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今回もまた番外篇として、カナダのトロントに行ってきた時の写真や雑談をシェアします。

マンハッタンをうんと北に登って「アップステート」と呼ばれる地域を抜けると、カナダに入ります。ご存じの方も多いと思いますが、実はニューヨーク州ってかなり北に長いのです。

英仏語が公用語のカナダにあって、英語圏であるトロントはカナダでも「アメリカ色が濃い」と言われます。アメリカのチェーン店がいくつも進出しているので、街なかでおなじみのロゴを見かけることも。

でも、わたしが行ったのはこんな牧歌的な風景が楽しめる、トロントから車で3時間ほどの北の街です。

まずは楽しみにしていた、ファーマーズ・マーケットへ。

しかしながら、11月の頭は既に「木でできたクリスマスツリー」が売っているくらいのシーズンオフ目前で、出ているベンダーも最盛期の1/3くらいでした(注1)。

売っている野菜もほとんどが保存の効くものたち。
にんにく、かぼちゃ類、いも類、根菜類、キャベツ…などなど。そして寒さに強いケール。

個性あるトラックで野菜を売りに来ている農家さんがいくつかいて、見た目にも楽しめます。

寒い地域ならではの、アルパカ製品を売っているベンダーもいました。
夏にはアルパカを連れて来ていたそうです!

わたしはこのマーケットでは「ヤギ乳の手作り石けん」を買いました。
香りづけにハーブや精油を使っただけのシンプルな洗顔用石けんで、泡立ちは少ないですが毛穴の汚れがよく取れて、肌がツルッツルになります!

こちらはギフト用にもなりそうなにんにく。
編みこみで茎をまとめてあり、チャームとして自然石がついているものも。ナチュラルなスタイルのキッチンなら、実用も兼ねた飾りになりそうです。

翌日に訪れたのは、街なかの自然食料品店です。

人口密度が少なく、土地がたっぷりあるカナダでは、中心地以外の街なかではあまり高い建物がなく、施設はとにかく横へ横へと広がっています。
このスーパーがあるショッピングセンターもご多分にもれず、横に平べったいスタイルです。

食料品、雑貨、お惣菜、そして自然派化粧品や健康系商品など、アメリカにもよくあるお店の品揃えです。

しかしながら、中規模のサプリメントストアが丸ごと入っているかのような健康系商品の売り場の広さには、ビックリでした!

入ってすぐのところにあったお惣菜コーナーでは、スープ類が瓶入りで売られていました。ラベルもすぐにはがせるシンプルなものです。

食品のにおいや油がなじみやすいプラスチックのコンテナの場合、中に入っていた食べ物によってはきれいに洗って使い回すのがちょっと面倒ですが、瓶ならにおいもつきませんし、洗えばすぐ、きれいになります。

これはぜひ、アメリカでもやってほしいなあ…と思いました。
重たい、割れる…などの欠点はあるでしょうが、プラスチックではないというだけで、個人的には気持ちよく感じます。

冷たい飲料の冷蔵庫で売られているお水にも、100%リサイクルで作られたペットボトルを使ったものがあります。この緑のボトルがそれです(注2)。
こういう製品を見ると、お店のモラルの高さを感じますね。

この地域にはドネーションによって運営されるセカンドハンド・ショップも多く、そこで売られている商品はかなりきれいです。ものを大切に使い、使わなくなったらリサイクルする…という感覚が人々の身についているように感じました。

お惣菜のガラスケース内のディスプレイも可愛い!
適度な空間があるために詰め込み感がなく、見やすくなっています。
アジア人が少ない地域ということですが、意外にエスニックなメニューがありました。

友人のおすすめは生地がスペルト小麦(注3)でできている、専門のシェフが店頭で焼くピザ

…というわけで、軽いお昼ごはんにいただいてみました。

このピザ一切れが4カナダドルくらい。
米ドルだと3.5ドルという感じでしょうか。

白小麦の生地と違ってモチモチ感は少なめですが、小麦の香りがふくよかで、硬めの歯ごたえが気持ちよかったです。上にのっている野菜の種類と量もたっぷりで、満足の行くお味でした。

