No.6 色とりどりの秋を楽しむ!「ウィンター・スクワッシュのロースト」
ファーマーズ・マーケットもすっかり秋。
夏の終わりにぱーっと華をそえていたトマトがすっかり姿を消して、根野菜、いも類、かぼちゃ類が主流になり、夏とは全く違う顔になりました。
今年は野菜のできが良い年だそうで、野菜たちがウキウキさんになっていて、とっても元気とのこと。そのおかげで、秋に春の野菜ができたりしているそうです。
そして、前回の「いも類」に続き、アメリカで「秋を感じさせる」野菜が、日本語で言うところの「かぼちゃ」。
英語では「ウィンター・スクワッシュ」です(注1)。
日本では「ペポかぼちゃ」と呼ばれることもあり、たくさんの種類があります。
意外によく知られている「そうめん南瓜」はこの種類です(注2)。
最近は「日本かぼちゃ」もすっかり有名になり、Japanese Pumpkin、またはそのまま「Kabucha(注3)」という名前で売られるようになりました。
お味はやや甘みが薄いものが多いです。
店頭では熟れきってないものが並んでいたりもしますので、購入の際は要注意です(注4)。
さて、このウィンター・スクワッシュは、日本のかぼちゃのようなポクポクしたテクスチャではなく、水分が多めのねっとり系です。
そのため、ローストして水分を飛ばしたり、マッシュしたり、スープの具材などにして食べることが多いです。
中でも、ローストはとても簡単でポピュラーな方法。
オーブンで少し時間をかけてローストすれば、たいていのウィンター・スクワッシュは美味しく食べられます。
ベータカロチン、ビタミンC、ビタミンE、そしてカリウムに食物繊維が豊富でデトックスにもぴったり。
そこで、今回はウィンター・スクワッシュを手軽に食べられる、ハーブ&スパイスを使ったローストをご紹介します。
使うのは、ウィンター・スクワッシュの中でも「一番、美味しい」という評判のデリカータ・スクワッシュ(Delicata Squash)。
細長い、20センチほどのスクワッシュで、うす黄色い皮に緑〜オレンジの縞模様が入っています。
この縞模様がオレンジになっているものが、熟れていて美味しいです。
今回の材料はこちら。
かぼちゃに合うセージとシナモンに、鷹の爪でちょっとアクセントをつけます。
材料
- デリカータ・スクワッシュ・中1個(350g弱)
- セージ・ひと枝(枝から外して葉だけにする)
- オリーブオイル・大さじ2
- シナモンスティック・10センチほど
- 鷹の爪・小2本
- 塩(ミネラルを含む、海塩などの美味しい塩)・(親指・人差し指・中指で)ふたつまみ
- 胡椒・少々
道具
- ティースプーン
- 大きめのボウル
- 麺棒またはすりこぎ棒
- ペーパータオル
- パーチメントペーパー(オーブンシート)
- アルミ箔
- 耐熱トレイ
オーブンは365F(185℃)に予熱します。
スクワッシュのヘタ部分を少し切り落とし、半割にします(注5)。
デリカータ・スクワッシュは皮が柔らか目のスクワッシュですが、皮の表面がすべりやすいので、切る際には充分に注意してください。
ティースプーンを使い、種をくり抜きます。
「ワタ」を残さないよう、丁寧にやってくださいね(注6)。
掃除が終わったスクワッシュを、1センチ強に切っていきます。
残った「ワタ」が気になるようなら、手で掃除してください。
半割ではなく、1センチ強の輪切りにしてから種を抜く方法でもかまいません。種を繰り抜いた穴の中に別の料理を入れて盛り付けたりしても、可愛いです。
切ったスクワッシュは大きめのボウルに移し、ハーブ&スパイスの準備をします。
二つ折りのペーパータオルの上にシナモンスティックを乗せ、更に上からもう一折り、ペーパータオルを重ねます。
その状態で、麺棒、またはすりこぎ棒などでシナモンスティックを叩き、クラッシュします(わたしが使っているのは石製すり鉢用の、石製のものです)。
綺麗に割れたら、ボウルへ入れます。
鷹の爪2本は、種を抜いてちぎり、同様にボウルに入れます(注7)。
セージは葉を丁寧につみ、片手一杯分を用意します。
かたい茎は入れず、葉っぱだけを丁寧につんでくださいね。
つんだ葉っぱは、ボウルの上で小さくちぎって中に入れます。
そして、「親指・人差し指・中指」でつまんだ塩をふたつまみ、オリーブオイル大さじ2、胡椒少々を全部ボウルに投入します。
ここからはおなじみ、「手」の作業です。
全体にオイル・ハーブ・スパイス・調味料がよくまわるよう、丁寧に塗りつけていきます。
全体にオイルやスパイスが行き渡ったら、しばらくそのままにして、トレイの準備をします。
耐熱トレイの上にぐるりとパーチメントペーパー(またはオーブンシート)を乗せます。
そこに、スクワッシュを重ならないように並べていきます。
ハーブ、スパイス類は焼いている時に香りがよく移るよう、箸などを使って適当にスクワッシュの上にも乗せてやります。
