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今回は番外篇として、カナダのトロントに行ってきた時の写真や雑談をシェアしますね。

大陸を横断するように国境が接しているアメリカの北側の州の住人にとって、カナダはたぶん「いちばん近い外国」ではないかと思います。

飛行機だけではなく、マンハッタン(ペン・ステーション)から直接カナダに入国する電車もありますし、陸路で入ることもできます。
とはいえ、国境のどこからでも入れるかというとそんなことはなく、空港以外の入国ポイントはいくつかに限られています。

その中のひとつが、オンタリオ湖をはさんでアメリカと接している、オンタリオ州のフォート・エリーです。

あの有名なナイアガラの滝から少し南に下ったところで、入国ポイントから1時間くらい車で行くと、カナダでも有数の著名な大都市・トロントがあります。

わたしは友人がトロント郊外に住んでいるので、かの女を訪ねてきた次第です。

カナダは人口密度がかなり低いのですが、そのせいかおおらかで優しい人が多い印象ですね。

また、大都市トロントだから…というのもありますが、ヘルスコンシャスな人の割合がとても多いと感じました。
肥満率NYに比べて低いようで、街なかで太った人をさほど見かけません。

今はトロントの北側にとてもたくさんの人が住みつくようになっていて、たくさんの新しい家やコンドミニアムが作られています。
移民もたくさん受け入れているとも聞きました。

わたしが友人を訪ねた街は、ほぼ白人系の住人でしめられており、東欧やイタリア系が多いそうです。

まず連れて行ってもらったのは、NYでもなかなかないと思われる「大型の東欧系スーパー」でした。

しかしながら、何故か韓国系の商品が置いてあったり、惣菜コーナーでキムチが売っていたりと、不思議なミックス具合。
資本に韓国系が入っているのかもしれません。

オンタリオ州では、州内で収穫された農作物にオリジナルのマークをつけ、ハッキリとわかるようにしています。高速道路沿いには「オンタリオ州産」をPRする大きなビルボードもありました。

かなりの量をまとめ売りしているこのきゅうりは、ピクルス用。
東欧系の食事には欠かせないものですね。

持ち手にカナダのメイプルリーフがあしらってあり、箱にもオンタリオの名前が入っています。

そのきゅうりの隣には、ピクルスの香りづけに使うフェンネルの花が大きな束で売っていました。

このきゅうりが載っている台の黒い幕にあるグリーンのマーク、これが「オンタリオ州産をあらわすロゴ」です。

こちらはジャム用に大量売りしているサワーチェリーといちじく。
こちらの台をおおう幕にも「オンタリオ産ロゴ」がついているのを見ていただけます。

他の野菜にも、オンタリオ産がたくさん用意されていました。

こちらは乾物系を量り売りしてくれるお店。
粉物、ナッツ、クーベルチュールチョコなどの材料系から、グミやクッキーなどの製品系まで…たくさんのものが好きな量で買えます。

とにかくこの、商品が入っている容器が大きくてビックリです。
たぶん下までギッチリと入ってはいないでしょうけど、この容器が店中を埋め尽くしているさまは、圧巻です!

こちらはスーパーフードとして有名なキヌアとチアシード。
ちょっとした湯船くらいある容器に入ってます!!

広い敷地を使っていることもあって、品揃えが豊かでした。

NYでもなかなか見かけないスーパーフード系をはじめとして珍しいものがかなりあって、わたしは大興奮で買い物をしてしまいました(笑)

ナッツ・バターのコーナーには、ナッツ系だけではなく、ひまわりの種(サンフラワーシード)やかぼちゃの種のバターもありました。

Whole Foodsなどのナチュラル系のお店でのナッツ・バターの量り売りはよく見ますが、シード系のバターを売っているのは初めて見ました。

こちらがわたしの戦利品。

野菜の色素を使った3色のクスクス黄大豆の打豆カニワ(まだマイナーですが、スーパーフードのひとつ)、カシャ(ポーランド語で「蕎麦」、炒って香りと色を出したもの)、スペルト小麦の押し麦かぼちゃの種のバターオーガニック・ココナッツの発酵調味料…です。

何を作ろうかと今から楽しみです!!

このお店でも製品系を買う人はあまりおらず、粉、スーパーフード系、豆類などの「材料」を買っている人が多かったです。

スーパーの買い物客のカートの中も「料理をする人」の買い方がほとんど。
野菜をはじめとする「原材料」が入っていました。

無添加のものを探すのが相当に難しい加工肉(ハム、ソーセージ類)でも、普通のスーパーで「無添加&自然な材料だけでできているオーガニックの製品」が見つかります

見わたすとほとんどの商品に対してナチュラル系のものが置いてあり、添加物やケミカルありの製品とどちらも選べるようになっています。

買う側のニーズがなければ品物は置いていないはずで、このことと、そしてゴミの分別がかなり厳しくされていることから「トロント近郊のカナダ人は、ヘルスコンシャス&ナチュラル志向が強いのだな」と感じました。

友人の意見も同じでしたが、「トロントは大都市なので、そのせいもあるのではないか」…とのこと。

確かに、ナチュラル志向の製品やサービスを利用しやすい都会だから…という理由はあるかもしれないですね。

そのあたりはNY、特にマンハッタンを中心とした諸地域の事情と同じ感じです。

さて、カナダのお店で驚いたのは、牛乳の売り方

アメリカならガロンのプラスチック容器に入っている「大容量の牛乳」が、なんと「ビニール袋」に入った状態で売っているのです。

このビニール袋を収めて注いだり保存したりする、専用のプラ容器も売っているんだとか!!!

こちらは、ナチュラル系スーパーの「ヤギ乳」です。

脂肪球が小さいために消化吸収がよくて胃腸に負担がかからないこと、牛乳とは違うタンパク質で組成されているために牛乳アレルギーの人でも飲める可能性が高い…などの理由で、ナチュラル志向の人には人気があります。

アメリカでは数える程度しか見かけませんが、カナダでは脂肪分をとったものやオーガニックまで、たくさんの種類で売っていました。

そしてもちろん「ビニール袋」入りも!

こちらは冷凍の果物&野菜類。
アメリカ産のものなのですが、カナダへの輸出仕様になっているのでパッケージが「二言語併記」になっています。

ご存知の通り、カナダは英仏両方が母国語として使われる国です。
このパッケージの「二言語併記」は法律で決まっているのだそうで、あらゆる製品において、英語とフランス語の両方が表示されています。

「Organic」はフランス語だと「Bio」です。

ちなみにトロントは英語圏です。

アメリカの影響がかなり強いと言われている地域で、確かにモールや街なかで見かけるブランドにもアメリカのものが多く、お店の構造などもかなり似ています。
そのため、アメリカから行ってもあまり異国感はありません。

時々、マンハッタン近郊でもオンタリオ・ナンバーの車を見かけますが、オンタリオ人から見ても、アメリカ東海岸は「気軽に行ける外国」なのかもしれないですね。

今回の記事の冒頭の写真は、カナダの無印良品で見かけた「カナダ版トートバッグ」です。

「国を象徴する動物」であるビーバー、ファースト・ネイション(カナダの先住民)のトーテムポール、そしてアイスホッケーのスティック&パック

この中ではビーバーが一番の人気でしたが、カナダ人はとにかくビーバー好きだからでしょう。

洋服などのブランドのロゴなどはもちろん、空港や政府の建物にもレリーフや彫像があるのだそうです。

「まじめに働く動物だから」という理由で愛されているそうですよ。

今回は上手く日程が合いませんでしたが、ファーマーズ・マーケットや様々な製品(メイプルシロップや調味料など)の作り手が直接に販売をやるマーケットなどもあるそうなので、次回はそれを狙ってみたいと思ってます!

夏です!!

ここニューイングランドのファーマーズ・マーケットにも順調に夏野菜が増えて、あとはすいかとコーンが出てきたら、オールスターが出そろう感じです。

その中でも夏を代表するお野菜のひとつが、トマト

ここ数年はエアルーム種(原種系)が流行していて、おなじみの赤いものだけではなく、黄色、オレンジ、薄緑、ピンク、深緑、薄紫、果ては「ゼブラ」と呼ばれるシマシマのものなど、トマトの世界もだいぶカラフルです。

今回は、そのトマトを使った野菜ごはんです。

ご存知の通り、トマトは抗酸化作用をもつリコピンで有名ですね。

皮の部分にはフラボノイドの一種であるケルセチン、実の部分には食物繊維クエン酸
さらに「むくみとりの名人」であるカリウムが含まれます。

他にもうまみ成分のひとつであるグルタミン酸が多いので、単体でもうまみを感じる野菜のひとつです。

このグルタミン酸は種の部分にこそ多いので、種はとらずに調理するほうがうまみを楽しめます

トマトの「お供」として知られるバジルは、これまた抗酸化作用があり、免疫力を高めるとされるβカロテンに加えてビタミンEが含まれており、殺菌・抗菌作用も期待できるハーブです。

香り成分にはリラックス効果があり、虫よけにもなります。

なんとなく気持ちが落ち込んだ時や、うっとうしい気分の時は、バジルの香りをかぐとスッキリするのでおすすめです(他のハーブや、柑橘類の香りも良いですよ)。

では、今日はシンプルにトマトとバジルを楽しむパスタを作ります!

ソース作りに火を使わないうえ、トマトのうまみと酸味+バジルの香味でサラッと、でもしっかり食べられるので、暑い日にピッタリです。

材料はこちら。

材料<2人前>

  • チェリートマト(可能ならエアルーム種で)・2パック〜(お好きなだけ)
  • バジル(普通の人参でもOKです)・4本〜(お好きなだけ)
  • にんにく・ひとかけ
  • パスタ・160g(注1)
  • オリーブオイル・2まわし
  • ・小さじ1/4+パスタ用(量は後述)
  • 胡椒・適宜
  • ぬるま湯・適宜
  • ・2リットル

道具

  • 大鍋ふたつ
  • 大きめのボウル
  • ざる
  • 計量スプーン
  • トング

まずはひとつめの鍋に水を張って火にかけます。
2人前のパスタでしたらお湯は2リットルは要ります

もうひとつの鍋にはぬるま湯を適当に張り、パスタをひたします(注2)。

バジルは葉を茎から外して、手で適当な大きさにちぎります。
ハーブは金気が嫌いなので、できるだけ包丁や鋏を使わずに手を使ってあげます。

先っぽの綺麗なところは飾り用として、ちぎらずにとっておきましょう。

チェリートマトは洗って水を切り、ヘタを取って半割にします。

にんにくはみじん切りにし、トマトと一緒にボウルへ入れます。
そこへ塩も入れます。

ボウルはゆであがったパスタが入ることを考えて、大きめのものを使ってくださいね。

トマトは手でザクザクとつぶしていきます。
つぶしすぎると美味しくないので、ラフな感じでOKです。

トマトから出た果汁、これがパスタソースになります。
ここへオリーブオイルをくるくるっとふたまわし、入れておきます。

15分〜20分が経過すると、ぬるま湯につけたパスタはこんなふうに白っぽくなります。
パスタが水を吸った証拠です。

持ってみると、クタッと柔らかくなっているはずです。

パスタをゆでる前に、盛り付けるお皿も準備しておきましょう。
ここからは早いですよ〜!

