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今回はちょっと番外篇として、ペンシルヴァニア州にあるアーミッシュ・カントリーを訪ねた時の話をします。

アーミッシュは、ペンシルヴァニア州や中西部、そしてカナダのオンタリオ州などに居住している、ドイツ系の移民(一部にオランダ系も含まれます)の「宗教集団」と呼ばれている人々です。

アーミッシュは移民当時の生活を守って農耕や牧畜を行い、自給自足で生活をしています。基本的に当時の生活様式を守るために電気は使わず、一般的な通信機器なども保持しません。

一部には風力や水力(水車)による蓄電式の電気を使う家庭もあるそうですが、それは馬車のウィンカーを充電したりなど、ごく一部に利用するためだとか(注1)。

ハリソン・フォード主演の映画「刑事ジョン・ブック」でアーミッシュの存在を知った方も多いのでは。

わたしが訪ねたのはペンシルヴァニア州のランカスター近辺です。
NYCからは車で3時間ほどかかりました。

近代以前の道具を使用するので、農耕もミュールというロバと馬の交配種を使い、木製の鋤で耕す姿を見かけます。
自動車にも乗らず、一頭立ての馬車で車道を移動しており(注2)、滞在中に何回かすれ違うことがありました。

かれらが作った野菜や牧畜製品(牛乳、チーズ、玉子、加工肉、食肉など)は、「アーミッシュ・マーケット」と呼ばれる市場や、かれらが庭先や馬車用のガレージなどを利用して販売している「スタンド」で買うことができます。

アーミッシュの農作物は「近代化」していないため、農薬や化学肥料を使いません。認証こそありませんが、全てオーガニックなのです。
そのため、その美味しさには定評があり、人気もあります。

わたしがまず連れて行ってもらったのは、「アーミッシュの人たちのコンビニ」でした。
小さな商店で、薬草や精油などを含む生活用品から食料品までを売っているところです。

レジをしてくれるのはもちろん、アーミッシュの女性。

アーミッシュの女性は「ボタンは宝石である」という考え方から、ピンで止めただけの清楚な服を着用します(注3)。
髪は切らずにうしろでまとめ、カバーリングと呼ばれる白い帽子のようなものをつけて、まとめた部分を隠していました。

かれらの服は色や柄が全てコミュニティで取り決められていて、未婚・既婚、未成年・青年、もしくは年齢で色やスタイルが変わります。

この店で見つけたのが、わたしが平素に使っている「塩」
ユタ州で生産される「Real Salt」という製品なのですが、枕のような大袋で売っているのを見てビックリ!

後日に訪れたマーケットでも小分けで販売されていて、どうやらアーミッシュの人々のお気にいりのようです。

店の奥には大きな冷蔵コーナーがあり、野菜・乳製品・肉類・玉子などがありました。
店の中の棚には冷蔵庫を使わずに野菜を保存するためと思われるピクルス類乾燥させた穀類などが売られています(注4)。

とはいえ、売られている既成の食品の中には一般の人達が使うものも含まれていて、添加物入りのものもかなりありました。

次に向かったのは、ご主人が車に乗っていることから、おそらくメノナイトのご家庭。

大きなクーラーボックスの中に野菜やベリー類を入れて無人販売しているのですが、この値段がとってもお安いのです!!

写真のいんげんは一袋(500g以上あります)で$1.50!
紙袋いっぱいの、1kg以上はあるレッドスキン・ポテトも$1.50!!

トライステートあたりでは考えられないお値段です。

しかしながら、トライステート、もっと突っ込んで言うとユニオンスクエアのグリーン・マーケットと大きく違うのは、野菜の種類です。

売られているのは、昔ながらのトマト、きゅうり、いんげん、とうもろこし、ピーマン、ズッキーニ、ビーツ、じゃがいも、茄子、メロン、スイカ、黄桃など。

最近になって人気のある和野菜や、エアルームトマト、色の変わった新種のものなど、ユニオンスクエアあたりでみかける野菜は全くありません

近代化しない生活を送るアーミッシュには、必要のないものだからでしょう。


畑に付属している納屋を使って野菜を販売しているスタンド。
素朴な野菜が並びます。
これがまたどれも美味しくて、シンプルに調理するだけで驚きの美味しさでした!


道途に家畜を放牧している姿が見られます。馬の向こうにいるのは羊たち。
奥にある主屋には、一家が住んでいるのでしょう。
家は想像よりもずっと、市街でよく見るデザインのものが多く、アーミッシュ独特のお洋服たちが戸外に干されていることや、
馬車が置かれていたりすること以外からは見分けがつきませんでした。

翌日に行った、週に一度だけ開かれるという、アンティーク&ヴィンテージのフリーマーケットと併設されたマーケット「Roots」では、アーミッシュだけではなく、一般の人も野菜や加工品などを販売していました。

敷地内には動物を売っている別棟もあり、戸外ではフリーマーケットが開かれていて大賑わい。

一般の人の店も入っているため、「外から持って来ているもの」と「地元のもの」の見分けがつきにくい…とは、案内してくれた友人談。

確かにたくさんのお店があることもあり、玉石混交という感じで見分けにくいですが、基本的にアーミッシュが売っているお店で、季節のものだけを買うのがよいと思います。

先にも書いた通り、アーミッシュは「基本的な野菜」のみ作るようですので、例えばアーミッシュの店で売っている「Japanese Eggplant(日本茄子)」は、かれらが作っていない=外から仕入れたもの…と判断できます。


