No.14 サラダやジュースだけじゃもったいない!「ケール・ペスト」
真冬のファーマーズ・マーケットは、根菜のお祭りです。
じゃがいも、さつまいも、人参、玉ねぎ、蕪類(ビーツ、ルータバガ、セルリアックなどなど)。それに加えて、夏から保存されていたキャベツ、リーク、にんにくなどが売られています。
畑は次のシーズンに向けてお休み中ですから、保存がきく野菜が売られるのはもっともなこと。
その中で、冬でも葉物野菜としてがんばっているのがケールです。
寒さに強くて戸外でも越冬可能なためNY近辺でも収穫できるとあって、冬のマーケットでもよく目にします。
夏物に比べると葉は少しかたいですが、寒さにあたれば甘みが増しておいしくなります。
アブラナ科で「キャベツの元祖」とも言われるケールは、βカロテン、ビタミンE、ビタミンC、をたっぷり含み、栄養価がトップクラスであることでも有名な野菜です。
「青汁」の原料としても有名ですね。
抗酸化力が強くアンチエイジングに役立つばかりか、含まれるメラトニンには睡眠の質の改善が期待できます。
また、食物繊維が多く、酸化防止や目によいとされるルテインも含みます。
さらにはカルシウムもまた、野菜の中でトップクラス。
そんなわけで、健康を気にするニューヨーカーも大好き。
ジュースに、サラダにと、ヘルスコンシャスなお店では必ず何かメニューに加わっているほどの人気野菜です。
種類もいくつもあり、ルックスがそれぞれ異なるのも面白いところ(注1)。
でも、いざ食べるとなると、軽く炒める、ゆがく、スープに入れる、サラダにする…くらいでしょうか。
できるだけ酵素をそのままとりたいと思ったら、できれば生のままでいただきたいところです(注2)。
そこで、今回はこのケールをペーストにしてみます。
バジルで作る「バジル・ペースト」の要領で、バジルをケールに替えるのです。
酵素もそのままとれますし、ディップにパスタに和え物にドレッシングに…と何かと使える素材になってくれます。
ケールサラダやジュースにはちょっと飽きたという方、ぜひやってみませんか?
材料はこちら。
材料<2〜3人前>
- ケール・100g(一束〜・葉のみの重量)
- 松の実・大さじ2
- にんにく・ひとかけ
- パルミジャーノ・レッジャーノ(おろしたもの)・大さじ2(注3)
- オリーブオイル・大さじ3〜4
- 塩・小さじ1/2〜
- 胡椒・適量
道具
- フードプロセッサ
- 計量スプーン
- シリコンべら(またはゴムべら)
- 大きめのボウル
- サラダ・スピナー
- 焙烙やフライパン
まずは手でケールの葉っぱを摘み取ります。
大きなボウルにふんわり1杯程度で、100gくらいになります。
今回のケールは「ラシナート・ケール」。
「タスカン・ケール」「ダイナソー・ケール」の異名もある、緑の濃いケールです(注4)。
ちぎった葉っぱはよく洗い、サラダ・スピナーで水切りします。
ある程度は、水滴が残っていてもかまいません。
にんにくは皮をむき、松の実はフライパンや焙烙などで軽く炒ります(刻む必要はありません)。
まずは、フードプロセッサににんにくを丸ごと入れてスイッチオン。
10秒ほどでみじん切りになります。
そこにケールを詰め、上から塩とオリーブオイル大さじ2を加えます。
そのままふたをしたら、ふたたびスイッチオン。
ケールがだいたい粉々になったら一度ふたを開け、シリコンべらで周囲についたものを下に押し下げます。
さらに、炒った松の実とパルミジャーノ・レッジャーノ、オリーブオイル大さじ1、黒胡椒・適量を加え、もう一度スイッチオン(注5)。
わたしが使っているのは「焙烙(ほうろく)」です。ごまやお茶を炒ったりするのに使う道具です。
全体が細かく砕かれ、ペースト状にまとまって来たらできあがりです。
塩加減を見て、お好みで調整します(塩を足す場合は、もう一度、軽くフードプロセッサを回してください)。
こんな感じの、少しかためのペーストができあがります。
ゆるいのがお好みの方は、オリーブオイルをさらに追加してフードプロセッサを回してください。
できあがりを保存する時は、酸化防止のために瓶に詰めたてっぺんをオリーブオイルでおおうようにします。
保存はもちろん、冷蔵庫で。
オリーブオイルが固まるため、使う少し前に冷蔵庫から使う分だけ出して常温に戻したり、温かいものと一緒にするなどで工夫してください。
今回はチーズを使っていますが、ヴィーガン(ベジタリアン)にしたい場合は、白すりごまを使ってください。その時は、塩を少し増やすとバランスがいいと思います。
このレシピではにんにくは控えめですが、お好きな方は増量してください。
松の実がない場合は、くるみやピーナッツなど、油分の多いナッツで代替ができます。
このままパスタソースにする時は、茹で上がったパスタの茹で汁を保存しておき、茹で汁でペーストをのばすようにすると上手く麺に絡みます。
1人前で大さじ1.5〜2くらいが目安です。
サラダドレッシングにするなら、お好きな酸味(レモン汁、各種ヴィネガー)でゆるめ、お好みでオリーブオイルを足します(注6)。
和え物には、少しお湯か水を足してのばすと、具材と絡みやすいです。
パンにそのまま塗ったり、他の調味料や野菜のマッシュと混ぜてデイップにしたり、のばしたものをお魚やお肉料理のソースにしたり。
アイディア次第で色々なことに使えます。
わたしは今回、スープのガーニッシュにしてみました(注7)。
お好きなスープ(味付けは薄目の方がベター)の上にポン、っとスプーンでのせます。
食べる時はペストを崩しながら、味変するイメージでどうぞ。
寒い季節ならではのお料理、ポトフや煮込みのガーニッシュにするのもいいですね!!
柔らかい色味の中に鮮やかな緑がよく映えて、グッと見栄えが良くなりますよ。
ぜひ色々とお試しください!
基本のチリチリ葉っぱのグリーン・ケール、赤紫のチリチリ葉っぱのレッド(またはパープル)・ケール、広がった葉っぱのロシアン・ケール、細長い葉っぱのラシナート・ケールなどなど。
大きく広がった一枚葉っぱのコラード・グリーンも仲間です。
注2
当コラムでご紹介した「ケールのマッサージサラダ」の作り方はこちら。
注3
ヴィーガンにするなら、白すりごまを大さじ3用意します。この場合、塩を小さじ2/3に増やします。
注4
日本では「黒キャベツ」「カーボロネロ」と呼ばれることも。
注5
この時、ブレードが回りにくいようなら、オリーブオイルを更に大さじ1杯足してください。
注6
酸味を入れると緑色が退色しますので、酸味を使った場合は作り置きせず、使うごとに新しく作ってください。
注7
こちらのスープは、キヌア入り根菜の酒粕スープ。キヌア、バターナッツ・スクワッシュ、菊芋(サンチョーク)、ごぼう、大根、人参、じゃがいも、玉ねぎのスープを、酒粕で味付けしました。お出汁は炒め玉ねぎと昆布茶…ということで、スープはヴィーガンです!