パスタをゆでる鍋には、ざっとひとつかみくらいのお塩をしっかり入れます(注3)。
これはパスタに下味をつける役割があります(注4)。

塩を入れたお湯は、しっかりとグラグラするまで待ちます。

ぬるま湯の鍋から上げて水切りしたパスタを入れたら、このくらいの感じになるよう、火加減を調整してください。

表面が軽くグツグツして、時おりポコポコと泡が浮かんでくる感じです。
パスタは「さみしがりや」で、ほっておくとくっつき合うので、そうならないよう、トングや菜箸などで軽くまぜながらゆでます。

ぬるま湯にひたしたパスタは、ひたしていた時間にもよりますが規定の時間の約半分でゆであがります。

まずは3〜4分ゆでて、1本食べてみてください。
まだだったら1分ずつ、ゆで時間を追加して行きます。

モチっとした感じで、ややかためになったらOKです。
ソースにからめる工程があるので、少しかためでゆであげとします。

ここからは手早くいきます!!!

ゆであがったパスタはざるでお湯を切り、チェリートマトが入っているボウルへ入れます。

ボウルの片側を持ってかたむけ、側面をパスタが上から下へ落ちる重力を使って全体をよくあえます。

全体があらかたまざったら、バジルを入れてさっとまぜ合わせます。

一口分くらいを食べてみて、塩加減を確認して調整します。
お好きな方は胡椒もどうぞ。

盛りつけたらできあがりです。
飾り用のバジルものせてくださいね。

食べてもOKなかたは、お好みでパルミジャーノ・レッジャーノをかけても美味しいです。

常温の果汁がソースなので、アツアツのパスタではないのですが、暑い時期には食べやすいです。
ソース作りに火を使わないので、暑い日でも手軽にできるのも嬉しいところ。

チェリートマトの他、湯むきしてざく切りにしたトマトでやっても美味しいです(注5)。

実はこのメニュー、わたしの「思い出の一皿」なのです。

アメリカに来たばっかりの頃に「なんとか早く英語になじまなくては」…と、友人のおすすめに従って、TVを観ていました。

その時によく観ていたのが「Food Network」の番組。
やっぱり、興味があることからだと覚えやすいですからね!

わたしは日本にいた頃からずっと、イギリスの料理人であるジェイミー・オリバーのファンだったのですが、「Food Network」にはかれの番組が輸入されていたのです。

ケーブルTVの番組表でそれを見つけた時は嬉しかったのなんの!!

それをワクワクで観た時の回でジェイミーが作っていたのが、今回ご紹介したパスタの原型です。

番組の趣旨はジェイミーが今も推奨している「できあいを買わず、簡単に作って『おうちごはん』しよう」で、番組内で手軽に作れるレシピを実演してくれる、というものでした。

確かにいちど観たらすぐに頭に入るくらい簡単なものだったので、翌日にさっそく作ってみたのです。

その「記憶レシピ」を、自分の好みにカスタマイズしたのが今回のものです。

番組内は夏でしたが、番組を観たのは冬。
冬のトマトで作るのも悪くはなかったですが、やっぱりこのパスタは夏のトマトで作るのがいちばん楽しめると思います。

ちなみにジェイミーは「英国英語」の人なので、米国英語にすら慣れていなかった当時のわたしには、番組でのかれのおしゃべりが全くわからなかったのは、内緒です(笑)


注1
普通の食事量の人の一人前が80gくらいです。多い人は量を増やしてください。
その場合、トマト&バジル、好みで塩、オリーブオイルなどの調味料も増やすとバランスが取れます。

パスタはお好みのものをどうぞ。わたしが使っているパスタはカムット小麦という「古代小麦」のパスタで、グルテンに対するリアクションが起きにくいと言われています。

注2
乾燥気味のアメリカではどうしてもパスタが乾燥してしまい、ゆでている間に切れてしまったりします。その対策で考えだしたのがこの方法です。

ゆでるまえにぬるま湯にひたしておくと、ゆでている間に切れることもなく、モチモチの食感になります。また、ゆでる時間も短くて済むので、おすすめです。

パスタ全体をぬるま湯になじませながら鍋に入れますが、大きな鍋がふたつない場合は、パスタを折ってしまっても大丈夫です。
食べる時も特に長さは気になりませんし、逆に食べやすいという方もいます。

注3
目安はこんな感じ。結構な量を入れますよ。

パスタ1人前:2リットルの水+塩大さじ1と1/3杯(20g)
パスタ2人前:3リットルの水+塩大さじ2杯(30g)

水1リットルに対して10g、と覚えておくと楽です。

注4
こうしてパスタに塩味を足しておかないと、ソースの持つ塩分との兼ね合いで、浸透圧によってパスタの水分が外に出てしまい、仕上がりがビチャビチャ&薄味になってしまうからだそう。

参考:http://xn--n8jtc0b9dub6348amu0anh2a.net/wp/2180.html

注5
普通のトマトを使う時は、果汁をよく出すために湯むきがおすすめです。

すっかり夏になりました!
わたしの街のファーマーズ・マーケットもようやく再開、週ごとに増える野菜たちとの生活を楽しんでいます。

この「マーケットの始まりの時期」によく出会うお野菜が、ほうれん草

冬の寒さにあたったほうれん草は言うまでもなく甘くて美味しいですが、初夏のやわらかなほうれん草も、また美味です。

サラダ用のシュウ酸が少ない品種はパッケージに入って年を通して売られていますが、土で育ったしっかりしたほうれん草は、やっぱり食べておきたいところです。

ご存知の通り、栄養価が高いことで知られる「健康野菜」の代表格のようなほうれん草
たっぷり含まれるβカロテンには抗酸化作用があり、抗がん作用や免疫を活性化させる緑黄色野菜としても知名度はバツグンです。

また、βカロテンは体内でビタミンAとなって髪・目・皮膚の健康を維持し、呼吸器系統をも守ります
根の赤い部分にはマンガンが含まれるので、全体を通して含まれているカルシウム&マグネシウムといっしょになると、とっても有益です。

しかしながら、ほうれん草にはシュウ酸が含まれているので、湯がいて取り除く必要があります。

シュウ酸は「灰汁(あく)」と呼ばれる水溶性の成分(注1)です。
水溶性ということで、湯がくことで8割がたを減らすことが可能です(注2)。

今回は、湯がいたほうれん草に、これまた緑黄色野菜としてよく知られる人参をプラスしたお料理をやってみます。

ほうれん草のお供をするのは、最近になってアメリカではかなりメジャーになった「カラー人参」
「Rainbow Carrot」などの名前で見かけるようになりました。

中でも「紫人参」は、アントシアニンを色素に持ちます。
これはあのブルーベリーや紫キャベツと同じもので、同様に強い抗酸化作業があります(注3)。

今回作るのは、この紫人参&ほうれん草の「抗酸化作用ペア」で作る、初夏らしい茹で野菜のサラダです。

βカロテンの吸収には欠かせない油分も、しっかり入れます!!

材料はこちら。

材料<2人前>

  • ほうれん草・一束
  • 紫人参(普通の人参でもOKです)・1/2本
  • 粒マスタード・小さじ3
  • オリーブオイル・大さじ1
  • 胡椒・適宜
  • ・(人差し指+中指+親指で)3つまみ

道具

  • 大きなボウル(できればふたつ)
  • 中くらいの鍋
  • タオル(フェイスタオルやハンドタオルなど)
  • ざる
  • 計量スプーン
  • トングや菜箸

アメリカのほうれん草はこうやって、葉っぱだけ摘みとったものを売っていることがよくあります。
もちろん、束でも売っていますが、以外に見かけるのがこの「葉っぱだけ」のスタイル

