ちょっと苦味のあるレッドリーフが向いてます。

味付けをちょっとアレンジして、「ごま油をオリーブオイル、酢をレモン汁」に変えれば、洋風のお料理にもバッチリ!

材料があれば、思いついた時にできるのもこの料理のいいところです。


…とはいえ、これだけではちょっと短すぎなので、今日はもうひとつ、ご紹介します

材料の写真にも写っていた、タンポポの葉を別のソースでナムルにします。
友人がかの女のお祖母様が「タンポポの葉をいつもこうして食べていた」…と伝授してくれたものです。

タンポポは最近、栽培されたものがいつでも手に入りますが、自生しているものを採取すると味が違います(注6)。

確かに苦いのですが、この苦味がデトックス力をブートアップしてくれるのです。
経験上、今まで食べられないほど苦いものに出会ったことはないですから、どうぞご安心を。ゴーヤよりはずっとやわらかな苦味です。

このソースだとあまり苦味が気にならず、食べやすい仕上がりになりますので、ぜひお試しくださいね!

では、行ってみます〜。

材料<小鉢で2人前>

  • タンポポの葉・30g(今回は小さい株5つ、大きい株1つ)
  • コチュジャン・小さじ1
  • ・大さじ1
  • メイプルシロップ・小さじ1
  • 白すりごま・大さじ2
  • 醤油・小さじ1
  • 白ごま・適量

道具

  • 中くらいのボウル
  • サラダスピナー
  • 計量スプーン

採取したタンポポはよく洗います。

株元の部分に土が入り込んでいるので、丁寧に洗ってください。
しばらく水に浸してから洗うと、土が取れやすいです。

洗ったタンポポは、株からはがして葉だけにします。
蕾はもちろん、株元も食べられます

調味料をボウルに合わせます。

タンポポの葉は食べやすい大きさに切り、大きめの株は食べやすい大きさに切り分けます。

サラダスピナーなどで水気をしっかり切ったらボウルに移し、手を使って全体を「軽く」揉み込みます。決して強く揉まないでください

全体が馴染んだら、できあがりです!

白ごまをトッピングして、色合いよく盛りつけてください(写真は二人前を全量、盛り合わせています)。

このソースは「チョコチュジャン」といいます。
チョ(酢)+コチュジャン…というわけですね。

茹でた野菜(もやし、豆もやし、人参、ほうれん草、ブロッコリー、椎茸…)を和えても、美味しい副菜ができあがります。

生でやるなら、あえる前に軽く塩もみするとよく馴染みます
きゅうり、大根、セロリ、ズッキーニ、パプリカなどなど(注7)。

どちらのレシピも、手軽に作っていただけると思います。
生野菜にドレッシングをかけておしまいにするのではなく、いつもと違う味付けで食べるのも、目新しさが春っぽい感じですね。

春のデトックス・シーズン、苦味と香りのある葉野菜を上手にたくさん、食べてください!


注1
体質によっては、食べ過ぎるとお腹をこわすこともあるので、ほどほどに。

注2
この季節に大切にしたい臓器は「肝臓」です。
中医学的には「肝臓」は気(生命エネルギー)の流れを通して、感情や自律神経による身体の機能を調整する働きがあります。
香りの高いものや柑橘類のさわやかな香気は、肝臓を元気にしてくれます。

感情の調節をする臓器でもあるので、春だけではなく、気分がウツウツとしたり沈んでいる時にはいつでも、ハーブ類や柑橘類の香りが助けてくれます。ジャスミンティやローズティなど、香りの良いお茶もいいですね。
ぜひお試しを!

注3
今回は、ファームで買ってきた間引き菜を使っています。
ケール、マスタードグリーン、コラードグリーンなどの間引き菜がミックスしてあるものですが、市販の「ハーブミックス」などで代用できます。

注4
韓国唐辛子がない場合、一味唐辛子やチリパウダーで代用できます。できれば粗びきのものがいいです。
代用するときには、使う量を半分以下にしてください。韓国唐辛子は甘い唐辛子なので量が多くてもさほど辛味が出ませんが、他の唐辛子は大抵の場合しっかり辛いので、様子を見て調節するのがおすすめです。
味付けとして「ちょい辛〜ピリ辛」くらいが目安です。