この時、友人が飲んでいたのが「マッシュルーム・ラテ」
これは「チャーガ」という野生のきのこ(注4)を粉末にしたものが使われていて、カナダでは健康食品として愛飲されているそうです。

ちょっとお試しでもらったお味は…ミルクの奥の方にきのこの香りがある…という、不思議なものでした(笑)

野菜売り場では、一部のレタスがこんなふうに売られています。

カナダではこの形での販売が多いそうで、このまま水をやって水耕したり、夏なら土に埋めて育てたりもするそうです。「鉢」はもちろん「バイオ系素材」で、このまま土にかえすことができます。

アメリカでもそのまま土に埋め込んで使えるよう、ハーブの鉢が同じような「バイオ系素材」で売られていることがありますね。

これはカナダならではの「メイプルの樹でフィルタリングした水」
メイプルシロップを作る際に出るもので、今までは捨てられていたものだそうですが、今は有効利用をしようという動きがあるようです。

和食系の商品棚も立派なものです!

味噌と醤油だけで棚が上から下まで埋まっていて、きちんとした「みりん」も数種類ありました。
わたしの最寄りのWhole Foods Marketよりもすごい品揃えです。

この店を利用する層は発酵系に関心が深いのか、「発酵101」と名づけられた、初心者向けのワークショップの告知も見かけました。

こちらはジャム。
カナダの製品はパッケージデザインが美しいものが多く、シンプルだったり可愛かったりと、購買意欲をそそります。

こちらは羊乳製ヨーグルト。
何とも可愛く、これならまた買おうかな…という気になります。

この街にはこうした自然食料品店がいくつもあり、どのお店もゆっくりと店内をながめるだけで十分に楽しめます。
お店ごとに個性や傾向がありますが、総じてどれもインテリアや造りがきれいです。

他にも、経営者のカラー(出身国など)が強く出ているスーパーマーケットなどもあって、こうした個性のあるお店を回るのが、カナダを訪ねる時の大きな楽しみになっています。

実はまだまだ回りきれていないので、この次は、雪がなくなる春の終わりくらいにまた訪ねようと思っています。

注1)カナダのサンクスギビングは10月なので、11月頭の街や店は既にクリスマス一色です。

注2)カナダは公用語が英仏のため、製品のパッケージは両言語を記載することが法律で定められているそうです。
この水のボトルも、ちゃんと英仏併記になっています。

注3)スペルト小麦は「古代小麦」と呼ばれている、昔ながらの品種改良をしていない小麦です。グルテンが少ないこともあり、グルテンアレルギーのリアクションが起きにくいと言われています。
実際に、わたしが出会ったグルテンアレルギーの方も「スペルト小麦の製品は食べられる」とのことでした。

注4)「チャーガ」は和名をカバノアナタケ、別名で「シベリア霊芝」とも呼ばれます。
森を探しまわっても1〜2本とれるかどうか、というくらいの非常に希少な「幻のきのこ」で、抗酸化作用、抗腫瘍作用、免疫増強、美容効果などがあるとされています。

すっかり夏になりました!
わたしの街のファーマーズ・マーケットもようやく再開、週ごとに増える野菜たちとの生活を楽しんでいます。

この「マーケットの始まりの時期」によく出会うお野菜が、ほうれん草

冬の寒さにあたったほうれん草は言うまでもなく甘くて美味しいですが、初夏のやわらかなほうれん草も、また美味です。

サラダ用のシュウ酸が少ない品種はパッケージに入って年を通して売られていますが、土で育ったしっかりしたほうれん草は、やっぱり食べておきたいところです。

ご存知の通り、栄養価が高いことで知られる「健康野菜」の代表格のようなほうれん草
たっぷり含まれるβカロテンには抗酸化作用があり、抗がん作用や免疫を活性化させる緑黄色野菜としても知名度はバツグンです。

