No.5 ちょっと変わった秋の味「さつまいものドライカレー」
9月頭の「レイバーディ・ウィークエンド」が過ぎて、全米的に「秋」です。
NY周辺も朝晩の気温がグッと下がって、紅葉が始まっているところも出てきました。
夏真っ盛りでカラフルだったファーマーズ・マーケットのお野菜も、夏野菜と秋野菜の交代のタイミング。
トマトとかぼちゃが同じお店に並ぶ、入れ替わりの時期になりました。
この時期、かぼちゃ類とともに「秋を告げる野菜」として出てくるのが、いも類です。
夏じゃがいもも、すっかり大きくなって並んでいます。
そして、秋のいも類というと思い出すのはやっぱり、さつまいも…ですね!
焼き芋、芋きんぴら、スィートポテトなどのお菓子、大学芋、お出汁で炊いたおばんざい風…。
秋から冬にかけて色々な楽しみ方ができる、優秀な野菜のひとつです。
さつまいもの主成分はデンプンですが、カロリーそのものは白米のごはんよりも低めです。
食物繊維は100gあたりに対してはそれほど多くはありませんが、結果的に食べる量が他の野菜よりも多めになるので、効率よく摂取することができます。
また、さつまいもを切った時に出てくる「白い液」=ヤラピンという成分は腸のぜん動運動を促しますので、食物繊維との相乗効果でお腹のお掃除に役立ちます。
ビタミンC、ビタミンE、そしてカリウム、銅、マグネシウムなどのミネラルもいっぱい(注1)。
特に、ビタミンCはじゃがいも同様、デンプンに包まれているため、加熱しても壊れにくいという特徴があります。
ビタミンEは体内の酸化を防止する「若さのビタミン」として有名ですね。
最近は和野菜の流行もあり、金時芋が普通に「Japanese Yam」として売られるようになりました。
油や甘味料と一緒に調理するお菓子では、どうしてもカロリーが気になってしまいますが、今回はこの金時芋を、インド風のドライカレーにしてみます。
和風も洋風もいいけれど、たまにはスパイシーなさつまいもはいかがでしょう。
身体をあたためるスパイス類(注2)、そして一緒に調理するしょうがが、季節の変わり目の冷えやすい身体をサポートしてくれます。
この芋ひとつでおよそ200gくらいです。
隣にある緑の葉っぱは、カレーリーフ(カリパタ)と呼ばれる、インドのハーブです。使わなくてもOKですが、もし手に入るようならぜひ、使ってみてください(注3)。
使用するスパイス類は、普通のスーパーで手に入れやすいものばかりです。マスタードシードは、クミンシードでも代用可能です。
唐辛子を使いますが、辛いのが苦手な方は使わなくてもOKです。
辛さ対策としては、チリパウダーも加減してみてください。
しかしながら、あまり減らすとカレーらしさがなくなってしまうので、半分程度を目安に。
材料
- さつまいも・200g程度(中1個)
- カレーリーフ・ひと枝(枝から外して葉だけにする、なければ使わなくてもOK)
- 植物油・大さじ1
- しょうが・ひとかけ(千切り)
- 青または赤唐辛子・1本(縦に切れ目を入れて種を取りのぞく(注4))
- 水・100cc
- マスタードシード(またはクミンシード)・小さじ1/2
- パウダースパイス<コリアンダーパウダー・小さじ1/4、チリパウダー・小さじ1/4、ターメリックパウダー・小さじ1/8>
- 塩(ミネラルを含む、海塩などの美味しい塩)・小さじ1/4
道具
- 厚手の鍋
- 木べら(または竹べら)
- 計量スプーン
- 計量カップ
- 包丁
- まな板
- 小皿(計量したスパイスを保管します)
- ボウル
さつまいもは皮付きのまま、一口大に切ります。
切ったさつまいもはしばらく、水に放しておきます。
スパイスは計量し(パウダースパイスは一緒にしておいてかまいません)、しょうが・唐辛子・カレーリーフはそれぞれ下ごしらえをします(わたしは辛いのが好きなので、唐辛子を2本入れています)。
さつまいもはざるに上げ、水を切っておきます。
ここまでできたら、厚手の鍋に油とマスタードシード(またはクミンシード)を入れ、弱火にかけます。
マスタードシード(またはクミンシード)のまわりに泡ができたら、カレーリーフを入れます(注5)。
カレーリーフがしんなりしたら、しょうがと唐辛子を入れ、軽くまぜます。
さらに、水気を切ったさつまいもを入れ、水も入れます。
へらでざっくりと全体を混ぜあわせたら、蓋をして5〜10分程度、さつまいもが柔らかくなるまで弱火で火を通します(注6)。
煮過ぎには注意して下さい。
柔らかくなったさつまいもに、計量しておいたパウダースパイスを入れます。
さらに、塩も入れます。
全体をもう一度混ぜ合わせ、中火にして5〜10分、加熱します。
このように水気がなくなり、スパイスが全体に絡んだら、できあがりです。
はい、できました。
さつまいもの甘さとスパイスの風味&辛味がマッチして、いつものさつまいも料理とはちょっと変わった食べ方ができます。
千切りしょうががぴりっと効くのも、アクセントになっていい感じです。
パンに添えてもいいですし、そのままおかずとして食べても。
カレーリーフも、そのまま食べられますよ。独特の香味があって、いいアクセントになります。
わたしはこの日、こんな風に「おかず」として一皿の中に盛り込みました(下部中央がさつまいものドライカレーです)。
おかずとして食べる他、別のカレーとチャパティやライスを添えて、ターリー(インドの定食)風に楽しむのも面白いですね。
実は、アーユルヴェーダをはじめとして、インド料理は野菜ごはんの宝庫なんです。カレーだけじゃなく、炒めものやスープなど、おかずの一品として食べられるものもたくさんあります。
それらは、またの機会にご紹介しましょう。
さつまいもは寒い場所が嫌いです。
冷蔵庫には入れず、一本ずつ紙袋や新聞紙で包んで、室内の冷暗所に保存して下さい。
注2
スパイス類は一時的に身体を温めて発汗を促しますが、「陰陽」の分類では「陰」、つまり体を冷やす素材とされます。
インドやアフリカなどの暑い国で発汗によって熱を発散し、体を冷やすもの…と考えるとわかりやすいです。
とはいえ、大事なのはバランス。
一度にたくさん取り過ぎたりしなければ大丈夫です。
注3
南インドの料理を作るには欠かせない、ごまのような香りのある葉です。
インド系のスーパーマーケットや、ハーブの専門店などで入手可能です。ドライのものを売っていることもあります。
注4
唐辛子の中身には辛味成分がたっぷりですので、種を取りのぞく時は慎重に。箸の先などを使うと便利です。
事後はよく手を洗って、しばらくは顔や粘膜などを触らないようにしてください。
注5
カレーリーフを入れると、油はねしますのでご注意を!
もしカレーリーフを使わない場合は、この工程は無視してください。
注6
さつまいもの水分や切り方、火力によって時間が変わるので、5分程度したら蓋をとってチェックし、柔らかくなり過ぎないように火を通して下さい。
目安は、さつまいもの表面が粉っぽくなくなり、やや透明感が出た感じです。
菜箸などで刺して、煮上がりを確認するのもいいですね。
今回の場合は、少しかための状態で次のステップに行ってください。
今回のレシピは、マバニマサコさんの「ベジ豆カレー」を参考にしました。
ご興味のある方はぜひ、読んでみてください。カレー以外のお料理もたくさん載ってます。