このお店は一般の人のお店。やっぱりお値段はかなり安いです。
アーミッシュには基本的にカメラを向けられないので、アーミッシュのお店の写真はなしです。

大きな屋内マーケットには、アーミッシュの家具やキルトを売るお店(注5)、パン屋、瓶詰め(ピクルスやマスタードなど)専門店、はちみつ専門店、サンドイッチ屋、チーズ屋、お菓子屋…果ては文房具屋まで、色々なお店がひしめき合っています。

また、週に一度の開催+夏休みということもあって、人もいっぱい!
屋内はすれ違うのも一苦労な感じですし、外では用意されたピクニック・テーブルで食事をしている親子連れをたくさん見かけました。

やはりアーミッシュが目の前で作ってくれるフードベンダーは人気がありましたが、作っているのはどう見ても、よくある細長い白パンを割ってホイップバターを塗り、野菜や加工肉などの具を挟んだ「普通のサンドイッチ」で残念(注6)。

たくさんのベンダーがいますし、建物がクラシックな感じにまとめられていることもあって、マーケット自体は楽しめます。
でも、個人的にはスタンドを訪ねて買いに行くのが一番、楽しかったです!

アーミッシュの野菜は、素材の味がしっかりしているのでシンプルな調理が一番。

友人宅で作って好評だったトマト・パスタの作り方を、おまけでどうぞ。実は、前回の「レタスのホットサラダ」の応用編です!

パスタの種類はお好みですが、ショートよりロングの方が合うと思います。

フレッシュ・トマトのパスタ

材料<1〜2人前>

  • パスタ・160〜200g
  • 完熟トマト・中程度を2〜3個
  • にんにく・1〜2かけ
  • オリーブオイル・大さじ2
  • ・適量(親指・人差し指・中指でふたつまみ〜)
  • 胡椒・適量

道具

  • 小さいフライパン
  • ボウル
  • パスタを茹でる鍋
  • パスタを湯切りするざる

鍋に湯を沸かし、一つかみの塩(分量外)を入れて塩湯を作ります。

トマトはざく切りにして大きなボウルに入れ、塩を全体にまぶしておきます。
にんにくはみじん切りに。

グラグラにわいたお湯でパスタを茹で始めたら、小さいフライパンにオリーブオイルとにんにくを入れて、弱火にかけます。

前回もコツとして紹介しましたが油が冷たいうちから、にんにくを入れるのがコツです!

フライパンを適度にゆすって全体に熱が回るよう、そして、油にはにんにくの香りがよく移るようにしてやります。
火を強くせず、ゆっくりと。

オイルがサラサラになり、にんにくスライスがきつね色になったら火を止め、そのままトマトの入ったボウルにそのままあけます。

トマトにあたった時に「ジュ〜〜ッ」と音がしたら大成功
茹で上がったパスタを和えて、お好みで胡椒を挽いたらできあがり。

ちぎったバジル、ソテーした野菜、削ったチーズなどを加えても美味しくできますが、トマトが美味しい時期には、あえてシンプルにトマトだけでやってみてください。

もちろん、アーミッシュのトマトではなくても、今の時期の完熟トマトなら美味しく仕上がります


注1
アーミッシュの中でも「メノナイト」と呼ばれる人々は、自動車や家電をつかうこともあるそうです。

注2
成人のみが馬車を使えるので、未成年はキックボードのようなものを使っているのを見かけるそうです。その理由は「馬車より速い乗り物に乗ってはいけない」からだそう。

注3
この女性は白いエプロンの方だったので、既婚女性と思われますが、この店、実はクレジットカードが使えるので、それなりに近代化したものに触れて良い層の方だと思われます。

階層によっては、生活を遵守するために通信機器などを一切使わない方々もいます。

注4
この「Chow-chow」というのは、いろんな野菜で作ったピクルスで、レリッシュとも呼ばれます。ズッキーニ、人参、トマト、玉ねぎなどが使われていました。

注5
家具については、雪に降り込められている間に、男性陣がコミュニティの中の家に集まって作るものだそうです。伝統的なスタイルのチェストやワードローブ、小引き出し、椅子などがありました。

対して、キルトは女性のお仕事
本来はアーミッシュ用のお洋服の端切れや古着を利用して作ったもので、非常に素朴で清楚な味わいのものとされていますが、マーケットで売られているのは現代風というか、もっと華美な感じのものでした。

注6
メリーランド州で行ったアーミッシュ・マーケットでは、アーミッシュが直々に調理している(カウンターの中が調理場になっていて、男性が調理しているところが見られるのです)ローストチキンを売っていて、大変な人気がありました。

ユニオン・スクエアのグリーン・マーケットは年を通して開いていますが、たいていの地域では、冬のファーマーズ・マーケットはお休みです(注1)。

11月終わり〜12月頭から約4〜5ヶ月の休止期間を経て、5月の中頃には、いろんな街のファーマーズ・マーケットが再開されます。

が、今年はどうも天候不順で、野菜の作付けがあった時期のトライステートはとても寒かったのです。そのため、せっかく植えた野菜たちが枯れてしまい、もう一度植え直した…という農家さんも少なくないそうです。

そのせいか、野菜たちの出足も少し遅くて、寒さや涼しさに強い葉物はたくさん出ているのですが、例年でしたら5月には出回るはずの「実もの(人参、蕪類、新たまねぎなどなど)」はまだまだ(注2)。