この写真で約一束くらいあります。

まずは鍋に水をたっぷり入れて火にかけます。
お湯を沸かす間に、ほうれん草を洗っておきましょう。

ボウルに水を張って、しっかり洗ってやります。

洗った後、5分くらいそのままボウルの水に漬けて水分を補給してやります
こうすると、湯がいた後のみずみずしさが違うのです。

根付きのほうれん草の場合、大きな根には2センチくらい、縦に切り込みを入れてあげます

人参はピーラーで薄く皮をむきます。

お湯には塩(分量外・お湯1.5リットルに対して小さじ1ほど)を入れ、まずは人参を茹でます。

人参の太さにもよりますが、かためで3分、ほどほどで5分、柔らか目で7分くらいです。
茹で加減を確かめるには、トングなどで取り出して、端っこを切って食べてみます。

そして「もう少し茹でたい」と思うところでお湯からあげ、ざるやボウルにのせてそのまま冷まします(注4)。

お次は、ほうれん草。

茹でる順番は、間違えないでくださいね。

ほうれん草を湯がくことでシュウ酸がお湯に溶け出すと、それ以上は使えません。
なので「人参が先でほうれん草が後」なのです。

一度に詰め込んで、葉っぱが折れたり、お湯の温度が急に下がって上手く湯がけないことがないよう、ほうれん草は多かったら2度に分けて湯がきます

根付きの場合は、根っこを入れてまず20〜30秒を手で支えながら「立った状態」で茹でます
その後、菜箸やトングを使い、葉っぱまで全部を沈めます。

ほうれん草を湯がくタイミングはなかなか難しいですが、基本的には「湯がく」です。「茹でる」ではありません

つまり、グツグツするのではなく、煮立ったお湯に沈めた後は2回くらい上下を返したら、もうOKなのです(注5)。

時間にして、長くて30秒くらいでしょうか。

湯がき上がったタイミングの目安になるのは、茎の透明度です。
茎が半透明になって、全体が綺麗な緑色になったら、すぐに引き上げてボウルで水にさらします。

この時はたっぷりと流水をあてます
時には全体を手で返してやり、全体が素早く冷めるようにします。

こんな風に、茎が透明になっていたら、湯がき上がっています

5分ほどチョロチョロと水を流しながら冷ましている間に、ざるにタオルを敷いておきます(注6)。

冷めたほうれん草を、少しずつ手にとって軽くしぼります。
絞り過ぎるとカスカスになって美味しくないので、ほどほどに絞るのがコツです。

根付きの場合は根を上に持って上から下へ何度か軽く絞り、葉っぱだけの場合は片手にとった葉っぱに上からもう片方の手をそえてそっと握るように絞ります

軽く絞ったら、タオルの上に広げ、軽くほぐして水気を切ります。
余分な水分をタオルが吸ってくれるので、後の作業が楽になります。

ほうれん草を水切りしている間に、冷めた人参を薄い輪切りにして行きます。

ほうれん草はもう一度軽く水気を絞って、ざく切りに。

野菜たちをボウルに入れ、粒マスタードと塩&胡椒を入れたら、オリーブオイルを入れます。

そして、全体を手でよく和えたら、出来上がりです(注7)。

輪切りの人参とほうれん草はなじみにくいので、ほうれん草をほぐすようにして、全体がよく混ざるように仕上げます

お好みで塩気が足りなければ塩を、酸味が足りなければレモン汁やヴィネガーを少々、足してあげてください。

時間が経過すると粒マスタードに含まれるお酢によって、ほうれん草の色が少し悪くなりますが、食感やお味には問題はありません

この「変色」があるので、仕上げるのはいただく直前がベターです。

このままサラダとして食べてもOKですが、お肉やお魚料理の付け合せにもなります。

残ったらスープやカレーの具材にするもよし、細かく刻んでパスタ+お好みの調味料と和えて、パスタサラダに進化させることもできます。

ほうれん草でなければできないのかというとそうでもなく、スイスチャード、小松菜、水菜、青梗菜など、クセのない青菜なら何でも合うと思います。
キャベツの外葉なんかも合いそうですね。

要は「粒マスタードで湯がいた青菜を和えたもの」と考えると、幅広く使えるレシピです。

暑さを感じる日も多いこの頃、酸味のあるサッパリしたサラダはメニューに取り入れやすいと思います。
緑黄色野菜をたっぷりとって、本格的な暑さにそなえましょう!


注1
シュウ酸はカルシウムの吸収を阻害したり、体内でカルシウムと結びついて結石の原因になったりもします。
しかしながら、結石などの持病を既にお持ちの方でしたら意識する必要がありますが、そうでない場合は「生で1kg食べる」などの常軌を逸した食べ方をしないかぎり、普通に食べて大丈夫です。シュウ酸については湯がくとよりいっそう安心なので、おすすめです!

注2
シュウ酸がお湯に溶け出すので、湯がく時のお湯はたっぷりと。
湯がいた後のお湯に色がつきますが、これがシュウ酸です。

また、湯がいたものを水にさらす時は、ただパシャパシャかけるのではなく、しっかりと流水を使います。
急速に温度を下げることで、綺麗な色を保てます。

注3
抗酸化作用が強いということは活性酸素に対抗する…ということで、結果的にアンチエイジングにも役立ちます。
眼精疲労の予防や、視力の維持&向上にも一役買います。

アントシアニンはポリフェノールの一種です。
紫人参は、通常の人参と比べて約10倍ものポリフェノールを含むそうです。

注4
水にさらさないので、余熱で火が入ります。
そのため「もう少し茹でたい」というところで止めるのがちょうどよいのです。

注5
葉っぱが柔らかい場合は、1回の天地返しで十分です。この場合、10秒程度でしょうか。

注6
ほうれん草の色素がついてしまうので、汚しても構わないものを使ってください。ふきんではなくてタオルです。あのループが、とってもいい仕事をします。

わたしは写真の通り、色がついても目立たない、濃い目のベージュのものを使っています。

注7
調理器具ではなく、手で和えてあげてください。
そうすることで全体がよく混ざりますし、混ざり具合もすぐにわかるので仕上がりのタイミングを読みやすいです。

春ですね〜。
薬膳的には、冬の間にたくわえたエネルギーが「成長の力」に変わるシーズンです。

寒さでちぢこまっていた身体はかたい蕾が花ひらくように伸びやかに広がり、冬の間にたまった老廃物を一気にデトックスします。

つまり、春はダイエットにも一番むいている季節なのです(注2)。

春はまた、山菜をはじめとする、芽ぶいたばかりのエネルギッシュな野菜たちを楽しめる季節です。

夏に向けて大きくなる野菜の間引き菜、やわらかいハーブたち。
わらび、行者にんにく、アスパラガス、ふきのとう、たけのこ、菜の花など、春を代表する野菜たち。

かれらが持っている苦味、これが春のデトックスには大切なものなのです。

この苦味の正体は「植物性アルカロイド」
この成分は、腎臓の「ろ過機能」をあげて、解毒作用や新陳代謝をうながす働きがあります(注1)。

デトックスの季節にはぴったりの食材…というわけで、美味しく上手に、そしてもちろん気軽に食べたいですね。

そこで今回は、気温が上がると食べたくなる、生野菜のレシピをご紹介します。

韓国の和え物「ナムル」はみなさんご存知のことと思います。
韓国系の料理屋さんに行くと小皿料理で出てきたり、ピビムパプの上にのっていたりする、ごま油の香りのするシンプルな和え物ですね。

その「ナムル」のうち、火を通した野菜を使うものを「スッチェナムル」、生野菜を使うものを「センチェナムル」と言います。

今回は、この「センチェナムル」を作ります。
できればぜひ、苦味のある野菜でやってみてください。

野菜の種類は生で食べられるものならなんでもよく、パックで売っているサラダ用の「ハーブミックス」「メスクラン・サラダ」も使えます。
単品のハーブ(コリアンダーの葉、アルグラ、クレソン、サラダほうれん草など)で作ることもできます。

実野菜も刻めばOK。
大根・きゅうり・セロリ・ピーマンなどの千切り、トマトのざく切りなどなど、生で食べられるものはなんでも。

葉野菜に実野菜を混ぜてボリュームを出すのもいいアイディア。
ちょっとアジアンなサラダ…くらいの気軽さで、いろんな組み合わせを楽しめちゃいます。

一度おぼえてしまえば5分で一品ができてしまう「スピードメニュー」、行ってみましょう!

材料はこちら。

材料<2人前>

  • サラダ用ハーブミックス(注3)・100g(大きく2つかみくらい)
  • コリアンダーの葉・5本〜
  • 醤油・大さじ2
  • ・大さじ1
  • メイプルシロップ・小さじ1/2
  • 韓国唐辛子(粗びき)(注4)・小さじ1/2
  • ごま油・小さじ2
  • ・ひとつまみ

道具

  • 大きなボウル
  • サラダスピナー
  • 計量スプーン

まずは葉野菜を洗います。
洗浄済みですぐに使えるようになっているものの場合は必要ありません。

大きなボウルに調味料類をすべて入れ、軽く混ぜあわせます

野菜を洗った場合はサラダスピナーなどでしっかりと水切りをして(そのまま使えるものはそのままで)、ボウルに入れます。

両手を使って調味料を全体にまとわせるようにさくっと混ぜたら、できあがりです!

早いでしょ?

でき上がってすぐを食べるのはもちろん、少ししんなりしたものもフレッシュなおひたしのようで美味しいです。

今回は「香菜」ともいわれる、香りの強いコリアンダーの葉(注5)を入れましたが、これはお好みで他のハーブに替えられます。
ただし、葉がかたいものは食感が悪くなるので気をつけてください。

バジル、チャービル、ローズマリーのやわらかい若芽、サラダほうれん草、アルグラ(ルッコラ)、クレソン、タイム、タラゴン、ディル、イタリアンパセリ、セロリの葉…単品でも、これらを複数組み合わせても。

大抵のものは、茎から外して、葉だけをつんで使います
サラダほうれん草(ベビースピナッチ)、アルグラ(ルッコラ)などはサラダ用に大きめのパック入りのものを売っているので手軽に作れますね。

アジアンな感じなら、春菊のやわらかい部分を使うのもおすすめですし、これからのシーズンに出回る、レタスの間引き菜なども使えます。
大きなレタスを刻んでやってもいい感じです!

「少し苦味のある素材」が合うので、選ぶ時はそれをポイントにするといいと思います。
レタスなら、アイスバーグ(玉レタス)よりも、ちょっと苦味のあるレッドリーフが向いてます。

味付けをちょっとアレンジして、「ごま油をオリーブオイル、酢をレモン汁」に変えれば、洋風のお料理にもバッチリ!

材料があれば、思いついた時にできるのもこの料理のいいところです。


…とはいえ、これだけではちょっと短すぎなので、今日はもうひとつ、ご紹介します

材料の写真にも写っていた、タンポポの葉を別のソースでナムルにします。
友人がかの女のお祖母様が「タンポポの葉をいつもこうして食べていた」…と伝授してくれたものです。

タンポポは最近、栽培されたものがいつでも手に入りますが、自生しているものを採取すると味が違います(注6)。

確かに苦いのですが、この苦味がデトックス力をブートアップしてくれるのです。
経験上、今まで食べられないほど苦いものに出会ったことはないですから、どうぞご安心を。ゴーヤよりはずっとやわらかな苦味です。

このソースだとあまり苦味が気にならず、食べやすい仕上がりになりますので、ぜひお試しくださいね!

では、行ってみます〜。

材料<小鉢で2人前>

  • タンポポの葉・30g(今回は小さい株5つ、大きい株1つ)
  • コチュジャン・小さじ1
  • ・大さじ1
  • メイプルシロップ・小さじ1
  • 白すりごま・大さじ2
  • 醤油・小さじ1
  • 白ごま・適量

道具

  • 中くらいのボウル
  • サラダスピナー
  • 計量スプーン

採取したタンポポはよく洗います。

株元の部分に土が入り込んでいるので、丁寧に洗ってください。
しばらく水に浸してから洗うと、土が取れやすいです。

洗ったタンポポは、株からはがして葉だけにします。
蕾はもちろん、株元も食べられます

調味料をボウルに合わせます。

タンポポの葉は食べやすい大きさに切り、大きめの株は食べやすい大きさに切り分けます。

サラダスピナーなどで水気をしっかり切ったらボウルに移し、手を使って全体を「軽く」揉み込みます。決して強く揉まないでください

全体が馴染んだら、できあがりです!