注5
コリアンダーの葉はデトックス力が強く、特に体内の重金属を排出する働きをもつことで知られています。

注6
くれぐれも、犬の散歩道ではない場所から採取してくださいね(笑)
交通量の多い場所もあまりおすすめできません。

注7
レシピのソースの量は小鉢ものを作る程度の量になっていますので、たくさんの野菜をあえる時は、ソースを倍量にするなどで調節してください。

こちらでもご紹介したカリフラワー、実は冬に出回る花野菜のツートップなんです(注1)。
年中見かけることができますが、旬は11月〜3月です。

野菜料理の素材としてはもちろん、最近はダイエットのためにカリフラワーを砕いたものを「カリフラワー・ライス」として、カレーなどを食べる時に使う方も多いとか。

カロリーが低く、食感があるところから選ばれているのでしょう。

栄養的にはビタミンCがとっても豊富
ということは、コラーゲンをしっかり構成するのに一役買うということで、美肌づくりに有効です(注2)。

このビタミンCは加熱でも失われにくいのもポイント。
食物繊維が多いことで日々のお通じにも効果があるのがまた、美肌へのアプローチになりますね。

中医学(薬膳)的には「お腹の動きを健やかにし、腎臓、筋肉、骨を強くする」効能があります。

他には、カリウムもたっぷり含まれていて、解毒やむくみとりに活躍します。
これはもう、ダイエットや健康維持の味方としては十分な素質と言えるでしょう。

最近は、緑、オレンジ、紫のものを見かけますが、これらは人口着色や遺伝子操作で作られたものではありません。
自然発生したものを選抜して育成し、商品化に至ったものだそうです。

緑のものは白いものよりさらに多くのビタミンCを含み、オレンジのものはカロテン紫はアントシアニン(注3)を含みます。
色付きのものを見かけたら、優先して使ってみてください!

そんなカリフラワーを、丸ごとドーンと焼いてみるのが今回のお料理です!

ひとつ1kgくらいあるカリフラワーですが、食べ残してもいろんなお料理に展開できるので、たっぷり下ごしらえをするつもりでやるといい感じです。

では、行ってみましょう!

材料はこちら。

材料<2〜3人前>

  • カリフラワー・1つ(写真のもので約1.2kg)
  • パセリ・(太い茎をとった状態で)20g(5〜6本程度)
  • にんにく・大粒1かけ(ふつうのものなら2かけ)
  • アップルサイダービネガー・大さじ3
  • にんにく・大粒1かけ(ふつうのものなら2かけ)
  • メイプルシロップ・小さじ1
  • ・大さじ2
  • オリーブオイル・大さじ2(ソース用)、50cc〜(ロースト用)
  • ・小さじ1(ソース用)、小さじ1(ロースト用)
  • 胡椒・適量

道具

  • 耐熱皿
  • 耐熱ボウル(耐熱可能なら丼でも鍋類でもOK)
  • 計量スプーン
  • 小または中ボウル
  • 泡立て器
  • ペーパータオル
  • 鉄串か竹串

まず、オーブンを365F(185℃)にセットします。
コンベクションが使えるなら、コンベクションも使ってください。

耐熱ボウルに入る程度の量の水(分量外)を沸かし始めます(鍋でもやかんでも電気ポットでもOK)。
お湯は後で使いますので、沸いたら火を止めてそのままにします。

カリフラワーはパッケージを取って洗います。
洗ったら、ペーパータオルや清潔なふきんで、丁寧に水気を取ります

ひっくり返して太い茎を外し、葉っぱを取り除きながら芯を切り詰めていきます(注4)。

最後は芯を少し逆三角形にえぐるように仕上げて、下ごしらえは終わり。

耐熱皿にカリフラワーを入れ、塩をパラパラ、胡椒をガリガリ。
塩はひとつまみずつ使って、やや高い位置から全体にまぶす感じでパラパラするといいです。
薄く味付けをする感じです。

そこへオリーブオイルをたらし、手でまんべんなく塗りつけていきます

カリフラワーは意外と、油を吸ってしまいます。
オリーブオイルは目安量で50ccとしましたが、この量にとらわれず、全体にしっかり塗りつけるまで使ってください

表ができたら、ひっくり返して裏も同じようにやってください。
裏側の茎の方にもオイルをたらして、しっかり行き渡らせます

余熱が済んだオーブンの上段にカリフラワー、下段にお湯を入れた耐熱ボウルをセット
この耐熱ボウルのお湯は水蒸気を発生させ、カリフラワーへの火の通りを助けます(注5)。