ビーツの若い株やラディッシュが出ているくらいで、先週ようやく、露地物の苺に出会えたばかりです。

それでも毎週、訪ねるごとに野菜の種類が増えていくさまには、野菜たちの頼もしい生命力を感じずにはいられません。

そんな今のマーケットでたくさん種類があるのはこれ。
レタスたちです。

バターレタス(日本で言うところの「サラダ菜」)、ヘッドレタス、ロメインレタス、グリーンリーフレタス、レッドリーフレタス…。
彩り豊かでパリッとしたレタスたちには、農家さんの気合が感じられます。

レタスはビタミンC・E、カロテン、カルシウムなどを含みます。
油と一緒にするとカルシウムの吸収効率が上がります

茎を切ると出る「サポニン様物質」には、肝臓・腎臓の機能を高める働きも(注3)。金気を嫌うので、可能なら刃物を使わずに手でちぎってあげるといいです。

切り口が赤くなるのは、ポリフェノールが酸化しているからです。
腐食ではありませんが、そうならないうちにできるだけ早く食べてあげてください。

でも、レタスを食べると言っても、ドレッシングをかけたサラダばかりでは飽きてしまいますし、身体も冷えがちになってしまいます。

そこで、スペイン料理の前菜として有名な「Cogollos al Ajillo(コゴロス・アル・アヒージョ)」にヒントをいただいて、レタスのホット・サラダを作ってみました(注4)。

作り方はとってもかんたん!!
ちょっと一品ほしいな…なんて時や、ササッと「とりあえずの一品」を出したい時に便利ですよ!

今回の材料はこちら。

緑のレタスは、ロメインレタスです。
外側の葉を剥いた薄黄緑色の芯の部分が「ロメイン・ハート」としてスーパーでパック売りされていますが、あれの全体図はこんな感じなのです。

わたしは今回、これを4つ割りにして使いました。
大胆な感じですけども、パリパリの食感が楽しめます。

添えたのは、外葉を結構に食べて芯に近いヘッドレタスです。
こちらを使うと、柔らかい食感が楽しめます。

どちらを使うかは、お好みですが、どの場合も葉っぱをまるごと食べる素材なので、できれば無農薬栽培やオーガニックのものを選びたいところです。

材料<1〜2人前>

  • ロメインレタス・小ぶりなもの1/2個
  • にんにく・2かけ
  • バルサミコ酢・大さじ1
  • オリーブオイル・大さじ2
  • ・適量(親指・人差し指・中指でふたつまみ〜)
  • 胡椒・適量

道具

  • 小さいフライパン
  • 計量スプーン
  • ボウル

まずはレタスの根本の余分な部分を切ります。

そのままざっと洗い、葉に水を行き渡らせるよう、根本をしっかりと冷水に漬けますが、漬けすぎると栄養素が流れ出てしまうので、5分くらいで水からあげます。(注5)

その間に、にんにくを薄切りにします。
芯は特に取る必要はありません。この部分も食べられますから、食べちゃいましょう(注6)!

水からあげたレタスは半割りにします。使うのはこの半割を更に割った、1/2個ぶんです。

使用するぶんの全体を流水で手際よく洗います
特に根本に土が入っているので、流水を当ててよく洗い流します。

洗ったレタスは、ペーパータオルやふきんなどで、しっかりと水を取ります
ここをいい加減にやると美味しく仕上がりませんので、決して手を抜かず、丁寧にやってくださいね。

レタスの下ごしらえが済んだら、盛り付け用のお皿に載せておきます

ここまでできたら、ソース作りです。
小さいフライパンにオリーブオイルとにんにくスライスを入れて、弱火にかけます。油が冷たいうちから、にんにくスライスを入れるのがコツ(注7)。

フライパンを適度にゆすり、にんにくスライス全体に熱が回るように、そして、油にはにんにくの香りがよく移るようにしてやります。
焦がさないよう、ゆっくりと、慎重に。

にんにくを過熱している間、お皿に盛ったレタスには、バルサミコ酢をかけまわしておきます

オイルがサラサラになり、にんにくスライスがきつね色になったら、火を止めます。

そのフライパンをそのままレタスの上に持って行って、熱々のオイルをレタスにかけます

そして、塩をふたつまみほど全体にパラパラっとやったら、できあがりです。
お好みで胡椒も挽いてください。

シンプルながら、みずみずしいレタスの食感と、ほんのり苦味のある爽やかな風味をよく味わえる一皿です。

食べる時には、豪快にこのまま手づかみでもいいですし、ナイフで適当に切って食べるのもよしです。
また、オイルをかけてから少し放置して、半生レタス…という感じにしなっとさせてから食べるのもまた楽しいです。

使うレタスもロメインじゃないとダメということはありません。
様々なレタス、もしくはサラダ向きの青菜で作ることができます。

味の方もお好みでチリペッパーをかけたり、バルサミコをレモン汁に替えたり、オイルをごま油にしてみたりと、バリエーションも自由自在!
お醤油をかけて塩なしで作ってみるのも、面白いですね。

どの場合も、ドレッシング代わりになるオイルは少し多めが美味しいようです。

そろそろ蒸し暑く感じる日も出てきて、生野菜が嬉しい時期です。
ドレッシングがけの生野菜に飽きたら、ちょっと目先を変えてみませんか。


注1
場所によっては、温室などの半屋内を利用した「ウィンター・マーケット」が開かれているところもあります。

注2
ユニオン・スクエアのマーケットには、わたしが住んでいるコネチカット州よりも西になる、ペンシルヴァニア州などからも農家さんがやって来ます。
感覚としてあちらの野菜の出足は、2〜3週間、コネチカットより早い感じです。