白ごまをトッピングして、色合いよく盛りつけてください(写真は二人前を全量、盛り合わせています)。

このソースは「チョコチュジャン」といいます。
チョ(酢)+コチュジャン…というわけですね。

茹でた野菜(もやし、豆もやし、人参、ほうれん草、ブロッコリー、椎茸…)を和えても、美味しい副菜ができあがります。

生でやるなら、あえる前に軽く塩もみするとよく馴染みます
きゅうり、大根、セロリ、ズッキーニ、パプリカなどなど(注7)。

どちらのレシピも、手軽に作っていただけると思います。
生野菜にドレッシングをかけておしまいにするのではなく、いつもと違う味付けで食べるのも、目新しさが春っぽい感じですね。

春のデトックス・シーズン、苦味と香りのある葉野菜を上手にたくさん、食べてください!


注1
体質によっては、食べ過ぎるとお腹をこわすこともあるので、ほどほどに。

注2
この季節に大切にしたい臓器は「肝臓」です。
中医学的には「肝臓」は気(生命エネルギー)の流れを通して、感情や自律神経による身体の機能を調整する働きがあります。
香りの高いものや柑橘類のさわやかな香気は、肝臓を元気にしてくれます。

感情の調節をする臓器でもあるので、春だけではなく、気分がウツウツとしたり沈んでいる時にはいつでも、ハーブ類や柑橘類の香りが助けてくれます。ジャスミンティやローズティなど、香りの良いお茶もいいですね。
ぜひお試しを!

注3
今回は、ファームで買ってきた間引き菜を使っています。
ケール、マスタードグリーン、コラードグリーンなどの間引き菜がミックスしてあるものですが、市販の「ハーブミックス」などで代用できます。

注4
韓国唐辛子がない場合、一味唐辛子やチリパウダーで代用できます。できれば粗びきのものがいいです。
代用するときには、使う量を半分以下にしてください。韓国唐辛子は甘い唐辛子なので量が多くてもさほど辛味が出ませんが、他の唐辛子は大抵の場合しっかり辛いので、様子を見て調節するのがおすすめです。
味付けとして「ちょい辛〜ピリ辛」くらいが目安です。

注5
コリアンダーの葉はデトックス力が強く、特に体内の重金属を排出する働きをもつことで知られています。

注6
くれぐれも、犬の散歩道ではない場所から採取してくださいね(笑)
交通量の多い場所もあまりおすすめできません。

注7
レシピのソースの量は小鉢ものを作る程度の量になっていますので、たくさんの野菜をあえる時は、ソースを倍量にするなどで調節してください。

こちらでもご紹介したカリフラワー、実は冬に出回る花野菜のツートップなんです(注1)。
年中見かけることができますが、旬は11月〜3月です。

野菜料理の素材としてはもちろん、最近はダイエットのためにカリフラワーを砕いたものを「カリフラワー・ライス」として、カレーなどを食べる時に使う方も多いとか。

カロリーが低く、食感があるところから選ばれているのでしょう。

栄養的にはビタミンCがとっても豊富
ということは、コラーゲンをしっかり構成するのに一役買うということで、美肌づくりに有効です(注2)。

このビタミンCは加熱でも失われにくいのもポイント。
食物繊維が多いことで日々のお通じにも効果があるのがまた、美肌へのアプローチになりますね。

中医学(薬膳)的には「お腹の動きを健やかにし、腎臓、筋肉、骨を強くする」効能があります。

他には、カリウムもたっぷり含まれていて、解毒やむくみとりに活躍します。
これはもう、ダイエットや健康維持の味方としては十分な素質と言えるでしょう。

最近は、緑、オレンジ、紫のものを見かけますが、これらは人口着色や遺伝子操作で作られたものではありません。
自然発生したものを選抜して育成し、商品化に至ったものだそうです。

緑のものは白いものよりさらに多くのビタミンCを含み、オレンジのものはカロテン紫はアントシアニン(注3)を含みます。
色付きのものを見かけたら、優先して使ってみてください!

そんなカリフラワーを、丸ごとドーンと焼いてみるのが今回のお料理です!

ひとつ1kgくらいあるカリフラワーですが、食べ残してもいろんなお料理に展開できるので、たっぷり下ごしらえをするつもりでやるといい感じです。

では、行ってみましょう!

材料はこちら。

材料<2〜3人前>

  • カリフラワー・1つ(写真のもので約1.2kg)
  • パセリ・(太い茎をとった状態で)20g(5〜6本程度)
  • にんにく・大粒1かけ(ふつうのものなら2かけ)
  • アップルサイダービネガー・大さじ3
  • にんにく・大粒1かけ(ふつうのものなら2かけ)
  • メイプルシロップ・小さじ1
  • ・大さじ2
  • オリーブオイル・大さじ2(ソース用)、50cc〜(ロースト用)
  • ・小さじ1(ソース用)、小さじ1(ロースト用)
  • 胡椒・適量

道具

  • 耐熱皿
  • 耐熱ボウル(耐熱可能なら丼でも鍋類でもOK)
  • 計量スプーン
  • 小または中ボウル
  • 泡立て器
  • ペーパータオル
  • 鉄串か竹串

まず、オーブンを365F(185℃)にセットします。
コンベクションが使えるなら、コンベクションも使ってください。

耐熱ボウルに入る程度の量の水(分量外)を沸かし始めます(鍋でもやかんでも電気ポットでもOK)。
お湯は後で使いますので、沸いたら火を止めてそのままにします。

カリフラワーはパッケージを取って洗います。
洗ったら、ペーパータオルや清潔なふきんで、丁寧に水気を取ります

ひっくり返して太い茎を外し、葉っぱを取り除きながら芯を切り詰めていきます(注4)。

最後は芯を少し逆三角形にえぐるように仕上げて、下ごしらえは終わり。

耐熱皿にカリフラワーを入れ、塩をパラパラ、胡椒をガリガリ。
塩はひとつまみずつ使って、やや高い位置から全体にまぶす感じでパラパラするといいです。
薄く味付けをする感じです。

そこへオリーブオイルをたらし、手でまんべんなく塗りつけていきます

カリフラワーは意外と、油を吸ってしまいます。
オリーブオイルは目安量で50ccとしましたが、この量にとらわれず、全体にしっかり塗りつけるまで使ってください

表ができたら、ひっくり返して裏も同じようにやってください。
裏側の茎の方にもオイルをたらして、しっかり行き渡らせます

余熱が済んだオーブンの上段にカリフラワー、下段にお湯を入れた耐熱ボウルをセット
この耐熱ボウルのお湯は水蒸気を発生させ、カリフラワーへの火の通りを助けます(注5)。

タイマーを1時間入れて、後は放置します(注6)。
その間に、ソース作りに行きましょう。

パセリはみじん切りにします。

ソースを使う直前まで保存するため、ペーパータオルをしいた中へ入れて、ラップをかけて冷蔵庫で保存します。
こうすると、パセリの自重で自然と水気が切れるので、使うときには適度にサラッとしていて使いやすいのです。

そして、ソースのベースを作ります。

にんにくもみじん切りにしてボウルに入れ、塩、胡椒適量、アップルサイダービネガー(注7)、メイプルシロップ、ソース用のオリーブオイル、水を全部いれて、泡立て器で乳化させます。

オイルとビネガーが分離せずに全体がまとまり、とろりとしたらできあがり。

乳化したら、ラップをかけてそのまま保存します。
冷蔵庫に入れるとオイルが固まってしまうので、ソースのベースは常温で(注8)。

カリフラワーの方は、時間が来たら鉄串や竹串を刺し、火の通りを確かめます

かたくて通らなかったり、通ってもスッと通らなかったら、オーブンへ戻し、今度は15分刻みくらいで確認を続けます

できました!

わたしはかための仕上がりが好みなので、この時は1時間15分でできあがりとしました。
柔らかめが好きな方はもっとローストしてもいいかもしれません。

表面が焦げてきますが、実はこの「おこげ」が美味しいポイントなので、真っ黒になりそうでもなければ、そのままで一度お味を試してみてください。

焦げ付きそうなら、もしくは自分の好みではない感じに焦げそうなら、火傷に注意しつつ、全体にアルミホイルをふんわりかぶせてやります
きっちり耐熱皿全体を包み込まなくとも、カリフラワーに帽子をかぶせるつもりでフワッとのせるだけでOKです。

食べる時は、温かいままでも冷めてからでもどちらでも美味しいです。
そのタイミングに合わせて、ソースのベースにパセリを入れて仕上げ、一緒にいただきます

でも実は、ソースなしでも十分に美味しいです!!

もし、ソースを作るのが手間でしたら、レモンを絞ってオリーブオイルをサッとかけるだけでも大丈夫
その場合、塩胡椒はお好みで追加してください。

小さな包丁で取り分けて、ソースをかけた状態がこちら
おこげの部分が香ばしくて美味しいので、取り合いになりましたw

ふたりだけで食べたので、1kgのカリフラワーは当然ながら食べきりません。
残りはざっと分けて保存し、別の料理に使いまわします。

マスタードなどと和えてサラダの一部にしてもよし、メイン料理の付け合せにしてもよし、少し茹でて崩せば、パスタソースにも展開できますね。
シンプルなローストなので、味噌和えや胡麻和えなどの和の料理にも

スープや煮込みの具材にするなら、仕上げの段階で入れて温める程度でできあがりにすると、崩れずにいただけます。

フードプロセッサでくだいて「ロースト・カリフラワー・ライス」にしたものは、香ばしさとしっとり感がカレーによく合って、美味しくいただけました。

ローストのお供にするソースの方も、味噌を使ったりナッツ類を使ったり、オイルを別のものにしたりと、バリエーション豊富です。

ソースは残ってもドレッシングや温野菜のソースとして使い回しOKです。
パセリの色はちょっと悪くなりますが、きのこソテーをマリネしたり、豆腐ステーキのソースなんて合いそうです。

冷めても美味しく、オーブンで放っておけばできるので、パーティ料理にもぴったりなのです。
何よりこの大胆すぎるルックスは、パーティでもウケるでしょうね〜!

