日本に一時帰国している間にどんどんと季節が変わって、戻ってきたら春爛漫のニューイングランドでした。
桜にもなんとか間に合って、今年は日本とアメリカと両方で楽しめました。

5月の半ばには、わが町の「夏のファーマーズ・マーケット」も再開します。

この走りはじめの時期によく出回るのが、柔らかい葉もの類(レタス、ほうれん草、ベビーケールなどなど)と、ラディッシュ

実ものにはまだ少し早いマーケットで、大人気になる野菜です。

「二十日大根」の日本名のとおり、早く育って食べられる野菜で、真夏を除く3月から10月が収穫期です。
涼しい方がいい…ということで、走りはじめのまだ肌寒い頃に出回るのはこのためですね。

マーケットで買うラディッシュの何がいいかと言うと、葉っぱまでピン!っと元気なこと。
スーパーのお飾りみたいな葉っぱがついたものとは、まったく違います。

蕪類の栄養は葉っぱのほうが高いので(注1)、実はもちろん、葉っぱもしっかりと食べたいところです。
根に当たる実は淡色野菜ですが、葉っぱは緑黄色野菜なんです。

葉っぱに含まれるビタミンCは実の部分よりもずっと多く、ミネラル分も含まれているので、ぜひ捨てずに食べてください。

全体に「ひげ」が生えていますが、柔らかいものはそのまま生で、「ひげ」が気になるくらい大きいものは、茹でたり炒めたりすれば大丈夫。

実の部分には、大根とほぼ同じ栄養素である消化酵素のジアスターゼ(アミラーゼ)やビタミンCが含まれます。

肉料理などの付け合せでよく見かけるのは、可愛い見た目だけではなく、消化酵素もその理由のひとつでしょう(注2)。

今回は、このラディッシュの葉っぱと実の両方を楽しむ料理です。

どちらの料理も日持ちがしますので、ラディッシュを買ってきたらササッと作っておけば、副菜には困りません。

では、いってみましょう!

材料はこちら。

材料<副菜として2〜3人前>

[甘酢漬け]

  • 葉つきのラディッシュ・1〜2束(10〜15個くらい)
  • ・200cc
  • ・100cc
  • メープルシロップ・大さじ1
  • ・小さじ1/4とふたつまみ

[ナムル]

  • にんにく・すりおろしを小さじ1/2
  • ごま油・小さじ1〜1と1/2(お好みで)
  • ごま・お好みで大さじ1/2〜1
  • ・小さじ1/2とふたつまみ

道具

  • 小鍋
  • 中くらいの鍋(1.5リットルくらい入るもの)
  • 中サイズのボウル2つ
  • 大きなボウル
  • ざる
  • おろし器
  • 菜箸
  • 保存瓶かタッパー

まずはラディッシュを洗います。
葉の付け根や実のくぼみに土がついていることが多いので、たっぷりの水にしばらくつけてやります。

実はひとつずつ丁寧に手で洗い、葉っぱも逆さにして水にひたして振り洗いします。

洗い終わったら、まずは実と葉っぱを付け根で切り離します。
できるだけ実を削らないように、丁寧に。

実の方はお尻のひげ根を削ぎ、大きいものはふたつに割ります(小さいものはそのままでOK)。さらに、葉っぱは黄色くなったりしなびていたりして食べられない部分を一株ずつ、より分けてやります。

ここまでやったら、最初は実を使った甘酢漬けから
葉っぱの方は汚れをさらに落とすために、大きなボウルに水を張って浸してあげてください。

下ごしらえができた実を中くらいのボウルに入れて、手で全体に塩をまぶします。
塩がうまくまぶせたら、そのまま放置します

次につけ汁をつくります。
小鍋に水、酢(わたしは白ワインビネガーを使いました)、塩(ふたつまみ)、メープルシロップを入れ、弱火にかけて塩を煮溶かします。

決してグツグツさせないでくださいね。
少し湯気がたつくらいにあたたまったら、OKです。

あたたまったつけ汁を、ラディッシュのボウルに注ぎ入れます。
その後、つけ汁が冷めたら、ラップをして常温で一晩おきます(注3)。

こちらが一晩たったものです。
お酢の作用でラディッシュの赤が抜けて、実が可愛いピンクに染まります

お酢はお好きなものを使ってOKですが、色が濃いお酢(黒酢やバルサミコ酢)を使うと、このピンクが楽しめません。
できれば、色が薄いお酢がおすすめです。

この状態でできあがりです。

後はつけ汁ごと瓶やタッパーで保存すれば、3〜5日は食べられます
今回の量で、1パイントサイズのメイソンジャーにぴったり入りました。

副菜として、お弁当の彩りとして、なかなかお役立ちですよ!

さて、お次はナムルです。

まず、中くらいの鍋に多めのお湯をわかします。

水に浸しておいた葉っぱはもう一度、洗います
付け根の部分に土が残ると食べた時に大変なので、そこはぜひ、念入りに。

お湯がわいたら小さじ1/2の塩を入れ、溶けたところで葉っぱを付け根から沈めてやります。

鍋の中で天地返しをしてやり(やけどに気をつけて!)、緑の色が鮮やかになったらお湯から引き上げて(ざるを使ってもOK)、冷たい水で冷やしてあげます。

しばらくしっかりと水にさらして、熱をきちんと取ってください

その間に、中くらいのボウルの2個めに、ごま油、塩ふたつまみ、おろしにんにくを入れておきます。

葉っぱがしっかり冷えたら、今度は少しずつ手にとって水を絞ります。
この時、水分が残ると美味しくないだけではなく、日持ちしなくなるので、しっかりと

水気を絞った葉っぱは、3センチくらいに刻んで、調味料を入れてあるボウルに移します。

そして、調味料が全体に行き渡るように、手で揉みこみながら和えてやります。
キュッ、キュッ、という手触りになったらできあがり。

盛り付けたら、お好みでごまを手でひねりながら(注4)かけてやります。

こちらも冷蔵庫で3日くらいはもちます

味付けが薄めなので、そのまま食べるだけでなくスープの実にしたり、他の材料と混ぜてボリュームのある和え物に仕立て直したりできます。

玉子がOKな方は、玉子焼きに混ぜても美味しいですよ。ごはんに混ぜて、ちょっと変わった菜めし風も!
水気が少ないので、こちらもお弁当の隅っこを埋めるのに便利ですね。

味付けもまた、オリーブオイル+塩+粒マスタード、オリーブオイル+にんにく+塩…などなど、バリエーションも楽しめます。
ただし、粒マスタードやお酢、レモンなど「酸っぱい系の調味料」を使うと時間の経過によって色があせてしまうので、すぐに食べない場合は、食べる直前にプラスするほうがおすすめです。

どちらのお料理も、葉つきのラディッシュを見かけたら、ぜひ作ってみてください!


注1
βカロテン、ビタミンB1、ビタミンB2、カルシウム、葉酸、鉄分などが含まれています。
蕪類は買ってすぐ使うのでなければ、実と葉を切り離しておくのがベターです。そうしないと、葉っぱの方にどんどんと栄養素が流れてしまいます。

注2
見た目も可愛いラディッシュには、赤だけではなくて色んな色のものがあります。黄色、紫、赤白のグラデーション。
形も丸いもの、長細いもの…今は色々な種類のものが手に入ります。

注3
暑い時期になって、常温に置くのが危ない感じになったら、冷蔵庫に入れてください。

注4
親指と人差し指&中指で、ごまをすりつぶすようにするとできます。コレが「ひねりごま」。すり鉢でするほどの量は要らないけど、ごまの風味は欲しい…というときに便利です。