注3
薬膳では「苦甘/涼」の性質を持ち、活血(血の巡りをよくする)、健脾(消化吸収を良くする)、清熱(身体の中の余分な熱をさます)、通便(腸の働きを高める)、補血(造血機能を促進する)に有効です。

注4
「コゴロス」は、スペインで食べられている、小さなレタスです。外側の葉を剥いたのではなく、最初から小さいレタスなのです。
これに、熱々のにんにくオイル(アヒージョ)をかけたものが、前菜として食べられています。

注5
この時、農薬が心配であれば、大きめボウルいっぱいの水に重曹を小さじ1杯程度を溶かした水に全体を1分漬けると(完全にではありませんが)農薬を除去できます
重曹は掃除用のものではなく、食用のものを使ってくださいね。

重曹水から引き上げたら流水でよくすすぎ、水分をきちんと取ってから使います

注6
「苦味のもとになるので取る」という説もあるのですが、わたしはそのまま食べます。
この部分は焦げやすいため、加熱時に苦味のもとになりやすいのですね。加熱時はゆっくり、そして焦がさないよう、目を離さず作業しましょう。

注7
この「オイルが冷たいうちににんにくを入れる」のは、ペペロンチーノを作る際のコツでもあります。オイルを熱してからだと、にんにくは一瞬で火が通って、焦げてしまうのです。

真冬のマーケットには、基本的に保存野菜が出回っていることはお話した通りです。
その代表格が根菜なのですが、かれらは夏から初秋までに収穫され、低温保存されていたものです。

上手に保存されたものは栄養価が失われることはありません。むしろ、いも類などはねかせたことで味わいが濃くもなります。

その根菜たちの中でも、近ごろ栄養価の高さから注目されているのが「ビーツ」です。

よく知られている「赤ビーツ」をはじめ、「黄ビーツ」「チョギア・ビーツ(ピンクのシマシマのもの)などがありますが、マーケットでよく見かけるのは「赤ビーツ」

シーズン中には葉っぱ付きで売っていますが(注1)、保存してあるものは葉っぱを落としてから保存しますので、実の部分だけで売られています。

栄養素として多いのは細胞の生まれ変わりに必要な「葉酸」、むくみ対策や高血圧対策にバッチリの「カリウム」が多く、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンEなども含まれます(注2)。

また、近年に注目されている「NO=一酸化窒素」のもととなる「NO 3=硝酸塩」が豊富に含まれていることでも有名です(注3)。
この「NO」は血管を柔らかくして血流をスムーズにし、コレステロールがたまるのを防ぎ、血栓の発生を防ぎます。

このことから「血流が良くなる」という効果が期待できるので、ビーツのジュースは「飲む輸血」とも言われています。具体的には、美肌効果、肩こり・冷え・クマの改善に良いとされます。

ジュースにする他、茹でて、または生でサラダに(注4)、スープに入れたり(注5)、オーブンでローストしたりで食べられますが、とにかくかたいので、加熱調理には時間がかかります

夏場の水分をたっぷり含んだもの(葉付きの実など)はオーブンでゆっくりローストすると皮がツルッとむけますが、冬場の保存品は水分がやや抜けているためになかなか簡単には行かないので、皮ごとまる茹でする方法がおすすめです。

皮をむくとそこから栄養素が煮汁に出てしまいますので、皮ごと下ごしらえします。

下茹での時間は実の大きさにもよりますが、小一時間ほど。
少しかたいかな、という時点で火を止めて、煮汁ごと冷ましながら予熱で火を通します。

味付けのコツは、ビーツのもつ独特の匂い「土臭さ」を消すことです。
酸味や乳製品と一緒にするなどで対応できます

では、今回はこのビーツを使って、色合いの可愛いサラダを作ってみます!

今回の材料はこちら。

ビーツは実がしっかりしていいて、頭から葉が出ていないものを選びます。
葉が出てしまうと、栄養はどんどんそちらに流れてしまうので、新芽が出ているものは避けたほうがいいです。

あまりに大きなものは火が通りにくいので、3センチほどのこぶりなものを選ぶと使いやすいです。

材料<2人前>

  • ビーツ・小ぶりなもの4個
  • お酢・小さじ1
  • ヨーグルト(注6)・大さじ2
  • ココナッツ・パウダー(注7)・大さじ1
  • ・適量(親指・人差し指・中指でふたつまみ〜)
  • 胡椒・適量

道具

  • ヘラまたはカレースプーン
  • 計量スプーン
  • ボウル

ビーツはよく洗い、皮ごと少し多めの水を張った鍋に入れて、火をつけます(注8)。1時間ほど茹でるので、水は多めの方がいいです。
ここに小さじ1のお酢を追加して、ビーツの色が綺麗に出るようにします。

お湯が煮立ったら火を弱火に落とし、小一時間ほどコトコト煮ます

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竹串や鉄串で刺してみて、ちょっとかたいかな…というところで火を止め、そのまま触れる程度に冷まします(1時間〜)。

触れるくらいに冷めたら、手にとって皮をしごくと、ツルッとむけてきます
手が赤くなりますが、洗えば落ちますのでご安心を。

皮がむけたら、一口くらいに乱切りにします。

切ったビーツはボウルに入れ、塩、胡椒、ヨーグルト、ココナッツ・パウダーを加えます。

ヘラかカレースプーンで大きく混ぜてやると、ヨーグルトがピンクになって来ます。
全体がよく混ざったら10分くらいおくと、さらに色が強くなります

これでできあがりです。

ビーツの赤で染まったピンクが鮮やかに出ます。
パッと華やかな色合いは、女性にはとってもウケがいいですよ。子どもさんも「これなぁに?」って興味を持ってくれます。

美容と健康によく、見た目も可愛いビーツサラダ、ぜひお試しくださいね!