スクワッシュを並べ終わったら、トレイ全体をアルミ箔でおおいます。
そのまま、予熱が済んだオーブンに入れて、30分、ローストします。
30分経ったらアルミ箔をはずし、そのままの温度で10分、追加でローストします。
できあがりがこちらです。
はじっこが少し茶色くなり、全体がオイルでツヤっとした感じに。
ハーブとスパイスも焦げておらず、シナモンとセージのいい香りがします。
できました。
盛り付ける際は、ちょっと面倒ですけども、クラッシュされているシナモンスティックを取り除いてください。
意外とかたいものなので、知らずに食べると口の中を怪我したりする可能性があります。
プレートの中に盛り付けると、こんな感じです。
セージのよい香り、そして姿は見えないけれどいい仕事をするシナモン、そして時々ピリッとあたる鷹の爪の辛味。
スクワッシュも水気が抜けて、甘くてトロッとした食感になっています。
熱々はもちろん、冷めても美味しいので、お弁当やパーティなどにも向いています。
そして、この「セージ+シナモンスティック+鷹の爪」の組み合わせは、他の野菜に応用しても美味しいです。
わたしが試したのは、さつまいも、じゃがいも、人参、日本かぼちゃ。
ローストして美味しい、甘みのある野菜が向いていると思います。
他のウィンター・スクワッシュにも合うと思いますので、色んなウィンター・スクワッシュを混ぜてローストするのも、楽しそうです。
オーブン料理は手間がかかるというイメージがありますが、今回のローストは野菜にハーブ+スパイス入りのオイルを塗りつけて焼くだけ、という簡単なものなので、気軽に作っていただけます。
他のハーブ+スパイスの組み合わせになっても、またはスパイス・パウダーだけになったりしても、いいと思います(注8)。
シンプルな野菜のローストは、付け合せにも、一品にも対応できるすぐれもの。
ぜひ、お試しくださいね!
「ウィンター=冬」とあるからには、その反対の「夏」、サマー・スクワッシュもあります。日本ではおおまかに「ズッキーニ」と呼ばれるのがこの野菜です。
アメリカでは、エアルーム(原種)も含め、細いの、丸いの、平たいの、色んな色と形のサマー・スクワッシュがあります。
注2
いわゆる「パンプキン」と呼ばれるものもまた、種類が多いですが、ハロウィンの「ジャック・オ・ランタン」を作るかぼちゃのような、皮がオレンジのものをさすことが多いです。
お味はかなり水っぽいので、小さいものは詰め物をしてローストしたり、大きめのものはマッシュして香辛料とともにパイのフィリングにしたりします。
注3
何故か「Kabocha」ではなく「Kabucha」なのです。
注4
アメリカで売られている日本かぼちゃ(=西洋かぼちゃ)は、数ヶ月の熟成を経ることで、でんぷん質が糖質に変わって美味しくなります。
切る前の丸ごとの状態でなら、風通しの良い冷暗所で2ヶ月くらいの保存ができますので、若そうなものはしばらく待ってから食べるのも吉です。
皮の表面が艶としていて、ヘタ(切り口)が太い+よく乾いていて、ヘタの周りがしっかりへこんでいるものがいい感じです。
形は左右対称に丸みがあるものを。
注5
ヘタの周りをくり抜くことができるくらいに大きなスクワッシュやかぼちゃなら、まず最初にヘタの周囲へ縦方向の斜めに包丁を入れて、ヘタをくり抜いてしまいます。
その後、ヘタのあった穴から包丁を入れれば、あまり力をかけずに切ることができます。
注6
この種部分からワタを洗い流した種を軽く天日干しし、その後オーブンやフライパンなどでローストします。それの皮をむくと、パンプキンシードとして食べられます。
近年では泌尿器科の症状に効果があるということで、じわっと人気が出ているようです。
わたしはいつも、ワタごと野菜出汁の「出汁のもと」にしています。
注7
鷹の爪には辛味成分がたっぷりですので、ご注意を。事
後はよく手を洗って、しばらくは顔や粘膜などを触らないようにしてください。
注8
例として「にんにくみじん切り+クミン」「クミンパウダー+チリパウダー少々」「クミンパウダー+チリパウダー少々+メイプルシロップ」「オレガノ+コリアンダーシード」「オレガノ+タイム」「タイム+にんにくみじん切り」…。
クミンはカレーの香りのもと、というわけで、日本人には好まれやすいスパイスです。ローストしてもいい香りに仕上がります。
メイプルシロップを少し足して焼くと、味覚的に甘みが足されるので、また違った感じに。かぼちゃや人参におすすめです。
青い野菜(蕪、セロリなど)でしたら、「ハーブ+にんにく」の組み合わせならはずさないと思います。
いずれも、丸ごとのスパイスを使う時は、砕くのがお約束です。
ハーブはお手持ちだったらフレッシュを。ない時はドライでもかまいませんが、気持ちだけ量を多めにすると、素材に香りがよくつきます。
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