暦の上ではもう春ですが、まだまだ食卓への出番が多いものと言えば、シチュー、おでんなどのあったか系に加えて、「鍋もの」ですね!
お野菜だけで十分に満足いく仕立てにできる鍋ものは、菜食のつよ〜い味方でもあります。
最近は「カレー鍋」「トマト鍋」などの変化球もよく見かけるようになり、スープやつけダレを変えることで飽きずに食べる工夫をされている方も多いのではないでしょうか。
中でも、菜食の人の貴重なタンパク源になる「お豆腐」。
こちらは鍋ものに欠かせない具材であると同時に、湯豆腐や豆乳鍋では、主役としても大活躍していることでしょう。
しかしながら、最近になってよく耳にする「植物毒」の話、これがお豆腐にも当てはまるのです。
「植物毒」とは、「植物が外敵から身を守るために備えた、植物性の反栄養素物質」…のこと。
加熱や浸水で解毒を促しますが、それでも残ってしまって、体の不調を作るもとになる…と考えられているものです。
大豆には様々に「植物毒」と呼ばれる成分が含まれますが、その「植物毒」は、発酵を経過することで無毒化されます。
つまり、醤油や味噌は問題がないわけですね。(注1)
無発酵食品であるお豆腐や豆乳には「植物毒」と呼ばれる成分がそのまま含まれていますが、いただく時に発酵ものを合わせることで、できる限り難を避ける…という形がとれます。
冷奴にお醤油…なんて組み合わせは「とても理にかなったもの」というわけです。
とはいえ、お豆腐にも豆乳にも、身体にとってよい成分はいっぱい。
食べてすぐに「植物毒」でどうこうなる、なんてことはないですから、バランスよくいただきたいもの。
そんなお豆腐を、ちょっと変わった鍋もので食べてみるのが今回です。
重曹を溶かした水で湯豆腐をするのですが…。
お豆腐がとろ〜〜りとろけて、えも言われぬ食感になります!!!
このいただき方、温泉地ではアルカリ性のくみ上げ湯を使って作る「温泉湯豆腐」と呼ばれているものです。
温泉宿の名物だったりもしますね。
これの有名なものが、日本三大美肌の湯のひとつとしても有名な、嬉野温泉(嵯峨県)の「温泉鍋」。
なのでこの鍋も、名付けて「美人鍋」!!
やり方は簡単。
ちょっとした注意事項を守るだけで、手順の写真も要らないくらいです!!
では、いってみましょう〜!
材料<2人前>
- お豆腐・1〜1.5丁(お好みで)
- 重曹(食用可のもの)・小さじ1〜
- 水・1リットル〜
- 昆布茶粉末・(あれば、またはお好みで)小さじ1〜
- つけダレ・薬味など・お好みのものを、お好きなだけ
おすすめの具材
油揚げ(油抜きなしでOK)、白菜、大根、白しめじ、えのき、長ねぎなどの「白い野菜」
ノンベジの場合は、鱈(白身魚)、豚肉、鶏肉
おすすめのシメ
乾麺の細うどんか、乾麺のひやむぎ
道具
- 土鍋など、鍋料理をいただく鍋
- 計量スプーン
- 目の細かい網杓子
- とんすいなど、鍋をいただくための道具立て
まず、土鍋に8割くらい入るように、水を計量します。
1リットルにつき「重曹・小さじ1」、お好みで「昆布茶(注2)・小さじ1」をよく溶かします。
まだ着火はしません。
食べているうちに溶けてしまいわないよう、お豆腐は大きめに切ります。
お揚げも大きく、半分くらいの大きさに。(注3)
お野菜はざく切りなど、好きな切り方でOKです。
土鍋に具材を全て入れ、ここで着火します。
必ず、水の段階からお豆腐とお揚げを入れてください。
煮立ってから10分くらい、中弱火でグツグツやると、次第にお豆腐の角がなくなって、とろけてきます。
そこが、食べどきです!!
お豆腐がとっても柔らかくなっていますので、網杓子などでそっとすくってください。
とろ〜んとなったお揚げも、柔らかくて箸ではつまめないことがありますので、こちらも網杓子でそっと。
つけダレは、先程の「植物毒」の件をクリアするよう、だし醤油、生醤油、めんつゆ、ポン酢などなど、お醤油ベースのタレがおすすめです。
煮立ってからお豆腐を入れても、多少は柔らかくなりますが、水から炊いたものが一番です。
意外にもお豆腐がたくさん食べられますので、多めに入れてもいいかもしれないです。
おすすめの具材を白い野菜に絞ったのは、理由があります。
葉物野菜や色の着いた野菜を入れると、重曹入りの出汁で具材が溶けてしまうため、出汁に色がついてしまうのです。
食べられなくはないのですが、見た目がとっても残念な感じに…。(注4)
なので、ここは思い切って、白系の野菜のみにすると綺麗です!!!
中でも一番のおすすめの具は、お揚げ!!
タンパク質が溶けたことで不思議な食感になって、お豆腐よりも人気です。おひとり2枚くらいはペロッといけちゃいますよ!
最後の方には、土鍋の中は溶けたお豆腐のおかげで、豆乳のような白い出汁ができていると思います。
そうなってからのシメにおすすめなのは、細うどんかひやむぎ。
具材をさらって煮立てた汁に、半分に折った乾麺を直接入れて煮込みます。
すると、麺(小麦粉)からでたとろみと、麺を少しずつ溶かす出汁の効果で、和風のカルボナーラのような「とろみつきの麺」になるのです。
塩と胡椒で味付けしていただくと、なんとも言えない美味しさ!!
チーズがOKな方は、削ったりおろしたりしたナチュラルチーズを入れても。
お雑炊もいいですが、この「少し細めの麺を直に煮る」のは、見た目が面白く、お味も良いので好評です。
この時に使う麺類は、素麺や春雨のように細いと重曹の作用で煮溶けてしまうので、細すぎる麺類はおすすめしません。
そして太すぎると煮えるのに時間がかかりすぎて焦げ付きやすくなるので、少し細めの「細うどん」「ひやむぎ」がベストです!
最後に、ルールを整理しますね!
- 水1リットルに対して重曹は小さじ1
- 具材は「水から」入れる
- 「白い野菜」を使う
これだけです!
楽しい食感が大人気の「美人鍋」、ぜひ寒い間にお試しくださいね。
こちらの記事が詳しいです。
「大豆の毒について」
https://ameblo.jp/kiyolenon/entry-12215270643.html
注2
ヘルシー・ドリンクの「コンブチャ(液体)」ではないですよ!!
本来の「昆布茶」です。昆布を粉末にしたままの、できるだけ添加物のないものが望ましいです。
昆布茶はオプションなので、なくてもOKです。
注3
1丁を6つ切りにするくらいの、大ぶりな感じで。
注4
ノンベジの場合も、お魚やお肉が柔らかくなったり崩れたりしますので、早めに上げて召し上がってくださいね。