もし、ビーツを下茹でする時間がなかったら、水煮の缶詰を使ってもできます。少し色合いが淡くなりますが、レモン汁を少し加えるなどして、色がよく出るようにしてみてください。


注1
この葉っぱももちろん、食べられます。
ビーツは実よりも葉の方に鉄分が多いので、葉付きのものを手に入れた時にはぜひ、調理して食べてください。

少しかたいので、軽く湯がいてからナムルやマリネにすると美味しいです。
胡麻和えや白和えにするのもおすすめです。

注2
葉酸とカリウムが多いため、「美容にいい」とされています。
また、この葉酸は胎児の成長にも欠かせないものなので、妊婦さんにはおすすめしたいお野菜のひとつです。

食べた時に甘いと感じるのは、ショ糖が多く含まれているからです。

注3
「NO 3(硝酸塩)」は口腔内の細菌をきっかけに変化が始まって「NO」になります。

注4
赤ビーツは実を切ると濃い赤の汁が出るので、調理時には洋服につけないように注意してください。まな板や手も染まりますが、これはすぐに洗えば落ちます。
この時、レモンや酢を使って洗うと、脱色効果がよくなります

この濃い赤の色素は「ベタシアニン」。抗酸化作用があるとされています。
黄色いビーツの色素は「ベタキサンチン」

注5
このビーツを使う代表的なスープが「ボルシチ」。あの赤い色はビーツの色です。
しかしながら加熱し過ぎると色があせてしまうので、下茹でしておいたものを仕上がり間際に入れるのがコツです。

注6
ビーガン対応にしたい場合は、豆乳ヨーグルトを使用してください。
わたしは今回、ゴート(山羊乳)ヨーグルトを使いました。

ゴートヨーグルトは脂肪球の大きさが小さいために胃の中で蛋白の凝固が優しいのです。そのため、比較的楽に消化吸収ができます。
また、タウリンも豊富に含まれていて(牛乳の20倍)、肝臓の強化に役立ちます。カルシウム、カリウム、ビタミンB2、ナイアシンも牛乳より多く、ミネラルバランスに優れています。

独特の匂いは、現代の製品ではほとんど感じられません。やや酸味のあるヨーグルト、という感じです。

注7
注7
ココナッツ・ファインとも呼ばれますが、細かな粒状になった、乾燥ココナッツです。製菓用で販売されていることが多いです。
完全な粉状のものではなく、小さな粒のものですのでご注意ください。

もしも見つからなければ、細長い形状の「ココナッツ・フレーク」でも構いません。この場合は、少し包丁で細かくしてから使うと歯ざわりよく仕上がります。

このお料理の他、パンやお菓子に混ぜ込んだり、サラダのトッピングにしたりで食べられます。インドカレーにちょっと追加しても面白いですよ。

注8
写真では材料で紹介した量より多いビーツが入っていますが、これは余ったぶんを別の料理に使うつもりだからです。
小一時間ほどの下ごしらえが要るので、いつも少し多めに茹でます。手間もエネルギーももったいないですから、一度にやっちゃいます!

余った分は煮汁ごと冷蔵庫で保存すると、「ビーツの水煮」として3〜4日は問題なく食べられます

年が明けて真冬の今は、ファーマーズ・マーケットも「保存野菜」がほとんどです。

温室を持っているファームからは、寒くても育つ青物(ほうれん草やケールなど)が少し出たりしますが、多くのファームは今、早春からの植え付けに備えて、畑を休ませています。

そのため、ファームがマーケットに出すのは昨年の秋までに収穫されている、保存が効く野菜になります。

具体的には、根菜類やねぎ類ですね。

かぶ(パープルヘッド・ターニップなど)、ルタバガ(アブラナ科の蕪に似た野菜)、じゃがいも人参玉ねぎセルリアックビーツリークパースニップ(白人参)スクワッシュ類(バターナッツスクワッシュ、スパゲティスクワッシュ、エーコンスクワッシュなど)…どれも保存の効く野菜たちです。

その中でも、今回は玉ねぎを使ってみます。

そのままスライスして食べられるシャープな美味しさの新玉ねぎに対して、冬の玉ねぎは、熟成された美味しさがあります。

これは生で食べるよりも火を通して、甘みをしっかり味わいたいところ。

玉ねぎはもともと糖度の高い野菜なのですが(注1)、一緒に含まれている辛味成分(注2)がとても強いので、生で味わうと、そちらの方が先に感じられてしまいます。

じっくりゆっくり加熱した玉ねぎは、その辛味成分が変化して糖度の高い成分に変化しますので(注3)、甘みを強く感じられるようになります。

その甘さを活かすために、シンプルな「丸焼き」と「マリネサラダ」でいってみます!!