丸ごとということでローストに時間がかかるのが難点と言えば難点ですが、できあがりはいろんな形で楽しめます

お時間のある週末などに、ぜひお試しくださいね。


注1
もうひとかたは、ご存知ブロッコリー。
ブロッコリーは緑黄色野菜ですが、カリフラワーは見た目の通り、淡色野菜です。

注2
「ビタミンC」というと風邪予防…という認識が多いと思いますが、最近の研究の結果には、通常に生活する人がビタミンCを大量摂取しても風邪の予防にはつながらない…というものがあります。
過激な運動(フルマラソンやトライアスロン)をした時や、特殊環境下(寒冷地など)に生活する人の場合は、効果が見込まれるそう。

しかしながら、ビタミンCが体内で合成できない栄養素であることはかわりなく、健康のためには、1日60mgを摂取すると良いそうです。
この量は、コップ1杯のオレンジジュース程度になります。

注3
ブルーベリーなどにも含まれる「目に良い」と言われる「アレ」です。フラボノイドの一種で、抗酸化物質として知られています。
他には、紫キャベツ、ぶどう、紫芋、黒米、茄子、小豆、赤玉葱、赤しそなどにも含まれます。
植物に自然に存在する色素で、すみれの色などもアントシアニン類です。

注4
太くて本当にかたい葉っぱは洗ってベジブロスの素材に、柔らかくてシャキッとしている中の方の葉は、刻んでサラダにしたり、スープや味噌汁の具にすると美味しいです。
芯もまた同じ。ぬか漬けにしても美味しいですよ!

注5
直径22〜3センチ、高さ6センチほどの耐熱キャセロールを使いましたが、8割ほどお湯を入れても、1時間では蒸発することはありませんでした。
お湯の量が少ない場合、時折オーブンをチェックして、空焚きしないようにしてください。

もしも空焚きしてしまったら、そこに水やお湯は決して入れないこと。熱の差で割れてしまいます。
オーブンを消してもそのままにして、自然に冷めるまでさわらずに置いておきます。

注6
1kgのカリフラワーをローストする時の目安です。
これより小さいものなら、時間を減らしてください(大きいようなら増やします)。実体験では、500g程度のもので45〜50分かかりました。

注7
ビネガーは何でもOKです。
ワインビネガー、バルサミコ、米酢、黒酢…お好みのものでどうぞ。

注8
ただし、本当に暑い時期などは食べる時間(昼間に焼いて夜に食べる…などのタイミング)に合わせて冷蔵庫保存してください。
オイルが固まってしまった場合は、20分ほど室温でなじませると戻ります。

真冬のファーマーズ・マーケットは、根菜のお祭りです。

じゃがいも、さつまいも、人参、玉ねぎ、蕪類
(ビーツ、ルータバガ、セルリアックなどなど)。それに加えて、夏から保存されていたキャベツ、リーク、にんにくなどが売られています。

畑は次のシーズンに向けてお休み中ですから、保存がきく野菜が売られるのはもっともなこと。

その中で、冬でも葉物野菜としてがんばっているのがケールです。
寒さに強くて戸外でも越冬可能なためNY近辺でも収穫できるとあって、冬のマーケットでもよく目にします。

夏物に比べると葉は少しかたいですが、寒さにあたれば甘みが増しておいしくなります。

アブラナ科で「キャベツの元祖」とも言われるケールは、βカロテン、ビタミンE、ビタミンC、をたっぷり含み、栄養価がトップクラスであることでも有名な野菜です。
「青汁」の原料としても有名ですね。

抗酸化力が強くアンチエイジングに役立つばかりか、含まれるメラトニンには睡眠の質の改善が期待できます。
また、食物繊維が多く、酸化防止や目によいとされるルテインも含みます

さらにはカルシウムもまた、野菜の中でトップクラス

そんなわけで、健康を気にするニューヨーカーも大好き。
ジュースに、サラダにと、ヘルスコンシャスなお店では必ず何かメニューに加わっているほどの人気野菜です。

種類もいくつもあり、ルックスがそれぞれ異なるのも面白いところ(注1)。

でも、いざ食べるとなると、軽く炒める、ゆがく、スープに入れる、サラダにする…くらいでしょうか。
できるだけ酵素をそのままとりたいと思ったら、できれば生のままでいただきたいところです(注2)。

そこで、今回はこのケールをペーストにしてみます
バジルで作る「バジル・ペースト」の要領で、バジルをケールに替えるのです。

酵素もそのままとれますし、ディップにパスタに和え物にドレッシングに…と何かと使える素材になってくれます。

ケールサラダやジュースにはちょっと飽きたという方、ぜひやってみませんか?

材料はこちら。

材料<2〜3人前>

  • ケール・100g(一束〜・葉のみの重量)
  • 松の実・大さじ2
  • にんにく・ひとかけ
  • パルミジャーノ・レッジャーノ(おろしたもの)・大さじ2(注3)
  • オリーブオイル・大さじ3〜4
  • ・小さじ1/2〜
  • 胡椒・適量

道具

  • フードプロセッサ
  • 計量スプーン
  • シリコンべら(またはゴムべら)
  • 大きめのボウル
  • サラダ・スピナー
  • 焙烙やフライパン

まずは手でケールの葉っぱを摘み取ります。
大きなボウルにふんわり1杯程度で、100gくらいになります。

今回のケールは「ラシナート・ケール」
「タスカン・ケール」「ダイナソー・ケール」の異名もある、緑の濃いケールです(注4)。

ちぎった葉っぱはよく洗い、サラダ・スピナーで水切りします。
ある程度は、水滴が残っていてもかまいません。

にんにくは皮をむき、松の実はフライパンや焙烙などで軽く炒ります(刻む必要はありません)。

まずは、フードプロセッサににんにくを丸ごと入れてスイッチオン
10秒ほどでみじん切りになります。

そこにケールを詰め、上から塩とオリーブオイル大さじ2を加えます

そのままふたをしたら、ふたたびスイッチオン。
ケールがだいたい粉々になったら一度ふたを開け、シリコンべらで周囲についたものを下に押し下げます

さらに、炒った松の実とパルミジャーノ・レッジャーノ、オリーブオイル大さじ1、黒胡椒・適量を加え、もう一度スイッチオン(注5)。


わたしが使っているのは「焙烙(ほうろく)」です。ごまやお茶を炒ったりするのに使う道具です。

全体が細かく砕かれ、ペースト状にまとまって来たらできあがりです。
塩加減を見て、お好みで調整します(塩を足す場合は、もう一度、軽くフードプロセッサを回してください)。

こんな感じの、少しかためのペーストができあがります。
ゆるいのがお好みの方は、オリーブオイルをさらに追加してフードプロセッサを回してください。

できあがりを保存する時は、酸化防止のために瓶に詰めたてっぺんをオリーブオイルでおおうようにします。

保存はもちろん、冷蔵庫で。
オリーブオイルが固まるため、使う少し前に冷蔵庫から使う分だけ出して常温に戻したり、温かいものと一緒にするなどで工夫してください

今回はチーズを使っていますが、ヴィーガン(ベジタリアン)にしたい場合は、白すりごまを使ってください。その時は、塩を少し増やすとバランスがいいと思います。

このレシピではにんにくは控えめですが、お好きな方は増量してください。
松の実がない場合は、くるみやピーナッツなど、油分の多いナッツで代替ができます

このままパスタソースにする時は、茹で上がったパスタの茹で汁を保存しておき、茹で汁でペーストをのばすようにすると上手く麺に絡みます
1人前で大さじ1.5〜2くらいが目安です。

サラダドレッシングにするなら、お好きな酸味(レモン汁、各種ヴィネガー)でゆるめ、お好みでオリーブオイルを足します(注6)。
和え物には、少しお湯か水を足してのばすと、具材と絡みやすいです。

パンにそのまま塗ったり、他の調味料や野菜のマッシュと混ぜてデイップにしたり、のばしたものをお魚やお肉料理のソースにしたり。
アイディア次第で色々なことに使えます。

わたしは今回、スープのガーニッシュにしてみました(注7)。

お好きなスープ(味付けは薄目の方がベター)の上にポン、っとスプーンでのせます。
食べる時はペストを崩しながら、味変するイメージでどうぞ。

寒い季節ならではのお料理、ポトフや煮込みのガーニッシュにするのもいいですね!!
柔らかい色味の中に鮮やかな緑がよく映えて、グッと見栄えが良くなりますよ。

ぜひ色々とお試しください!


注1
基本のチリチリ葉っぱのグリーン・ケール、赤紫のチリチリ葉っぱのレッド(またはパープル)・ケール、広がった葉っぱのロシアン・ケール、細長い葉っぱのラシナート・ケールなどなど。
大きく広がった一枚葉っぱのコラード・グリーンも仲間です。

注2
当コラムでご紹介した「ケールのマッサージサラダ」の作り方はこちら

注3
ヴィーガンにするなら、白すりごまを大さじ3用意します。この場合、塩を小さじ2/3に増やします。

注4
日本では「黒キャベツ」「カーボロネロ」と呼ばれることも。

注5
この時、ブレードが回りにくいようなら、オリーブオイルを更に大さじ1杯足してください。

注6
酸味を入れると緑色が退色しますので、酸味を使った場合は作り置きせず、使うごとに新しく作ってください。

注7
こちらのスープは、キヌア入り根菜の酒粕スープ。キヌア、バターナッツ・スクワッシュ、菊芋(サンチョーク)、ごぼう、大根、人参、じゃがいも、玉ねぎのスープを、酒粕で味付けしました。お出汁は炒め玉ねぎと昆布茶…ということで、スープはヴィーガンです!