また、βカロテンは体内でビタミンAとなって髪・目・皮膚の健康を維持し、呼吸器系統をも守ります
根の赤い部分にはマンガンが含まれるので、全体を通して含まれているカルシウム&マグネシウムといっしょになると、とっても有益です。

しかしながら、ほうれん草にはシュウ酸が含まれているので、湯がいて取り除く必要があります。

シュウ酸は「灰汁(あく)」と呼ばれる水溶性の成分(注1)です。
水溶性ということで、湯がくことで8割がたを減らすことが可能です(注2)。

今回は、湯がいたほうれん草に、これまた緑黄色野菜としてよく知られる人参をプラスしたお料理をやってみます。

ほうれん草のお供をするのは、最近になってアメリカではかなりメジャーになった「カラー人参」
「Rainbow Carrot」などの名前で見かけるようになりました。

中でも「紫人参」は、アントシアニンを色素に持ちます。
これはあのブルーベリーや紫キャベツと同じもので、同様に強い抗酸化作業があります(注3)。

今回作るのは、この紫人参&ほうれん草の「抗酸化作用ペア」で作る、初夏らしい茹で野菜のサラダです。

βカロテンの吸収には欠かせない油分も、しっかり入れます!!

材料はこちら。

材料<2人前>

  • ほうれん草・一束
  • 紫人参(普通の人参でもOKです)・1/2本
  • 粒マスタード・小さじ3
  • オリーブオイル・大さじ1
  • 胡椒・適宜
  • ・(人差し指+中指+親指で)3つまみ

道具

  • 大きなボウル(できればふたつ)
  • 中くらいの鍋
  • タオル(フェイスタオルやハンドタオルなど)
  • ざる
  • 計量スプーン
  • トングや菜箸

アメリカのほうれん草はこうやって、葉っぱだけ摘みとったものを売っていることがよくあります。
もちろん、束でも売っていますが、以外に見かけるのがこの「葉っぱだけ」のスタイル