かなりの高確率でおうちにある野菜のひとつ「玉ねぎ」なので、思い立ったらできるのが気楽です。

その上、調理は面倒くさいことなしでオーブンにおまかせ!
他のものを作っている間に、できちゃいます。

今回の材料はこちら。

玉ねぎはしっかりと皮に包まれたものを選びます。
可食部が透けて白っぽいものより、皮が何枚かついていて茶色いもののほうが向いています。

材料<2〜3人前>

  • 玉ねぎ・中2個
  • パセリ(イタリアンでもカールでもOK)・2〜3本
  • オリーブオイル・小さじ2
  • ビネガー・小さじ2
  • ・適量(親指・人差し指・中指でふたつまみ〜)
  • 胡椒・少々

道具

  • 耐熱トレイ
  • 鍋つかみ
  • 鍋敷き
  • パーチメントペーパー(またはアルミホイル)
  • トング
  • 計量スプーン
  • ボウル

まずは、オーブンを360F(180℃)に予熱しておきます。

耐熱トレイにパーチメントペーパー(またはアルミホイル)をかぶせ、玉ねぎをできるだけ触れ合わないように置きます。

オイルなどを塗る必要はありません。

予熱が完了したオーブンにそのまま入れ、1時間〜1時間半、焼きます。

途中で1〜2回、上下を返してあげます(注4)。
長いトングを使うなどして、火傷に注意してください。

待っている間、パセリを刻んでおきます。
葉っぱだけじゃなく茎もある程度は使って、一緒に刻んでしまいましょう。

わたしはクタクタに焼けたものが好みなので、1時間半、加熱しました。
焼き上がりはこんな感じ(注5)。

玉ねぎの糖分がしみでたものが焼けてカラメル状になっているため、香ばしい匂いがします。

これをそのままお皿に乗せて、ナイフで切ったところにオリーブオイル、塩&胡椒、そして彩りのパセリをかければ…実はこれでも充分に美味しいです。

赤ワインのお供によく合いますよ!

でもせっかくだし、もうちょっと手を入れたいよね!
…ということで、マリネサラダにしましょう。

火傷に注意しながら(注6)まだ熱い丸焼き玉ねぎの皮を2〜3枚、白い可食部が出てくるまでむきます

出てきた可食部は、包丁でお好みの大きさに縦切りします。
甘皮で滑るので、丁寧に、ゆっくりやってくださいね。

切った玉ねぎをボウルに入れ、塩&胡椒、ビネガーを入れ(注7)、軽く混ぜあわせます。

塩はふたつまみも入れれば充分ですが、しっかり味にしたい時はあとひとつまみくらい足しても大丈夫です。

その後、パセリとオリーブオイルを更に加え、スプーン等でよく混ぜてあげます。

これででき上がりです。

このまま冷まして、味をなじませてから召し上がってください。

外側のトロッとした部分と、内側のサクッとした歯ごたえが残っている部分、どちらも楽しめるように盛り付けるといい感じですね。

冷めたものは保存容器に移して冷蔵庫で保管すれば、2〜3日はもちます。

カレーのお供に、そのままサラダとして…などなど、色々に使えるスグレモノでして、優しい味付けと玉ねぎの甘味は、和食に添えても違和感がないくらいです。

それでも残ったら、スープの具材として食べるのもまたよし!

ちなみに、冷めた丸焼きでも、マリネサラダは作れます
せっかくオーブンを使うのですから、まずは丸焼きを熱々で楽しんだ後、残りをマリネサラダに…という「一石二鳥」もいいと思います。

冷めた丸焼きをサラダにする場合、温かいまま味付けする場合よりも塩が少しなじみにくいので、できれば一晩おいてから食べるといい感じです。

塩の代わりにお醤油を使っても、面白い味に仕上がりますよ!

夏から秋の恵みである保存野菜をいかに丁寧に美味しく食べるかが、真冬の楽しみでもあります。

それに、オーブンを使った料理はキッチンの空気も温まるので、なんともホッとしますよね。寒い日にぜひ、やってみてください!


注1
野菜類の中でも最も糖質多く含まれ、果糖、ブドウ糖、ショ糖がほぼ同じくらいの量で含まれています。

注2
「硫化アリル」という硫黄化合物で、玉ねぎの刺激のある香りもこの成分がもとになっています(にんにくにも含まれます)。玉ねぎの効用としてよく知られている「血液をサラサラにする」という働きはこの成分によるものです。

アレルギー対策(免疫機能の向上)に効く成分でもありますが、加熱すると失われてしまうので、アレルギー対策には生で食べると有効です。
しかしながら、水溶性の成分でもあるので、水にさらさず、お酢などの酸味で辛味を和らげるほうがベターです。

この「硫化アリル」の揮発性を利用して、玉葱を横切り(繊維に対して水平)にしたものを部屋に置くと、咳が止まる…というのを、最近の「風邪または咳対策」としてよく見ます。
部屋がちょっと玉ねぎくさくなるそうですがw、確かに有効だそうです!

注3
加熱した硫化アリルは糖度の高い「プロピルメルカプタン」という物質に変化します。火を通した玉ねぎがとても甘いのはこのためでもあります。

注4
「ひっくり返し」はそんなに神経質にやらなくてもOKです。
わたしはいつも1回、上下を返しただけで済ませてしまいますが、特に問題はないです。

注5
耐熱トレイは熱くなってますので、トレイを置く際には鍋敷きなどを利用してください。

注6
冷たい水を少し出しながら、もしくはボウルに張るなどして、指先を冷やしつつやってくださいね。

むいた後の皮は、野菜出汁に使えます。コクのある出汁がとれますよ。
この場合、オーガニックまたは低農薬・無農薬の玉ねぎを使用し、焼く前に重曹などで表面を洗っておきます。そして、焼く前にはキッチンペーパーなどでしっかり水気を取っておいてください。

注7
使用するビネガーは、お好みのものでOKです。ワインビネガーでもいいですし、米酢でも、アップルサイダービネガーでも。
わたしが調理で使ったオリーブオイルはスペインのものでしたので、スペイン料理でよく使われるシェリー・ビネガーを使いました。コクのある香りが玉ねぎによく合います!