今回はちょっと番外篇として、ペンシルヴァニア州にあるアーミッシュ・カントリーを訪ねた時の話をします。

アーミッシュは、ペンシルヴァニア州や中西部、そしてカナダのオンタリオ州などに居住している、ドイツ系の移民(一部にオランダ系も含まれます)の「宗教集団」と呼ばれている人々です。

アーミッシュは移民当時の生活を守って農耕や牧畜を行い、自給自足で生活をしています。基本的に当時の生活様式を守るために電気は使わず、一般的な通信機器なども保持しません。

一部には風力や水力(水車)による蓄電式の電気を使う家庭もあるそうですが、それは馬車のウィンカーを充電したりなど、ごく一部に利用するためだとか(注1)。

ハリソン・フォード主演の映画「刑事ジョン・ブック」でアーミッシュの存在を知った方も多いのでは。

わたしが訪ねたのはペンシルヴァニア州のランカスター近辺です。
NYCからは車で3時間ほどかかりました。

近代以前の道具を使用するので、農耕もミュールというロバと馬の交配種を使い、木製の鋤で耕す姿を見かけます。
自動車にも乗らず、一頭立ての馬車で車道を移動しており(注2)、滞在中に何回かすれ違うことがありました。

かれらが作った野菜や牧畜製品(牛乳、チーズ、玉子、加工肉、食肉など)は、「アーミッシュ・マーケット」と呼ばれる市場や、かれらが庭先や馬車用のガレージなどを利用して販売している「スタンド」で買うことができます。

アーミッシュの農作物は「近代化」していないため、農薬や化学肥料を使いません。認証こそありませんが、全てオーガニックなのです。
そのため、その美味しさには定評があり、人気もあります。

わたしがまず連れて行ってもらったのは、「アーミッシュの人たちのコンビニ」でした。
小さな商店で、薬草や精油などを含む生活用品から食料品までを売っているところです。

レジをしてくれるのはもちろん、アーミッシュの女性。

アーミッシュの女性は「ボタンは宝石である」という考え方から、ピンで止めただけの清楚な服を着用します(注3)。
髪は切らずにうしろでまとめ、カバーリングと呼ばれる白い帽子のようなものをつけて、まとめた部分を隠していました。

かれらの服は色や柄が全てコミュニティで取り決められていて、未婚・既婚、未成年・青年、もしくは年齢で色やスタイルが変わります。

この店で見つけたのが、わたしが平素に使っている「塩」
ユタ州で生産される「Real Salt」という製品なのですが、枕のような大袋で売っているのを見てビックリ!

後日に訪れたマーケットでも小分けで販売されていて、どうやらアーミッシュの人々のお気にいりのようです。

店の奥には大きな冷蔵コーナーがあり、野菜・乳製品・肉類・玉子などがありました。
店の中の棚には冷蔵庫を使わずに野菜を保存するためと思われるピクルス類乾燥させた穀類などが売られています(注4)。

とはいえ、売られている既成の食品の中には一般の人達が使うものも含まれていて、添加物入りのものもかなりありました。

次に向かったのは、ご主人が車に乗っていることから、おそらくメノナイトのご家庭。

大きなクーラーボックスの中に野菜やベリー類を入れて無人販売しているのですが、この値段がとってもお安いのです!!

写真のいんげんは一袋(500g以上あります)で$1.50!
紙袋いっぱいの、1kg以上はあるレッドスキン・ポテトも$1.50!!

トライステートあたりでは考えられないお値段です。

しかしながら、トライステート、もっと突っ込んで言うとユニオンスクエアのグリーン・マーケットと大きく違うのは、野菜の種類です。

売られているのは、昔ながらのトマト、きゅうり、いんげん、とうもろこし、ピーマン、ズッキーニ、ビーツ、じゃがいも、茄子、メロン、スイカ、黄桃など。

最近になって人気のある和野菜や、エアルームトマト、色の変わった新種のものなど、ユニオンスクエアあたりでみかける野菜は全くありません

近代化しない生活を送るアーミッシュには、必要のないものだからでしょう。


畑に付属している納屋を使って野菜を販売しているスタンド。
素朴な野菜が並びます。
これがまたどれも美味しくて、シンプルに調理するだけで驚きの美味しさでした!


道途に家畜を放牧している姿が見られます。馬の向こうにいるのは羊たち。
奥にある主屋には、一家が住んでいるのでしょう。
家は想像よりもずっと、市街でよく見るデザインのものが多く、アーミッシュ独特のお洋服たちが戸外に干されていることや、
馬車が置かれていたりすること以外からは見分けがつきませんでした。

翌日に行った、週に一度だけ開かれるという、アンティーク&ヴィンテージのフリーマーケットと併設されたマーケット「Roots」では、アーミッシュだけではなく、一般の人も野菜や加工品などを販売していました。

敷地内には動物を売っている別棟もあり、戸外ではフリーマーケットが開かれていて大賑わい。

一般の人の店も入っているため、「外から持って来ているもの」と「地元のもの」の見分けがつきにくい…とは、案内してくれた友人談。

確かにたくさんのお店があることもあり、玉石混交という感じで見分けにくいですが、基本的にアーミッシュが売っているお店で、季節のものだけを買うのがよいと思います。

先にも書いた通り、アーミッシュは「基本的な野菜」のみ作るようですので、例えばアーミッシュの店で売っている「Japanese Eggplant(日本茄子)」は、かれらが作っていない=外から仕入れたもの…と判断できます。


このお店は一般の人のお店。やっぱりお値段はかなり安いです。
アーミッシュには基本的にカメラを向けられないので、アーミッシュのお店の写真はなしです。

大きな屋内マーケットには、アーミッシュの家具やキルトを売るお店(注5)、パン屋、瓶詰め(ピクルスやマスタードなど)専門店、はちみつ専門店、サンドイッチ屋、チーズ屋、お菓子屋…果ては文房具屋まで、色々なお店がひしめき合っています。

また、週に一度の開催+夏休みということもあって、人もいっぱい!
屋内はすれ違うのも一苦労な感じですし、外では用意されたピクニック・テーブルで食事をしている親子連れをたくさん見かけました。

やはりアーミッシュが目の前で作ってくれるフードベンダーは人気がありましたが、作っているのはどう見ても、よくある細長い白パンを割ってホイップバターを塗り、野菜や加工肉などの具を挟んだ「普通のサンドイッチ」で残念(注6)。

たくさんのベンダーがいますし、建物がクラシックな感じにまとめられていることもあって、マーケット自体は楽しめます。
でも、個人的にはスタンドを訪ねて買いに行くのが一番、楽しかったです!

アーミッシュの野菜は、素材の味がしっかりしているのでシンプルな調理が一番。

友人宅で作って好評だったトマト・パスタの作り方を、おまけでどうぞ。実は、前回の「レタスのホットサラダ」の応用編です!

パスタの種類はお好みですが、ショートよりロングの方が合うと思います。

フレッシュ・トマトのパスタ

材料<1〜2人前>

  • パスタ・160〜200g
  • 完熟トマト・中程度を2〜3個
  • にんにく・1〜2かけ
  • オリーブオイル・大さじ2
  • ・適量(親指・人差し指・中指でふたつまみ〜)
  • 胡椒・適量

道具

  • 小さいフライパン
  • ボウル
  • パスタを茹でる鍋
  • パスタを湯切りするざる

鍋に湯を沸かし、一つかみの塩(分量外)を入れて塩湯を作ります。

トマトはざく切りにして大きなボウルに入れ、塩を全体にまぶしておきます。
にんにくはみじん切りに。

グラグラにわいたお湯でパスタを茹で始めたら、小さいフライパンにオリーブオイルとにんにくを入れて、弱火にかけます。

前回もコツとして紹介しましたが油が冷たいうちから、にんにくを入れるのがコツです!

フライパンを適度にゆすって全体に熱が回るよう、そして、油にはにんにくの香りがよく移るようにしてやります。
火を強くせず、ゆっくりと。

オイルがサラサラになり、にんにくスライスがきつね色になったら火を止め、そのままトマトの入ったボウルにそのままあけます。

トマトにあたった時に「ジュ〜〜ッ」と音がしたら大成功
茹で上がったパスタを和えて、お好みで胡椒を挽いたらできあがり。

ちぎったバジル、ソテーした野菜、削ったチーズなどを加えても美味しくできますが、トマトが美味しい時期には、あえてシンプルにトマトだけでやってみてください。

もちろん、アーミッシュのトマトではなくても、今の時期の完熟トマトなら美味しく仕上がります


注1
アーミッシュの中でも「メノナイト」と呼ばれる人々は、自動車や家電をつかうこともあるそうです。

注2
成人のみが馬車を使えるので、未成年はキックボードのようなものを使っているのを見かけるそうです。その理由は「馬車より速い乗り物に乗ってはいけない」からだそう。

注3
この女性は白いエプロンの方だったので、既婚女性と思われますが、この店、実はクレジットカードが使えるので、それなりに近代化したものに触れて良い層の方だと思われます。

階層によっては、生活を遵守するために通信機器などを一切使わない方々もいます。

注4
この「Chow-chow」というのは、いろんな野菜で作ったピクルスで、レリッシュとも呼ばれます。ズッキーニ、人参、トマト、玉ねぎなどが使われていました。

注5
家具については、雪に降り込められている間に、男性陣がコミュニティの中の家に集まって作るものだそうです。伝統的なスタイルのチェストやワードローブ、小引き出し、椅子などがありました。

対して、キルトは女性のお仕事
本来はアーミッシュ用のお洋服の端切れや古着を利用して作ったもので、非常に素朴で清楚な味わいのものとされていますが、マーケットで売られているのは現代風というか、もっと華美な感じのものでした。

注6
メリーランド州で行ったアーミッシュ・マーケットでは、アーミッシュが直々に調理している(カウンターの中が調理場になっていて、男性が調理しているところが見られるのです)ローストチキンを売っていて、大変な人気がありました。

真冬のマーケットには、基本的に保存野菜が出回っていることはお話した通りです。
その代表格が根菜なのですが、かれらは夏から初秋までに収穫され、低温保存されていたものです。

上手に保存されたものは栄養価が失われることはありません。むしろ、いも類などはねかせたことで味わいが濃くもなります。

その根菜たちの中でも、近ごろ栄養価の高さから注目されているのが「ビーツ」です。

よく知られている「赤ビーツ」をはじめ、「黄ビーツ」「チョギア・ビーツ(ピンクのシマシマのもの)などがありますが、マーケットでよく見かけるのは「赤ビーツ」

シーズン中には葉っぱ付きで売っていますが(注1)、保存してあるものは葉っぱを落としてから保存しますので、実の部分だけで売られています。

栄養素として多いのは細胞の生まれ変わりに必要な「葉酸」、むくみ対策や高血圧対策にバッチリの「カリウム」が多く、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンEなども含まれます(注2)。

また、近年に注目されている「NO=一酸化窒素」のもととなる「NO 3=硝酸塩」が豊富に含まれていることでも有名です(注3)。
この「NO」は血管を柔らかくして血流をスムーズにし、コレステロールがたまるのを防ぎ、血栓の発生を防ぎます。

このことから「血流が良くなる」という効果が期待できるので、ビーツのジュースは「飲む輸血」とも言われています。具体的には、美肌効果、肩こり・冷え・クマの改善に良いとされます。

ジュースにする他、茹でて、または生でサラダに(注4)、スープに入れたり(注5)、オーブンでローストしたりで食べられますが、とにかくかたいので、加熱調理には時間がかかります

夏場の水分をたっぷり含んだもの(葉付きの実など)はオーブンでゆっくりローストすると皮がツルッとむけますが、冬場の保存品は水分がやや抜けているためになかなか簡単には行かないので、皮ごとまる茹でする方法がおすすめです。

皮をむくとそこから栄養素が煮汁に出てしまいますので、皮ごと下ごしらえします。

下茹での時間は実の大きさにもよりますが、小一時間ほど。
少しかたいかな、という時点で火を止めて、煮汁ごと冷ましながら予熱で火を通します。

味付けのコツは、ビーツのもつ独特の匂い「土臭さ」を消すことです。
酸味や乳製品と一緒にするなどで対応できます

では、今回はこのビーツを使って、色合いの可愛いサラダを作ってみます!

