No.25 未熟なトマトもこうすれば美味しい!「青いトマトのホットソース」
夏の始まりに寒い時期が続き、野菜のでき方が例年とは異なっていた今年。マーケットにようやく、ほぼ全ての夏野菜が揃ったのは8月も半ばになるころでした。
今年は特に、ピーマン類の生る時期が遅かったように思います。
トマトも多少、出来高に影響があったようですが、「いなわら亭」も毎年恒例の夏のトマトソースづくりを無事に終えることができました。
ソース用の原種トマトを買っているファームのおばちゃまの話では「トマトはもうほとんど終わり」だそうで、来週にはもうなくなるかも、とのこと。
わたしの友人の家庭菜園でも、実ったトマトが赤くなるのを待たずに収穫していました。そうしないと、トマトが赤くなる前に木のほうが寒さで枯れはじめてしまうからだそうです。
そのときの収穫を、いただいてきました。
未成熟の、青いトマトです。
少し追熟すると赤くなって来ますが、木で熟したもののように真っ赤にはなりません。
そうなる前にトマトから水分が抜けてしまいますから、さほど水分が抜けない間に、食べてしまうのが一番です。
シャリッとした食感と酸味とほのかな甘味があり、これはこれで美味しいものですしね。
トマトの代表的な栄養素というと、抗酸化作用がある成分としてよく知られている「リコピン」ですが、青いトマトにはあまり含まれません(注1)。
うまみ成分・グルタミン酸も完熟のものに比べると7割程度。
最近では、青いトマトには「トマチジン」という有効成分が含まれることがわかっていて、筋力の低下を防ぐ効能がある…という研究結果があります。
時折「青いトマトには毒がある」という記述も見かけますが、これは花、茎や葉に多く含まれる「トマチン」という成分のことです。
じゃがいもの「ソラニン」とおなじアルカノイド成分で、毒に相当します。
しかしながらこれは植物が自己防衛のために保持しているもの。
このことから「天然農薬」とも呼ばれます。
公表されている研究結果によると、花の段階で含まれる「トマチン」は1100mg/1kg。
完熟前の青いトマトで48mg/1kg。完熟すると0.4mg/1kg。
…ということですから、半致死量に至る量は「青トマトの大玉150個(約3kg)」となります(注2)。
あんまり現実的な話ではないですねw
…というわけで、せっかくの青いトマトを食べる方法を考えました。
有名なのはアメリカ料理としてもメジャーな「フライド・グリーントマト」、ピクルス、ジャムあたりですが、今回は、メキシコ料理で使う「トマティーヨ(Tomatillo)」の代わりを務めてもらうことにしました。
「トマティーヨ」は、トマトと同じナス科の植物。
和名は「オオブドウホオズキ」で、その名の通り、食用ホオズキの一種です。メキシコ料理には欠かせないもので、米国ではよく見かけます。
いつもならこの「トマティーヨ」を使って作るソースを、風味がよく似ている青いトマトでやってみます!
では、いってみましょう!
材料はこちら。
材料<1パイントのメイソンジャーひと瓶+少々>
- 青いトマト・大玉3個(780gありました)
- ハラペーニョ・2本(注3)
- にんにく・2かけ
- オリーブオイル・大さじ2
- 塩・小さじ1
道具
- オーブン
- 大きめの天板(トレイ状のもの)
- ミキサーまたはフードプロセッサ
- 大きなボウル
- パーチメントペーパーかクッキングシート
- 保存瓶かタッパー
オーブンは360F(180℃)に予熱します。
天板にはパーチメントペーパーを敷いておきます。
水分が多少出ますので、パーチメントペーパーの端は底を覆って天板の縁より上になるようにしてください。
トマトは洗ってヘタをとり、2センチ角くらいに切ります。
最後にミキサーにかけるので、あまり小さく切らなくてOKです。
ハラペーニョは5ミリ厚くらいの輪切り(注4)、にんにくは半割にします。
全てを大きなボウルにまとめ、塩とオリーブオイルを入れます。
材料に油と塩がよく絡むように全体を手でよく混ぜてやります(必要なら手袋をしてください)。
用意しておいた天板+パーチメントペーパーの上に、材料を重ならないように並べます。
オーブンの予熱ができたら、そのまま静かに入れ、軽い焦げ目がつくまで20〜30分、焼きます。
こんな感じで、ちょこっと端に焦げ目がつき、全体が乾いた感じになったらOKです。出てきた水分はソースの大事な材料なので、捨てないでください。
そのまま、触れるくらいの温度になるまで冷まします(注5)。
冷めた材料を、ミキサーに入れます。
パーチメントペーパーを利用して、水分ごと全部を入れてください。
ミキサーを回し、なめらかなペーストにします(注6)。
こんな感じになったらOK!
きれいな保存瓶に詰め、長期保存用の脱気(キャンニング)をしない場合は、冷蔵庫に保存して10日くらいで食べきります。
「トマティーヨ」のホットソースは「トマティーヨ」の爽やかな酸味と、ハラペーニョの辛味、そしてにんにくのコクが美味しい、「いなわら亭」の人気ソースなのですが、青いトマトでやっても、ほぼ同じものができました!
食べ方としては、まずはシンプルにタコスやケサディーヤなど、メキシコ料理のお供に。
グリルした野菜のソースとしても美味しいですし、パスタのトッピングとしても。ドレッシングのベースにしたり、カレーのブートアップにもいいですね!
わたしの辛いもの好きの友人は、トルティーヤ・チップスのディップにしたと言っていました。これもアリですね!
お肉やお魚を召し上がる方は、BBQなどでグリルした時のソースとして使うのもおすすめです。
オムレツや目玉焼きなどの玉子料理に添えたりしても、ちょっと刺激的でいい感じです!
材料のオリーブオイルをココナッツオイルに替えて作ることもできます。
この場合、ちょっと甘い香りのエスニックなホットソースができ上がりますよ!
色んなものに添えて、召し上がってみてください。
これからのファーマーズ・マーケットには、熟す前に収穫された青いトマトが出ていることもあります。
見かけたらぜひ、作ってみてくださいね。
木で熟したトマトなら、トマトの色は何であってもリコピンはたっぷり含まれます。
注2
とはいえ、完全に安全とは言い切れませんので、食べる・食べないはご自分の判断で。小さなお子さんには注意が必要かもしれません。
わたしはもちろん、知識は知識としておさえつつも、気にせず食べる派ですww
注3
この分量でしっかり辛めになります。辛いのが苦手な方は、ハラペーニョの量を減らしてください。
注4
お肌が弱い方は、ハラペーニョを触る時に手袋をすることをおすすめします。包丁もすぐに洗ってください。
間違っても、ハラペーニョを切った後の手で顔や粘膜を触らないように!!!
注5
ここまでやっておけば、この後の工程は後日でもOKです。
常温まで冷めたらきれいな容器におさめ、冷蔵庫でしっかり、保存してください。
注6
もしもミキサーが回りづらかったら、少しずつ水(材料外)を足して様子を見てください。
一気に足すとジャブジャブになってしまうことがありますので、ご注意を。