ビネガー以外に、レモン汁を使うのもOKです。この場合は小さじ1くらいを最初に入れて、酸味を加減してください。

12月も半ばを過ぎて、忙しい日々が続きますね。
年末&月末締めのお仕事をはじめ、年内にやっておきたいことを片付けるのはもちろん、忘年会にクリスマスにとイベントも多いこの時期。

ごちそうの連続、忙しさや疲労のためについ、ごはん抜きになったりと、食事のバランスやタイミングも崩れがちです。

そんな時、材料さえあれば10分以内に食べられるものがあったら…。
助かることも多いのではないでしょうか。

しかもそのごはんが、簡単で身体に優しく、しかも健康的ときたら…。
ちょっと覚えておくのは悪くないですよ!

…というわけで、今日も野菜ごはん、いってみまーす!

今回、紹介するのは、「豆乳を使った麺類」です。
ベジラーメンのひとつに「豆乳ラーメン」があるくらい、「豆乳を使った麺類」は菜食好きの方にポピュラーなメニューです。

でも、ラーメンとなると麺をゆでて、具材を用意して…と、ちょっと手間も時間もかかります。そこで、今回は麺類の中でも「あっという間」に茹で上がるもの「そうめん」を使います。

要は豆乳のスープにそうめんが入った温かい麺なのですが、出汁をとる必要はありません

忙しかったり疲れてる時なんですから、細かいことはやってられませんw
スープに直接、そうめんを入れて茹でちゃいます。

出汁を使っていないのに、ちゃんと食べられるものに仕上がるのはちょっと面白いですよ。

でも、少しだけ注意すべき点とコツがあります。

まずは、使用する豆乳です。
乳製品の代替で豆乳を飲んでらっしゃる方も多いと思いますが、豆乳はそもそも飲み物ではありません。

そのため、飲みやすくなるよう、また、牛乳の代替え品として牛乳と同じような栄養がとれるよう、添加物が配合されていることがあります(注1)。

この添加物がくせもので、飲む時は問題ないのですが(注2)温めたりなどの調理に使うと、分離したり粘りが出たりして問題を起こしがちです。

なので、使用する豆乳はぜひ、無添加のものを選んでください。

わたしがいつも使っているのは「West Soy」の無香料(Original)・無加糖(Unsweetened)のもの(注3)。

パッケージには無香料、無加糖の表示、そしてUSDAオーガニックの認証NON GMO Projectの認証、以前ご紹介したコーシャー・マーク(注4)もついてます。

原料はオーガニックの大豆と水だけ

調理に向いているのは、こういう豆乳です。
香料はもちろん、加糖しているものも避けてください。

そして、味付けのキモになるのが、そうめんに含まれる「塩」です。

そうめんは場合によっては塩抜きで作られているものがありますが、今回は塩を使って作られているものを使ってください

スープで直接、麺を茹でるので、その「麺に含まれる塩」が、よい風味付けになってくれるのです。
塩抜きの麺でやると、何となくもの足らない感じに仕上がりますので、ぜひ、塩入りの麺で。

今回の材料はこちら。

アクセントにラー油を使用しますが、辛いのが苦手な方は、七味や黒胡椒をパラリ、でも構いません。
何かしらあったほうが風味が出て食べやすいので、お好みのものをどうぞ。

材料<1人前>

  • 豆乳・300cc
  • ・200cc
  • そうめん・一束(50g〜100g)
  • ネギ(白ネギでも万能ねぎでもOK)・お好きなだけ
  • 醤油・小さじ1〜2
  • ラー油・少々

道具

  • 計量カップ
  • 計量スプーン
  • タイマー

そうめんは一束が50gのメーカーもあれば、100gのメーカーもありますので、お好きなだけご用意ください。
目安として、50gならば軽め、100gならばしっかりめ、という感じの量です。

また、そうめんは茹で上がりも早いですがのびるのも早いので、茹で上がったらサクサク仕上げましょう!

そのため、丼、箸、調味料(醤油)、薬味(ラー油など)は始める前に用意しておきます。
醤油は計量して、小鉢などに用意しておくと慌てずに済みます。

そうめんは茹でムラ防止のため一気に鍋へ入れられるよう、封緘を切って、ほどいておきます

では、作ります。

鍋に豆乳と水を計量して入れ、弱めの中火にします。
豆乳は非常に吹きこぼれやすいので、決して火を強くしないでください。これが大事なコツです。

豆乳+水をわかしている間に、ネギを切っておきます。
小口切りでも斜め切りでも、お好きなように。

鍋の中がわいたら、そうめんを一気に入れます。

菜箸でかたまらないようにさばいたら、火加減を少し強めつつ、吹きこぼれないように沸騰状態を保ち、2分間を目安にゆでます
かためがお好きな方は少し早めに、柔らかめが好きな方は少し長めに、お好みで時間を調節してください。

茹でている間は菜箸で軽くかきまぜ、そうめんが踊るようにしてあげます。

時間になったら一本すくって食べ、茹で加減を調べてみます。

麺が好みのかたさに茹で上がったら、ここからは手早く!
スープと麺を丼へ移してサッとお醤油をまわし入れ、ネギを乗せたらラー油をくるっと一周。

できました!