今回の材料はこちら。

ビーツは実がしっかりしていいて、頭から葉が出ていないものを選びます。
葉が出てしまうと、栄養はどんどんそちらに流れてしまうので、新芽が出ているものは避けたほうがいいです。

あまりに大きなものは火が通りにくいので、3センチほどのこぶりなものを選ぶと使いやすいです。

材料<2人前>

  • ビーツ・小ぶりなもの4個
  • お酢・小さじ1
  • ヨーグルト(注6)・大さじ2
  • ココナッツ・パウダー(注7)・大さじ1
  • ・適量(親指・人差し指・中指でふたつまみ〜)
  • 胡椒・適量

道具

  • ヘラまたはカレースプーン
  • 計量スプーン
  • ボウル

ビーツはよく洗い、皮ごと少し多めの水を張った鍋に入れて、火をつけます(注8)。1時間ほど茹でるので、水は多めの方がいいです。
ここに小さじ1のお酢を追加して、ビーツの色が綺麗に出るようにします。

お湯が煮立ったら火を弱火に落とし、小一時間ほどコトコト煮ます

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竹串や鉄串で刺してみて、ちょっとかたいかな…というところで火を止め、そのまま触れる程度に冷まします(1時間〜)。

触れるくらいに冷めたら、手にとって皮をしごくと、ツルッとむけてきます
手が赤くなりますが、洗えば落ちますのでご安心を。

皮がむけたら、一口くらいに乱切りにします。

切ったビーツはボウルに入れ、塩、胡椒、ヨーグルト、ココナッツ・パウダーを加えます。

ヘラかカレースプーンで大きく混ぜてやると、ヨーグルトがピンクになって来ます。
全体がよく混ざったら10分くらいおくと、さらに色が強くなります

これでできあがりです。

ビーツの赤で染まったピンクが鮮やかに出ます。
パッと華やかな色合いは、女性にはとってもウケがいいですよ。子どもさんも「これなぁに?」って興味を持ってくれます。

美容と健康によく、見た目も可愛いビーツサラダ、ぜひお試しくださいね!

もし、ビーツを下茹でする時間がなかったら、水煮の缶詰を使ってもできます。少し色合いが淡くなりますが、レモン汁を少し加えるなどして、色がよく出るようにしてみてください。


注1
この葉っぱももちろん、食べられます。
ビーツは実よりも葉の方に鉄分が多いので、葉付きのものを手に入れた時にはぜひ、調理して食べてください。

少しかたいので、軽く湯がいてからナムルやマリネにすると美味しいです。
胡麻和えや白和えにするのもおすすめです。

注2
葉酸とカリウムが多いため、「美容にいい」とされています。
また、この葉酸は胎児の成長にも欠かせないものなので、妊婦さんにはおすすめしたいお野菜のひとつです。

食べた時に甘いと感じるのは、ショ糖が多く含まれているからです。

注3
「NO 3(硝酸塩)」は口腔内の細菌をきっかけに変化が始まって「NO」になります。

注4
赤ビーツは実を切ると濃い赤の汁が出るので、調理時には洋服につけないように注意してください。まな板や手も染まりますが、これはすぐに洗えば落ちます。
この時、レモンや酢を使って洗うと、脱色効果がよくなります

この濃い赤の色素は「ベタシアニン」。抗酸化作用があるとされています。
黄色いビーツの色素は「ベタキサンチン」

注5
このビーツを使う代表的なスープが「ボルシチ」。あの赤い色はビーツの色です。
しかしながら加熱し過ぎると色があせてしまうので、下茹でしておいたものを仕上がり間際に入れるのがコツです。

注6
ビーガン対応にしたい場合は、豆乳ヨーグルトを使用してください。
わたしは今回、ゴート(山羊乳)ヨーグルトを使いました。

ゴートヨーグルトは脂肪球の大きさが小さいために胃の中で蛋白の凝固が優しいのです。そのため、比較的楽に消化吸収ができます。
また、タウリンも豊富に含まれていて(牛乳の20倍)、肝臓の強化に役立ちます。カルシウム、カリウム、ビタミンB2、ナイアシンも牛乳より多く、ミネラルバランスに優れています。

独特の匂いは、現代の製品ではほとんど感じられません。やや酸味のあるヨーグルト、という感じです。

注7
注7
ココナッツ・ファインとも呼ばれますが、細かな粒状になった、乾燥ココナッツです。製菓用で販売されていることが多いです。
完全な粉状のものではなく、小さな粒のものですのでご注意ください。

もしも見つからなければ、細長い形状の「ココナッツ・フレーク」でも構いません。この場合は、少し包丁で細かくしてから使うと歯ざわりよく仕上がります。

このお料理の他、パンやお菓子に混ぜ込んだり、サラダのトッピングにしたりで食べられます。インドカレーにちょっと追加しても面白いですよ。

注8
写真では材料で紹介した量より多いビーツが入っていますが、これは余ったぶんを別の料理に使うつもりだからです。
小一時間ほどの下ごしらえが要るので、いつも少し多めに茹でます。手間もエネルギーももったいないですから、一度にやっちゃいます!

余った分は煮汁ごと冷蔵庫で保存すると、「ビーツの水煮」として3〜4日は問題なく食べられます

年が明けて真冬の今は、ファーマーズ・マーケットも「保存野菜」がほとんどです。

温室を持っているファームからは、寒くても育つ青物(ほうれん草やケールなど)が少し出たりしますが、多くのファームは今、早春からの植え付けに備えて、畑を休ませています。

そのため、ファームがマーケットに出すのは昨年の秋までに収穫されている、保存が効く野菜になります。

具体的には、根菜類やねぎ類ですね。

かぶ(パープルヘッド・ターニップなど)、ルタバガ(アブラナ科の蕪に似た野菜)、じゃがいも人参玉ねぎセルリアックビーツリークパースニップ(白人参)スクワッシュ類(バターナッツスクワッシュ、スパゲティスクワッシュ、エーコンスクワッシュなど)…どれも保存の効く野菜たちです。

その中でも、今回は玉ねぎを使ってみます。

そのままスライスして食べられるシャープな美味しさの新玉ねぎに対して、冬の玉ねぎは、熟成された美味しさがあります。

これは生で食べるよりも火を通して、甘みをしっかり味わいたいところ。

玉ねぎはもともと糖度の高い野菜なのですが(注1)、一緒に含まれている辛味成分(注2)がとても強いので、生で味わうと、そちらの方が先に感じられてしまいます。

じっくりゆっくり加熱した玉ねぎは、その辛味成分が変化して糖度の高い成分に変化しますので(注3)、甘みを強く感じられるようになります。

その甘さを活かすために、シンプルな「丸焼き」と「マリネサラダ」でいってみます!!

かなりの高確率でおうちにある野菜のひとつ「玉ねぎ」なので、思い立ったらできるのが気楽です。

その上、調理は面倒くさいことなしでオーブンにおまかせ!
他のものを作っている間に、できちゃいます。

今回の材料はこちら。

玉ねぎはしっかりと皮に包まれたものを選びます。
可食部が透けて白っぽいものより、皮が何枚かついていて茶色いもののほうが向いています。

材料<2〜3人前>

  • 玉ねぎ・中2個
  • パセリ(イタリアンでもカールでもOK)・2〜3本
  • オリーブオイル・小さじ2
  • ビネガー・小さじ2
  • ・適量(親指・人差し指・中指でふたつまみ〜)
  • 胡椒・少々

道具

  • 耐熱トレイ
  • 鍋つかみ
  • 鍋敷き
  • パーチメントペーパー(またはアルミホイル)
  • トング
  • 計量スプーン
  • ボウル

まずは、オーブンを360F(180℃)に予熱しておきます。

耐熱トレイにパーチメントペーパー(またはアルミホイル)をかぶせ、玉ねぎをできるだけ触れ合わないように置きます。

オイルなどを塗る必要はありません。

予熱が完了したオーブンにそのまま入れ、1時間〜1時間半、焼きます。

途中で1〜2回、上下を返してあげます(注4)。
長いトングを使うなどして、火傷に注意してください。

待っている間、パセリを刻んでおきます。
葉っぱだけじゃなく茎もある程度は使って、一緒に刻んでしまいましょう。

わたしはクタクタに焼けたものが好みなので、1時間半、加熱しました。
焼き上がりはこんな感じ(注5)。

玉ねぎの糖分がしみでたものが焼けてカラメル状になっているため、香ばしい匂いがします。

これをそのままお皿に乗せて、ナイフで切ったところにオリーブオイル、塩&胡椒、そして彩りのパセリをかければ…実はこれでも充分に美味しいです。

赤ワインのお供によく合いますよ!

でもせっかくだし、もうちょっと手を入れたいよね!
…ということで、マリネサラダにしましょう。

火傷に注意しながら(注6)まだ熱い丸焼き玉ねぎの皮を2〜3枚、白い可食部が出てくるまでむきます

出てきた可食部は、包丁でお好みの大きさに縦切りします。
甘皮で滑るので、丁寧に、ゆっくりやってくださいね。

切った玉ねぎをボウルに入れ、塩&胡椒、ビネガーを入れ(注7)、軽く混ぜあわせます。

塩はふたつまみも入れれば充分ですが、しっかり味にしたい時はあとひとつまみくらい足しても大丈夫です。

その後、パセリとオリーブオイルを更に加え、スプーン等でよく混ぜてあげます。

これででき上がりです。

このまま冷まして、味をなじませてから召し上がってください。

外側のトロッとした部分と、内側のサクッとした歯ごたえが残っている部分、どちらも楽しめるように盛り付けるといい感じですね。

冷めたものは保存容器に移して冷蔵庫で保管すれば、2〜3日はもちます。

カレーのお供に、そのままサラダとして…などなど、色々に使えるスグレモノでして、優しい味付けと玉ねぎの甘味は、和食に添えても違和感がないくらいです。

それでも残ったら、スープの具材として食べるのもまたよし!

