中学3年になるくらいまでは、夏は毎年、母の実家へ行っていました。

海際なので海産物が豊富で美味しいのですが、わたしはちょっと魚アレルギーがあって、食べられるものが限られています。

そんなわたしでも、手放しで大好きなのが「ちりめんじゃこ」。
しらすも好きですが、半干しにしたちりめんは、もっと好きです。

ある夏の日のお夕飯。
わたしはどういうわけか食欲がものすごく、おひつのごはんを何度もおかわりしました。

そのうち、その日のおかずはなくなって、あるのはお味噌汁の残りとちりめんじゃこだけ。

食べすすめるうちに残ったお味噌汁もたいらげてしまい、祖母に「もうちりめんしかないよ?」と心配される始末。
でも、まだまだ止まりません。

いつものわたしは食が細い方なので、母もおどろき顔で、あわてて麦茶を注いでくれました。

ちりめんしかなくたって、そのちりめんこそが大好物のわたしは「ぜんぜん、だいじょうぶ!おいしいよ!!」と祖母に答え、おひつが空になるまで合計6杯もごはんを食べたのでした。

祖母は市場で仕事をしていたので、そのちりめんはたぶん、市場のお魚屋さんか乾物屋さんで買ってきたものだったのではないかと思います。
大きなビニールに入ったちりめんを、少しずつ小鉢に出してくれました。

銀色にキラキラ光る、小さな魚たち。
噛みしめると汐の香りとほのかな塩味。

そのままでも美味しいけれど、ちょっとだけお醤油をかけるとまた美味しい。
常温にちかくなったごはんにたっぷりのせて、パクパクと食べたのを思い出します。

食べすぎると好物を嫌いになることがあるといいますが…。
わたしは今でも、ちりめんじゃこが大好きです。

ただ、アメリカではなかなか質の良いものが手に入らないのが悩みです。
冷凍ものだと、どうしても食感が違ってしまうんですよね。

なので「ちりめんじゃこ」は、日本に帰国したときには必ず買って帰るもののひとつなのです。