年が明けて真冬の今は、ファーマーズ・マーケットも「保存野菜」がほとんどです。

温室を持っているファームからは、寒くても育つ青物(ほうれん草やケールなど)が少し出たりしますが、多くのファームは今、早春からの植え付けに備えて、畑を休ませています。

そのため、ファームがマーケットに出すのは昨年の秋までに収穫されている、保存が効く野菜になります。

具体的には、根菜類やねぎ類ですね。

かぶ(パープルヘッド・ターニップなど)、ルタバガ(アブラナ科の蕪に似た野菜)、じゃがいも人参玉ねぎセルリアックビーツリークパースニップ(白人参)スクワッシュ類(バターナッツスクワッシュ、スパゲティスクワッシュ、エーコンスクワッシュなど)…どれも保存の効く野菜たちです。

その中でも、今回は玉ねぎを使ってみます。

そのままスライスして食べられるシャープな美味しさの新玉ねぎに対して、冬の玉ねぎは、熟成された美味しさがあります。

これは生で食べるよりも火を通して、甘みをしっかり味わいたいところ。

玉ねぎはもともと糖度の高い野菜なのですが(注1)、一緒に含まれている辛味成分(注2)がとても強いので、生で味わうと、そちらの方が先に感じられてしまいます。

じっくりゆっくり加熱した玉ねぎは、その辛味成分が変化して糖度の高い成分に変化しますので(注3)、甘みを強く感じられるようになります。

その甘さを活かすために、シンプルな「丸焼き」と「マリネサラダ」でいってみます!!

かなりの高確率でおうちにある野菜のひとつ「玉ねぎ」なので、思い立ったらできるのが気楽です。

その上、調理は面倒くさいことなしでオーブンにおまかせ!
他のものを作っている間に、できちゃいます。

今回の材料はこちら。

玉ねぎはしっかりと皮に包まれたものを選びます。
可食部が透けて白っぽいものより、皮が何枚かついていて茶色いもののほうが向いています。

材料<2〜3人前>

  • 玉ねぎ・中2個
  • パセリ(イタリアンでもカールでもOK)・2〜3本
  • オリーブオイル・小さじ2
  • ビネガー・小さじ2
  • ・適量(親指・人差し指・中指でふたつまみ〜)
  • 胡椒・少々

道具

  • 耐熱トレイ
  • 鍋つかみ
  • 鍋敷き
  • パーチメントペーパー(またはアルミホイル)
  • トング
  • 計量スプーン
  • ボウル

まずは、オーブンを360F(180℃)に予熱しておきます。

耐熱トレイにパーチメントペーパー(またはアルミホイル)をかぶせ、玉ねぎをできるだけ触れ合わないように置きます。

オイルなどを塗る必要はありません。

予熱が完了したオーブンにそのまま入れ、1時間〜1時間半、焼きます。

途中で1〜2回、上下を返してあげます(注4)。
長いトングを使うなどして、火傷に注意してください。

待っている間、パセリを刻んでおきます。
葉っぱだけじゃなく茎もある程度は使って、一緒に刻んでしまいましょう。

わたしはクタクタに焼けたものが好みなので、1時間半、加熱しました。
焼き上がりはこんな感じ(注5)。

玉ねぎの糖分がしみでたものが焼けてカラメル状になっているため、香ばしい匂いがします。

これをそのままお皿に乗せて、ナイフで切ったところにオリーブオイル、塩&胡椒、そして彩りのパセリをかければ…実はこれでも充分に美味しいです。

赤ワインのお供によく合いますよ!