タイマーを1時間入れて、後は放置します(注6)。
その間に、ソース作りに行きましょう。

パセリはみじん切りにします。

ソースを使う直前まで保存するため、ペーパータオルをしいた中へ入れて、ラップをかけて冷蔵庫で保存します。
こうすると、パセリの自重で自然と水気が切れるので、使うときには適度にサラッとしていて使いやすいのです。

そして、ソースのベースを作ります。

にんにくもみじん切りにしてボウルに入れ、塩、胡椒適量、アップルサイダービネガー(注7)、メイプルシロップ、ソース用のオリーブオイル、水を全部いれて、泡立て器で乳化させます。

オイルとビネガーが分離せずに全体がまとまり、とろりとしたらできあがり。

乳化したら、ラップをかけてそのまま保存します。
冷蔵庫に入れるとオイルが固まってしまうので、ソースのベースは常温で(注8)。

カリフラワーの方は、時間が来たら鉄串や竹串を刺し、火の通りを確かめます

かたくて通らなかったり、通ってもスッと通らなかったら、オーブンへ戻し、今度は15分刻みくらいで確認を続けます

できました!

わたしはかための仕上がりが好みなので、この時は1時間15分でできあがりとしました。
柔らかめが好きな方はもっとローストしてもいいかもしれません。

表面が焦げてきますが、実はこの「おこげ」が美味しいポイントなので、真っ黒になりそうでもなければ、そのままで一度お味を試してみてください。

焦げ付きそうなら、もしくは自分の好みではない感じに焦げそうなら、火傷に注意しつつ、全体にアルミホイルをふんわりかぶせてやります
きっちり耐熱皿全体を包み込まなくとも、カリフラワーに帽子をかぶせるつもりでフワッとのせるだけでOKです。

食べる時は、温かいままでも冷めてからでもどちらでも美味しいです。
そのタイミングに合わせて、ソースのベースにパセリを入れて仕上げ、一緒にいただきます

でも実は、ソースなしでも十分に美味しいです!!

もし、ソースを作るのが手間でしたら、レモンを絞ってオリーブオイルをサッとかけるだけでも大丈夫
その場合、塩胡椒はお好みで追加してください。

小さな包丁で取り分けて、ソースをかけた状態がこちら
おこげの部分が香ばしくて美味しいので、取り合いになりましたw

ふたりだけで食べたので、1kgのカリフラワーは当然ながら食べきりません。
残りはざっと分けて保存し、別の料理に使いまわします。

マスタードなどと和えてサラダの一部にしてもよし、メイン料理の付け合せにしてもよし、少し茹でて崩せば、パスタソースにも展開できますね。
シンプルなローストなので、味噌和えや胡麻和えなどの和の料理にも

スープや煮込みの具材にするなら、仕上げの段階で入れて温める程度でできあがりにすると、崩れずにいただけます。

フードプロセッサでくだいて「ロースト・カリフラワー・ライス」にしたものは、香ばしさとしっとり感がカレーによく合って、美味しくいただけました。

ローストのお供にするソースの方も、味噌を使ったりナッツ類を使ったり、オイルを別のものにしたりと、バリエーション豊富です。

ソースは残ってもドレッシングや温野菜のソースとして使い回しOKです。
パセリの色はちょっと悪くなりますが、きのこソテーをマリネしたり、豆腐ステーキのソースなんて合いそうです。

冷めても美味しく、オーブンで放っておけばできるので、パーティ料理にもぴったりなのです。
何よりこの大胆すぎるルックスは、パーティでもウケるでしょうね〜!

丸ごとということでローストに時間がかかるのが難点と言えば難点ですが、できあがりはいろんな形で楽しめます

お時間のある週末などに、ぜひお試しくださいね。


注1
もうひとかたは、ご存知ブロッコリー。
ブロッコリーは緑黄色野菜ですが、カリフラワーは見た目の通り、淡色野菜です。

注2
「ビタミンC」というと風邪予防…という認識が多いと思いますが、最近の研究の結果には、通常に生活する人がビタミンCを大量摂取しても風邪の予防にはつながらない…というものがあります。
過激な運動(フルマラソンやトライアスロン)をした時や、特殊環境下(寒冷地など)に生活する人の場合は、効果が見込まれるそう。

しかしながら、ビタミンCが体内で合成できない栄養素であることはかわりなく、健康のためには、1日60mgを摂取すると良いそうです。
この量は、コップ1杯のオレンジジュース程度になります。

注3
ブルーベリーなどにも含まれる「目に良い」と言われる「アレ」です。フラボノイドの一種で、抗酸化物質として知られています。
他には、紫キャベツ、ぶどう、紫芋、黒米、茄子、小豆、赤玉葱、赤しそなどにも含まれます。
植物に自然に存在する色素で、すみれの色などもアントシアニン類です。

注4
太くて本当にかたい葉っぱは洗ってベジブロスの素材に、柔らかくてシャキッとしている中の方の葉は、刻んでサラダにしたり、スープや味噌汁の具にすると美味しいです。
芯もまた同じ。ぬか漬けにしても美味しいですよ!

