No.10 熱々オイルでいただく「レタスのホット・サラダ」
ユニオン・スクエアのグリーン・マーケットは年を通して開いていますが、たいていの地域では、冬のファーマーズ・マーケットはお休みです(注1)。
11月終わり〜12月頭から約4〜5ヶ月の休止期間を経て、5月の中頃には、いろんな街のファーマーズ・マーケットが再開されます。
が、今年はどうも天候不順で、野菜の作付けがあった時期のトライステートはとても寒かったのです。そのため、せっかく植えた野菜たちが枯れてしまい、もう一度植え直した…という農家さんも少なくないそうです。
そのせいか、野菜たちの出足も少し遅くて、寒さや涼しさに強い葉物はたくさん出ているのですが、例年でしたら5月には出回るはずの「実もの(人参、蕪類、新たまねぎなどなど)」はまだまだ(注2)。
ビーツの若い株やラディッシュが出ているくらいで、先週ようやく、露地物の苺に出会えたばかりです。
それでも毎週、訪ねるごとに野菜の種類が増えていくさまには、野菜たちの頼もしい生命力を感じずにはいられません。
そんな今のマーケットでたくさん種類があるのはこれ。
レタスたちです。
バターレタス(日本で言うところの「サラダ菜」)、ヘッドレタス、ロメインレタス、グリーンリーフレタス、レッドリーフレタス…。
彩り豊かでパリッとしたレタスたちには、農家さんの気合が感じられます。
レタスはビタミンC・E、カロテン、カルシウムなどを含みます。
油と一緒にするとカルシウムの吸収効率が上がります。
茎を切ると出る「サポニン様物質」には、肝臓・腎臓の機能を高める働きも(注3)。金気を嫌うので、可能なら刃物を使わずに手でちぎってあげるといいです。
切り口が赤くなるのは、ポリフェノールが酸化しているからです。
腐食ではありませんが、そうならないうちにできるだけ早く食べてあげてください。
でも、レタスを食べると言っても、ドレッシングをかけたサラダばかりでは飽きてしまいますし、身体も冷えがちになってしまいます。
そこで、スペイン料理の前菜として有名な「Cogollos al Ajillo(コゴロス・アル・アヒージョ)」にヒントをいただいて、レタスのホット・サラダを作ってみました(注4)。
作り方はとってもかんたん!!
ちょっと一品ほしいな…なんて時や、ササッと「とりあえずの一品」を出したい時に便利ですよ!
今回の材料はこちら。
緑のレタスは、ロメインレタスです。
外側の葉を剥いた薄黄緑色の芯の部分が「ロメイン・ハート」としてスーパーでパック売りされていますが、あれの全体図はこんな感じなのです。
わたしは今回、これを4つ割りにして使いました。
大胆な感じですけども、パリパリの食感が楽しめます。
添えたのは、外葉を結構に食べて芯に近いヘッドレタスです。
こちらを使うと、柔らかい食感が楽しめます。
どちらを使うかは、お好みですが、どの場合も葉っぱをまるごと食べる素材なので、できれば無農薬栽培やオーガニックのものを選びたいところです。
材料<1〜2人前>
- ロメインレタス・小ぶりなもの1/2個
- にんにく・2かけ
- バルサミコ酢・大さじ1
- オリーブオイル・大さじ2
- 塩・適量(親指・人差し指・中指でふたつまみ〜)
- 胡椒・適量
道具
- 小さいフライパン
- 計量スプーン
- ボウル
まずはレタスの根本の余分な部分を切ります。
そのままざっと洗い、葉に水を行き渡らせるよう、根本をしっかりと冷水に漬けますが、漬けすぎると栄養素が流れ出てしまうので、5分くらいで水からあげます。(注5)
その間に、にんにくを薄切りにします。
芯は特に取る必要はありません。この部分も食べられますから、食べちゃいましょう(注6)!