ちなみに、冷めた丸焼きでも、マリネサラダは作れます
せっかくオーブンを使うのですから、まずは丸焼きを熱々で楽しんだ後、残りをマリネサラダに…という「一石二鳥」もいいと思います。

冷めた丸焼きをサラダにする場合、温かいまま味付けする場合よりも塩が少しなじみにくいので、できれば一晩おいてから食べるといい感じです。

塩の代わりにお醤油を使っても、面白い味に仕上がりますよ!

夏から秋の恵みである保存野菜をいかに丁寧に美味しく食べるかが、真冬の楽しみでもあります。

それに、オーブンを使った料理はキッチンの空気も温まるので、なんともホッとしますよね。寒い日にぜひ、やってみてください!


注1
野菜類の中でも最も糖質多く含まれ、果糖、ブドウ糖、ショ糖がほぼ同じくらいの量で含まれています。

注2
「硫化アリル」という硫黄化合物で、玉ねぎの刺激のある香りもこの成分がもとになっています(にんにくにも含まれます)。玉ねぎの効用としてよく知られている「血液をサラサラにする」という働きはこの成分によるものです。

アレルギー対策(免疫機能の向上)に効く成分でもありますが、加熱すると失われてしまうので、アレルギー対策には生で食べると有効です。
しかしながら、水溶性の成分でもあるので、水にさらさず、お酢などの酸味で辛味を和らげるほうがベターです。

この「硫化アリル」の揮発性を利用して、玉葱を横切り(繊維に対して水平)にしたものを部屋に置くと、咳が止まる…というのを、最近の「風邪または咳対策」としてよく見ます。
部屋がちょっと玉ねぎくさくなるそうですがw、確かに有効だそうです!

注3
加熱した硫化アリルは糖度の高い「プロピルメルカプタン」という物質に変化します。火を通した玉ねぎがとても甘いのはこのためでもあります。

注4
「ひっくり返し」はそんなに神経質にやらなくてもOKです。
わたしはいつも1回、上下を返しただけで済ませてしまいますが、特に問題はないです。

注5
耐熱トレイは熱くなってますので、トレイを置く際には鍋敷きなどを利用してください。

注6
冷たい水を少し出しながら、もしくはボウルに張るなどして、指先を冷やしつつやってくださいね。

むいた後の皮は、野菜出汁に使えます。コクのある出汁がとれますよ。
この場合、オーガニックまたは低農薬・無農薬の玉ねぎを使用し、焼く前に重曹などで表面を洗っておきます。そして、焼く前にはキッチンペーパーなどでしっかり水気を取っておいてください。

注7
使用するビネガーは、お好みのものでOKです。ワインビネガーでもいいですし、米酢でも、アップルサイダービネガーでも。
わたしが調理で使ったオリーブオイルはスペインのものでしたので、スペイン料理でよく使われるシェリー・ビネガーを使いました。コクのある香りが玉ねぎによく合います!

ビネガー以外に、レモン汁を使うのもOKです。この場合は小さじ1くらいを最初に入れて、酸味を加減してください。

12月も半ばを過ぎて、忙しい日々が続きますね。
年末&月末締めのお仕事をはじめ、年内にやっておきたいことを片付けるのはもちろん、忘年会にクリスマスにとイベントも多いこの時期。

ごちそうの連続、忙しさや疲労のためについ、ごはん抜きになったりと、食事のバランスやタイミングも崩れがちです。

そんな時、材料さえあれば10分以内に食べられるものがあったら…。
助かることも多いのではないでしょうか。

しかもそのごはんが、簡単で身体に優しく、しかも健康的ときたら…。
ちょっと覚えておくのは悪くないですよ!

…というわけで、今日も野菜ごはん、いってみまーす!

今回、紹介するのは、「豆乳を使った麺類」です。
ベジラーメンのひとつに「豆乳ラーメン」があるくらい、「豆乳を使った麺類」は菜食好きの方にポピュラーなメニューです。

でも、ラーメンとなると麺をゆでて、具材を用意して…と、ちょっと手間も時間もかかります。そこで、今回は麺類の中でも「あっという間」に茹で上がるもの「そうめん」を使います。

要は豆乳のスープにそうめんが入った温かい麺なのですが、出汁をとる必要はありません

忙しかったり疲れてる時なんですから、細かいことはやってられませんw
スープに直接、そうめんを入れて茹でちゃいます。

出汁を使っていないのに、ちゃんと食べられるものに仕上がるのはちょっと面白いですよ。

でも、少しだけ注意すべき点とコツがあります。

まずは、使用する豆乳です。
乳製品の代替で豆乳を飲んでらっしゃる方も多いと思いますが、豆乳はそもそも飲み物ではありません。

そのため、飲みやすくなるよう、また、牛乳の代替え品として牛乳と同じような栄養がとれるよう、添加物が配合されていることがあります(注1)。

この添加物がくせもので、飲む時は問題ないのですが(注2)温めたりなどの調理に使うと、分離したり粘りが出たりして問題を起こしがちです。

なので、使用する豆乳はぜひ、無添加のものを選んでください。

わたしがいつも使っているのは「West Soy」の無香料(Original)・無加糖(Unsweetened)のもの(注3)。

パッケージには無香料、無加糖の表示、そしてUSDAオーガニックの認証NON GMO Projectの認証、以前ご紹介したコーシャー・マーク(注4)もついてます。

原料はオーガニックの大豆と水だけ

調理に向いているのは、こういう豆乳です。
香料はもちろん、加糖しているものも避けてください。

そして、味付けのキモになるのが、そうめんに含まれる「塩」です。

そうめんは場合によっては塩抜きで作られているものがありますが、今回は塩を使って作られているものを使ってください

スープで直接、麺を茹でるので、その「麺に含まれる塩」が、よい風味付けになってくれるのです。
塩抜きの麺でやると、何となくもの足らない感じに仕上がりますので、ぜひ、塩入りの麺で。

今回の材料はこちら。

アクセントにラー油を使用しますが、辛いのが苦手な方は、七味や黒胡椒をパラリ、でも構いません。
何かしらあったほうが風味が出て食べやすいので、お好みのものをどうぞ。

材料<1人前>

  • 豆乳・300cc
  • ・200cc
  • そうめん・一束(50g〜100g)
  • ネギ(白ネギでも万能ねぎでもOK)・お好きなだけ
  • 醤油・小さじ1〜2
  • ラー油・少々

道具

  • 計量カップ
  • 計量スプーン
  • タイマー

そうめんは一束が50gのメーカーもあれば、100gのメーカーもありますので、お好きなだけご用意ください。
目安として、50gならば軽め、100gならばしっかりめ、という感じの量です。

また、そうめんは茹で上がりも早いですがのびるのも早いので、茹で上がったらサクサク仕上げましょう!

そのため、丼、箸、調味料(醤油)、薬味(ラー油など)は始める前に用意しておきます。
醤油は計量して、小鉢などに用意しておくと慌てずに済みます。

そうめんは茹でムラ防止のため一気に鍋へ入れられるよう、封緘を切って、ほどいておきます

では、作ります。

鍋に豆乳と水を計量して入れ、弱めの中火にします。
豆乳は非常に吹きこぼれやすいので、決して火を強くしないでください。これが大事なコツです。

豆乳+水をわかしている間に、ネギを切っておきます。
小口切りでも斜め切りでも、お好きなように。

鍋の中がわいたら、そうめんを一気に入れます。

菜箸でかたまらないようにさばいたら、火加減を少し強めつつ、吹きこぼれないように沸騰状態を保ち、2分間を目安にゆでます
かためがお好きな方は少し早めに、柔らかめが好きな方は少し長めに、お好みで時間を調節してください。

茹でている間は菜箸で軽くかきまぜ、そうめんが踊るようにしてあげます。

時間になったら一本すくって食べ、茹で加減を調べてみます。

麺が好みのかたさに茹で上がったら、ここからは手早く!
スープと麺を丼へ移してサッとお醤油をまわし入れ、ネギを乗せたらラー油をくるっと一周。

できました!

食べる時には、まずお醤油をスープになじませるよう、底から返してくださいね。

お醤油は小さじ1だとあっさり目、小さじ2にすると塩気ありの強目になります。これは体調などに合わせてお好みで。

出汁を入れていないのに、不思議と旨味のあるスープに仕上がります。

もちろん、ぜんぶ飲んでも大丈夫!
寒い日は、しっかり温まりますよ。

今回の配合(豆乳・3:水・2)ですと、とろみのあるスープになります。
もう少し汁っぽい方がよろしければ、水の割合を増やして、半々にしてみてください。

全体で500ccが一人前の目安です。
たっぷり飲みたい時には増やしても問題ありませんが、味付けの醤油は少し多めがいいかも。

時間がない日のささっとメニューに、食べ疲れ・呑み疲れした時の軽めのメニューに、呑んだ翌日や呑みの仕上げの良いざましメニューに…。

風邪気味などで体調がいまひとつの時にも、さらっと食べられそうですね。
年末年始には、きっと活躍してくれます。

とっても簡単なので、ぜひお試しくださいね!

ボリュームを出したい時には、トッピングにキムチや茹で野菜などを準備して乗せてもいいですね。
また、玉子を落としてそうめんと一緒に仕上げ、半熟玉子と一緒にするのも、元気が出そうです。

わたしもこの食べ口&手順の軽さが大好きで、冷蔵庫には豆乳を常備してあります。
この冬は、夏よりもそうめんを食べているかも!


注1
具体的にはビタミンD、カルシウムなどの栄養素、そして飲みくちを良くするための安定剤、乳化剤、味を良くするための糖類などです。
豆くささを感じさせないよう、バニラなどの香料が入っているものもありますね。

注2
添加物の身体への影響については、別の問題なのでここでは語りません。

注3
「Eden Foods」の豆乳も、同じように大豆と水だけでできているので、おすすめです。

注4
ユダヤ教の戒律を守って作られた商品である証明するものです。