注5
直径22〜3センチ、高さ6センチほどの耐熱キャセロールを使いましたが、8割ほどお湯を入れても、1時間では蒸発することはありませんでした。
お湯の量が少ない場合、時折オーブンをチェックして、空焚きしないようにしてください。

もしも空焚きしてしまったら、そこに水やお湯は決して入れないこと。熱の差で割れてしまいます。
オーブンを消してもそのままにして、自然に冷めるまでさわらずに置いておきます。

注6
1kgのカリフラワーをローストする時の目安です。
これより小さいものなら、時間を減らしてください(大きいようなら増やします)。実体験では、500g程度のもので45〜50分かかりました。

注7
ビネガーは何でもOKです。
ワインビネガー、バルサミコ、米酢、黒酢…お好みのものでどうぞ。

注8
ただし、本当に暑い時期などは食べる時間(昼間に焼いて夜に食べる…などのタイミング)に合わせて冷蔵庫保存してください。
オイルが固まってしまった場合は、20分ほど室温でなじませると戻ります。

真冬のファーマーズ・マーケットは、根菜のお祭りです。

じゃがいも、さつまいも、人参、玉ねぎ、蕪類
(ビーツ、ルータバガ、セルリアックなどなど)。それに加えて、夏から保存されていたキャベツ、リーク、にんにくなどが売られています。

畑は次のシーズンに向けてお休み中ですから、保存がきく野菜が売られるのはもっともなこと。

その中で、冬でも葉物野菜としてがんばっているのがケールです。
寒さに強くて戸外でも越冬可能なためNY近辺でも収穫できるとあって、冬のマーケットでもよく目にします。

夏物に比べると葉は少しかたいですが、寒さにあたれば甘みが増しておいしくなります。

アブラナ科で「キャベツの元祖」とも言われるケールは、βカロテン、ビタミンE、ビタミンC、をたっぷり含み、栄養価がトップクラスであることでも有名な野菜です。
「青汁」の原料としても有名ですね。

抗酸化力が強くアンチエイジングに役立つばかりか、含まれるメラトニンには睡眠の質の改善が期待できます。
また、食物繊維が多く、酸化防止や目によいとされるルテインも含みます

さらにはカルシウムもまた、野菜の中でトップクラス

そんなわけで、健康を気にするニューヨーカーも大好き。
ジュースに、サラダにと、ヘルスコンシャスなお店では必ず何かメニューに加わっているほどの人気野菜です。

種類もいくつもあり、ルックスがそれぞれ異なるのも面白いところ(注1)。

でも、いざ食べるとなると、軽く炒める、ゆがく、スープに入れる、サラダにする…くらいでしょうか。
できるだけ酵素をそのままとりたいと思ったら、できれば生のままでいただきたいところです(注2)。

そこで、今回はこのケールをペーストにしてみます
バジルで作る「バジル・ペースト」の要領で、バジルをケールに替えるのです。

酵素もそのままとれますし、ディップにパスタに和え物にドレッシングに…と何かと使える素材になってくれます。

ケールサラダやジュースにはちょっと飽きたという方、ぜひやってみませんか?

材料はこちら。

材料<2〜3人前>

  • ケール・100g(一束〜・葉のみの重量)
  • 松の実・大さじ2
  • にんにく・ひとかけ
  • パルミジャーノ・レッジャーノ(おろしたもの)・大さじ2(注3)
  • オリーブオイル・大さじ3〜4
  • ・小さじ1/2〜
  • 胡椒・適量