水からあげたレタスは半割りにします。使うのはこの半割を更に割った、1/2個ぶんです。
使用するぶんの全体を流水で手際よく洗います。
特に根本に土が入っているので、流水を当ててよく洗い流します。
洗ったレタスは、ペーパータオルやふきんなどで、しっかりと水を取ります。
ここをいい加減にやると美味しく仕上がりませんので、決して手を抜かず、丁寧にやってくださいね。
レタスの下ごしらえが済んだら、盛り付け用のお皿に載せておきます。
ここまでできたら、ソース作りです。
小さいフライパンにオリーブオイルとにんにくスライスを入れて、弱火にかけます。油が冷たいうちから、にんにくスライスを入れるのがコツ(注7)。
フライパンを適度にゆすり、にんにくスライス全体に熱が回るように、そして、油にはにんにくの香りがよく移るようにしてやります。
焦がさないよう、ゆっくりと、慎重に。
にんにくを過熱している間、お皿に盛ったレタスには、バルサミコ酢をかけまわしておきます。
オイルがサラサラになり、にんにくスライスがきつね色になったら、火を止めます。
そのフライパンをそのままレタスの上に持って行って、熱々のオイルをレタスにかけます。
そして、塩をふたつまみほど全体にパラパラっとやったら、できあがりです。
お好みで胡椒も挽いてください。
シンプルながら、みずみずしいレタスの食感と、ほんのり苦味のある爽やかな風味をよく味わえる一皿です。
食べる時には、豪快にこのまま手づかみでもいいですし、ナイフで適当に切って食べるのもよしです。
また、オイルをかけてから少し放置して、半生レタス…という感じにしなっとさせてから食べるのもまた楽しいです。
使うレタスもロメインじゃないとダメということはありません。
様々なレタス、もしくはサラダ向きの青菜で作ることができます。
味の方もお好みでチリペッパーをかけたり、バルサミコをレモン汁に替えたり、オイルをごま油にしてみたりと、バリエーションも自由自在!
お醤油をかけて塩なしで作ってみるのも、面白いですね。
どの場合も、ドレッシング代わりになるオイルは少し多めが美味しいようです。
そろそろ蒸し暑く感じる日も出てきて、生野菜が嬉しい時期です。
ドレッシングがけの生野菜に飽きたら、ちょっと目先を変えてみませんか。
場所によっては、温室などの半屋内を利用した「ウィンター・マーケット」が開かれているところもあります。
注2
ユニオン・スクエアのマーケットには、わたしが住んでいるコネチカット州よりも西になる、ペンシルヴァニア州などからも農家さんがやって来ます。
感覚としてあちらの野菜の出足は、2〜3週間、コネチカットより早い感じです。
注3
薬膳では「苦甘/涼」の性質を持ち、活血(血の巡りをよくする)、健脾(消化吸収を良くする)、清熱(身体の中の余分な熱をさます)、通便(腸の働きを高める)、補血(造血機能を促進する)に有効です。
注4
「コゴロス」は、スペインで食べられている、小さなレタスです。外側の葉を剥いたのではなく、最初から小さいレタスなのです。
これに、熱々のにんにくオイル(アヒージョ)をかけたものが、前菜として食べられています。
注5
この時、農薬が心配であれば、大きめボウルいっぱいの水に重曹を小さじ1杯程度を溶かした水に全体を1分漬けると(完全にではありませんが)農薬を除去できます。
重曹は掃除用のものではなく、食用のものを使ってくださいね。
重曹水から引き上げたら流水でよくすすぎ、水分をきちんと取ってから使います。
注6
「苦味のもとになるので取る」という説もあるのですが、わたしはそのまま食べます。
この部分は焦げやすいため、加熱時に苦味のもとになりやすいのですね。加熱時はゆっくり、そして焦がさないよう、目を離さず作業しましょう。
注7
この「オイルが冷たいうちににんにくを入れる」のは、ペペロンチーノを作る際のコツでもあります。オイルを熱してからだと、にんにくは一瞬で火が通って、焦げてしまうのです。
Trackbacks & Pingbacks
[…] No.10 熱々オイルでいただく「レタスのホット・サラダ」 […]
Comments are closed.