でもせっかくだし、もうちょっと手を入れたいよね!
…ということで、マリネサラダにしましょう。

火傷に注意しながら(注6)まだ熱い丸焼き玉ねぎの皮を2〜3枚、白い可食部が出てくるまでむきます

出てきた可食部は、包丁でお好みの大きさに縦切りします。
甘皮で滑るので、丁寧に、ゆっくりやってくださいね。

切った玉ねぎをボウルに入れ、塩&胡椒、ビネガーを入れ(注7)、軽く混ぜあわせます。

塩はふたつまみも入れれば充分ですが、しっかり味にしたい時はあとひとつまみくらい足しても大丈夫です。

その後、パセリとオリーブオイルを更に加え、スプーン等でよく混ぜてあげます。

これででき上がりです。

このまま冷まして、味をなじませてから召し上がってください。

外側のトロッとした部分と、内側のサクッとした歯ごたえが残っている部分、どちらも楽しめるように盛り付けるといい感じですね。

冷めたものは保存容器に移して冷蔵庫で保管すれば、2〜3日はもちます。

カレーのお供に、そのままサラダとして…などなど、色々に使えるスグレモノでして、優しい味付けと玉ねぎの甘味は、和食に添えても違和感がないくらいです。

それでも残ったら、スープの具材として食べるのもまたよし!

ちなみに、冷めた丸焼きでも、マリネサラダは作れます
せっかくオーブンを使うのですから、まずは丸焼きを熱々で楽しんだ後、残りをマリネサラダに…という「一石二鳥」もいいと思います。

冷めた丸焼きをサラダにする場合、温かいまま味付けする場合よりも塩が少しなじみにくいので、できれば一晩おいてから食べるといい感じです。

塩の代わりにお醤油を使っても、面白い味に仕上がりますよ!

夏から秋の恵みである保存野菜をいかに丁寧に美味しく食べるかが、真冬の楽しみでもあります。

それに、オーブンを使った料理はキッチンの空気も温まるので、なんともホッとしますよね。寒い日にぜひ、やってみてください!


注1
野菜類の中でも最も糖質多く含まれ、果糖、ブドウ糖、ショ糖がほぼ同じくらいの量で含まれています。

注2
「硫化アリル」という硫黄化合物で、玉ねぎの刺激のある香りもこの成分がもとになっています(にんにくにも含まれます)。玉ねぎの効用としてよく知られている「血液をサラサラにする」という働きはこの成分によるものです。

アレルギー対策(免疫機能の向上)に効く成分でもありますが、加熱すると失われてしまうので、アレルギー対策には生で食べると有効です。
しかしながら、水溶性の成分でもあるので、水にさらさず、お酢などの酸味で辛味を和らげるほうがベターです。

この「硫化アリル」の揮発性を利用して、玉葱を横切り(繊維に対して水平)にしたものを部屋に置くと、咳が止まる…というのを、最近の「風邪または咳対策」としてよく見ます。
部屋がちょっと玉ねぎくさくなるそうですがw、確かに有効だそうです!

注3
加熱した硫化アリルは糖度の高い「プロピルメルカプタン」という物質に変化します。火を通した玉ねぎがとても甘いのはこのためでもあります。

注4
「ひっくり返し」はそんなに神経質にやらなくてもOKです。
わたしはいつも1回、上下を返しただけで済ませてしまいますが、特に問題はないです。

注5
耐熱トレイは熱くなってますので、トレイを置く際には鍋敷きなどを利用してください。

注6
冷たい水を少し出しながら、もしくはボウルに張るなどして、指先を冷やしつつやってくださいね。

むいた後の皮は、野菜出汁に使えます。コクのある出汁がとれますよ。
この場合、オーガニックまたは低農薬・無農薬の玉ねぎを使用し、焼く前に重曹などで表面を洗っておきます。そして、焼く前にはキッチンペーパーなどでしっかり水気を取っておいてください。

注7
使用するビネガーは、お好みのものでOKです。ワインビネガーでもいいですし、米酢でも、アップルサイダービネガーでも。
わたしが調理で使ったオリーブオイルはスペインのものでしたので、スペイン料理でよく使われるシェリー・ビネガーを使いました。コクのある香りが玉ねぎによく合います!

ビネガー以外に、レモン汁を使うのもOKです。この場合は小さじ1くらいを最初に入れて、酸味を加減してください。

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