道具

  • フードプロセッサ
  • 計量スプーン
  • シリコンべら(またはゴムべら)
  • 大きめのボウル
  • サラダ・スピナー
  • 焙烙やフライパン

まずは手でケールの葉っぱを摘み取ります。
大きなボウルにふんわり1杯程度で、100gくらいになります。

今回のケールは「ラシナート・ケール」
「タスカン・ケール」「ダイナソー・ケール」の異名もある、緑の濃いケールです(注4)。

ちぎった葉っぱはよく洗い、サラダ・スピナーで水切りします。
ある程度は、水滴が残っていてもかまいません。

にんにくは皮をむき、松の実はフライパンや焙烙などで軽く炒ります(刻む必要はありません)。

まずは、フードプロセッサににんにくを丸ごと入れてスイッチオン
10秒ほどでみじん切りになります。

そこにケールを詰め、上から塩とオリーブオイル大さじ2を加えます

そのままふたをしたら、ふたたびスイッチオン。
ケールがだいたい粉々になったら一度ふたを開け、シリコンべらで周囲についたものを下に押し下げます

さらに、炒った松の実とパルミジャーノ・レッジャーノ、オリーブオイル大さじ1、黒胡椒・適量を加え、もう一度スイッチオン(注5)。


わたしが使っているのは「焙烙(ほうろく)」です。ごまやお茶を炒ったりするのに使う道具です。

全体が細かく砕かれ、ペースト状にまとまって来たらできあがりです。
塩加減を見て、お好みで調整します(塩を足す場合は、もう一度、軽くフードプロセッサを回してください)。

こんな感じの、少しかためのペーストができあがります。
ゆるいのがお好みの方は、オリーブオイルをさらに追加してフードプロセッサを回してください。

できあがりを保存する時は、酸化防止のために瓶に詰めたてっぺんをオリーブオイルでおおうようにします。

保存はもちろん、冷蔵庫で。
オリーブオイルが固まるため、使う少し前に冷蔵庫から使う分だけ出して常温に戻したり、温かいものと一緒にするなどで工夫してください

今回はチーズを使っていますが、ヴィーガン(ベジタリアン)にしたい場合は、白すりごまを使ってください。その時は、塩を少し増やすとバランスがいいと思います。

このレシピではにんにくは控えめですが、お好きな方は増量してください。
松の実がない場合は、くるみやピーナッツなど、油分の多いナッツで代替ができます

このままパスタソースにする時は、茹で上がったパスタの茹で汁を保存しておき、茹で汁でペーストをのばすようにすると上手く麺に絡みます
1人前で大さじ1.5〜2くらいが目安です。

サラダドレッシングにするなら、お好きな酸味(レモン汁、各種ヴィネガー)でゆるめ、お好みでオリーブオイルを足します(注6)。
和え物には、少しお湯か水を足してのばすと、具材と絡みやすいです。

パンにそのまま塗ったり、他の調味料や野菜のマッシュと混ぜてデイップにしたり、のばしたものをお魚やお肉料理のソースにしたり。
アイディア次第で色々なことに使えます。

わたしは今回、スープのガーニッシュにしてみました(注7)。

お好きなスープ(味付けは薄目の方がベター)の上にポン、っとスプーンでのせます。
食べる時はペストを崩しながら、味変するイメージでどうぞ。

寒い季節ならではのお料理、ポトフや煮込みのガーニッシュにするのもいいですね!!
柔らかい色味の中に鮮やかな緑がよく映えて、グッと見栄えが良くなりますよ。

ぜひ色々とお試しください!


注1
基本のチリチリ葉っぱのグリーン・ケール、赤紫のチリチリ葉っぱのレッド(またはパープル)・ケール、広がった葉っぱのロシアン・ケール、細長い葉っぱのラシナート・ケールなどなど。
大きく広がった一枚葉っぱのコラード・グリーンも仲間です。

注2
当コラムでご紹介した「ケールのマッサージサラダ」の作り方はこちら

注3
ヴィーガンにするなら、白すりごまを大さじ3用意します。この場合、塩を小さじ2/3に増やします。

注4
日本では「黒キャベツ」「カーボロネロ」と呼ばれることも。

注5
この時、ブレードが回りにくいようなら、オリーブオイルを更に大さじ1杯足してください。

注6
酸味を入れると緑色が退色しますので、酸味を使った場合は作り置きせず、使うごとに新しく作ってください。

注7
こちらのスープは、キヌア入り根菜の酒粕スープ。キヌア、バターナッツ・スクワッシュ、菊芋(サンチョーク)、ごぼう、大根、人参、じゃがいも、玉ねぎのスープを、酒粕で味付けしました。お出汁は炒め玉ねぎと昆布茶…ということで、スープはヴィーガンです!