この写真で約一束くらいあります。

まずは鍋に水をたっぷり入れて火にかけます。
お湯を沸かす間に、ほうれん草を洗っておきましょう。

ボウルに水を張って、しっかり洗ってやります。

洗った後、5分くらいそのままボウルの水に漬けて水分を補給してやります
こうすると、湯がいた後のみずみずしさが違うのです。

根付きのほうれん草の場合、大きな根には2センチくらい、縦に切り込みを入れてあげます

人参はピーラーで薄く皮をむきます。

お湯には塩(分量外・お湯1.5リットルに対して小さじ1ほど)を入れ、まずは人参を茹でます。

人参の太さにもよりますが、かためで3分、ほどほどで5分、柔らか目で7分くらいです。
茹で加減を確かめるには、トングなどで取り出して、端っこを切って食べてみます。

そして「もう少し茹でたい」と思うところでお湯からあげ、ざるやボウルにのせてそのまま冷まします(注4)。

お次は、ほうれん草。

茹でる順番は、間違えないでくださいね。

ほうれん草を湯がくことでシュウ酸がお湯に溶け出すと、それ以上は使えません。
なので「人参が先でほうれん草が後」なのです。

一度に詰め込んで、葉っぱが折れたり、お湯の温度が急に下がって上手く湯がけないことがないよう、ほうれん草は多かったら2度に分けて湯がきます

根付きの場合は、根っこを入れてまず20〜30秒を手で支えながら「立った状態」で茹でます
その後、菜箸やトングを使い、葉っぱまで全部を沈めます。

ほうれん草を湯がくタイミングはなかなか難しいですが、基本的には「湯がく」です。「茹でる」ではありません

つまり、グツグツするのではなく、煮立ったお湯に沈めた後は2回くらい上下を返したら、もうOKなのです(注5)。

時間にして、長くて30秒くらいでしょうか。

湯がき上がったタイミングの目安になるのは、茎の透明度です。
茎が半透明になって、全体が綺麗な緑色になったら、すぐに引き上げてボウルで水にさらします。

この時はたっぷりと流水をあてます
時には全体を手で返してやり、全体が素早く冷めるようにします。

こんな風に、茎が透明になっていたら、湯がき上がっています

5分ほどチョロチョロと水を流しながら冷ましている間に、ざるにタオルを敷いておきます(注6)。

冷めたほうれん草を、少しずつ手にとって軽くしぼります。
絞り過ぎるとカスカスになって美味しくないので、ほどほどに絞るのがコツです。

根付きの場合は根を上に持って上から下へ何度か軽く絞り、葉っぱだけの場合は片手にとった葉っぱに上からもう片方の手をそえてそっと握るように絞ります

軽く絞ったら、タオルの上に広げ、軽くほぐして水気を切ります。
余分な水分をタオルが吸ってくれるので、後の作業が楽になります。

ほうれん草を水切りしている間に、冷めた人参を薄い輪切りにして行きます。

ほうれん草はもう一度軽く水気を絞って、ざく切りに。

野菜たちをボウルに入れ、粒マスタードと塩&胡椒を入れたら、オリーブオイルを入れます。

そして、全体を手でよく和えたら、出来上がりです(注7)。

輪切りの人参とほうれん草はなじみにくいので、ほうれん草をほぐすようにして、全体がよく混ざるように仕上げます

お好みで塩気が足りなければ塩を、酸味が足りなければレモン汁やヴィネガーを少々、足してあげてください。

時間が経過すると粒マスタードに含まれるお酢によって、ほうれん草の色が少し悪くなりますが、食感やお味には問題はありません

この「変色」があるので、仕上げるのはいただく直前がベターです。

このままサラダとして食べてもOKですが、お肉やお魚料理の付け合せにもなります。

残ったらスープやカレーの具材にするもよし、細かく刻んでパスタ+お好みの調味料と和えて、パスタサラダに進化させることもできます。

ほうれん草でなければできないのかというとそうでもなく、スイスチャード、小松菜、水菜、青梗菜など、クセのない青菜なら何でも合うと思います。
キャベツの外葉なんかも合いそうですね。

要は「粒マスタードで湯がいた青菜を和えたもの」と考えると、幅広く使えるレシピです。

暑さを感じる日も多いこの頃、酸味のあるサッパリしたサラダはメニューに取り入れやすいと思います。
緑黄色野菜をたっぷりとって、本格的な暑さにそなえましょう!


注1
シュウ酸はカルシウムの吸収を阻害したり、体内でカルシウムと結びついて結石の原因になったりもします。
しかしながら、結石などの持病を既にお持ちの方でしたら意識する必要がありますが、そうでない場合は「生で1kg食べる」などの常軌を逸した食べ方をしないかぎり、普通に食べて大丈夫です。シュウ酸については湯がくとよりいっそう安心なので、おすすめです!

注2
シュウ酸がお湯に溶け出すので、湯がく時のお湯はたっぷりと。
湯がいた後のお湯に色がつきますが、これがシュウ酸です。

また、湯がいたものを水にさらす時は、ただパシャパシャかけるのではなく、しっかりと流水を使います。
急速に温度を下げることで、綺麗な色を保てます。

注3
抗酸化作用が強いということは活性酸素に対抗する…ということで、結果的にアンチエイジングにも役立ちます。
眼精疲労の予防や、視力の維持&向上にも一役買います。

アントシアニンはポリフェノールの一種です。
紫人参は、通常の人参と比べて約10倍ものポリフェノールを含むそうです。

注4
水にさらさないので、余熱で火が入ります。
そのため「もう少し茹でたい」というところで止めるのがちょうどよいのです。

注5
葉っぱが柔らかい場合は、1回の天地返しで十分です。この場合、10秒程度でしょうか。

注6
ほうれん草の色素がついてしまうので、汚しても構わないものを使ってください。ふきんではなくてタオルです。あのループが、とってもいい仕事をします。

わたしは写真の通り、色がついても目立たない、濃い目のベージュのものを使っています。

注7
調理器具ではなく、手で和えてあげてください。
そうすることで全体がよく混ざりますし、混ざり具合もすぐにわかるので仕上がりのタイミングを読みやすいです。