食べる時には、まずお醤油をスープになじませるよう、底から返してくださいね。

お醤油は小さじ1だとあっさり目、小さじ2にすると塩気ありの強目になります。これは体調などに合わせてお好みで。

出汁を入れていないのに、不思議と旨味のあるスープに仕上がります。

もちろん、ぜんぶ飲んでも大丈夫!
寒い日は、しっかり温まりますよ。

今回の配合(豆乳・3:水・2)ですと、とろみのあるスープになります。
もう少し汁っぽい方がよろしければ、水の割合を増やして、半々にしてみてください。

全体で500ccが一人前の目安です。
たっぷり飲みたい時には増やしても問題ありませんが、味付けの醤油は少し多めがいいかも。

時間がない日のささっとメニューに、食べ疲れ・呑み疲れした時の軽めのメニューに、呑んだ翌日や呑みの仕上げの良いざましメニューに…。

風邪気味などで体調がいまひとつの時にも、さらっと食べられそうですね。
年末年始には、きっと活躍してくれます。

とっても簡単なので、ぜひお試しくださいね!

ボリュームを出したい時には、トッピングにキムチや茹で野菜などを準備して乗せてもいいですね。
また、玉子を落としてそうめんと一緒に仕上げ、半熟玉子と一緒にするのも、元気が出そうです。

わたしもこの食べ口&手順の軽さが大好きで、冷蔵庫には豆乳を常備してあります。
この冬は、夏よりもそうめんを食べているかも!


注1
具体的にはビタミンD、カルシウムなどの栄養素、そして飲みくちを良くするための安定剤、乳化剤、味を良くするための糖類などです。
豆くささを感じさせないよう、バニラなどの香料が入っているものもありますね。

注2
添加物の身体への影響については、別の問題なのでここでは語りません。

注3
「Eden Foods」の豆乳も、同じように大豆と水だけでできているので、おすすめです。

注4
ユダヤ教の戒律を守って作られた商品である証明するものです。

ファーマーズ・マーケットもすっかり秋
夏の終わりにぱーっと華をそえていたトマトがすっかり姿を消して、根野菜、いも類、かぼちゃ類が主流になり、夏とは全く違う顔になりました。

今年は野菜のできが良い年だそうで、野菜たちがウキウキさんになっていて、とっても元気とのこと。そのおかげで、秋に春の野菜ができたりしているそうです。

そして、前回の「いも類」に続き、アメリカで「秋を感じさせる」野菜が、日本語で言うところの「かぼちゃ」

英語では「ウィンター・スクワッシュ」です(注1)。

日本では「ペポかぼちゃ」と呼ばれることもあり、たくさんの種類があります。
意外によく知られている「そうめん南瓜」はこの種類です(注2)。

最近は「日本かぼちゃ」もすっかり有名になり、Japanese Pumpkin、またはそのまま「Kabucha(注3)という名前で売られるようになりました。

お味はやや甘みが薄いものが多いです。
店頭では熟れきってないものが並んでいたりもしますので、購入の際は要注意です(注4)。

さて、このウィンター・スクワッシュは、日本のかぼちゃのようなポクポクしたテクスチャではなく、水分が多めのねっとり系です。

そのため、ローストして水分を飛ばしたり、マッシュしたり、スープの具材などにして食べることが多いです。

中でも、ローストはとても簡単でポピュラーな方法。
オーブンで少し時間をかけてローストすれば、たいていのウィンター・スクワッシュは美味しく食べられます。

ベータカロチン、ビタミンC、ビタミンE、そしてカリウムに食物繊維が豊富でデトックスにもぴったり

そこで、今回はウィンター・スクワッシュを手軽に食べられる、ハーブ&スパイスを使ったローストをご紹介します。

使うのは、ウィンター・スクワッシュの中でも「一番、美味しい」という評判のデリカータ・スクワッシュ(Delicata Squash)。

細長い、20センチほどのスクワッシュで、うす黄色い皮に緑〜オレンジの縞模様が入っています。
この縞模様がオレンジになっているものが、熟れていて美味しいです。

今回の材料はこちら。

かぼちゃに合うセージとシナモンに、鷹の爪でちょっとアクセントをつけます。

材料

  • デリカータ・スクワッシュ・中1個(350g弱)
  • セージ・ひと枝(枝から外して葉だけにする)
  • オリーブオイル・大さじ2
  • シナモンスティック・10センチほど
  • 鷹の爪・小2本
  • 塩(ミネラルを含む、海塩などの美味しい塩)・(親指・人差し指・中指で)ふたつまみ
  • 胡椒・少々

道具

  • ティースプーン
  • 大きめのボウル
  • 麺棒またはすりこぎ棒
  • ペーパータオル
  • パーチメントペーパー(オーブンシート)
  • アルミ箔
  • 耐熱トレイ

オーブンは365F(185℃)に予熱します。

スクワッシュのヘタ部分を少し切り落とし、半割にします(注5)。

デリカータ・スクワッシュは皮が柔らか目のスクワッシュですが、皮の表面がすべりやすいので、切る際には充分に注意してください。

ティースプーンを使い、種をくり抜きます
「ワタ」を残さないよう、丁寧にやってくださいね(注6)。

掃除が終わったスクワッシュを、1センチ強に切っていきます。
残った「ワタ」が気になるようなら、手で掃除してください。

半割ではなく、1センチ強の輪切りにしてから種を抜く方法でもかまいません。種を繰り抜いた穴の中に別の料理を入れて盛り付けたりしても、可愛いです。

切ったスクワッシュは大きめのボウルに移し、ハーブ&スパイスの準備をします。

二つ折りのペーパータオルの上にシナモンスティックを乗せ、更に上からもう一折り、ペーパータオルを重ねます。

その状態で、麺棒、またはすりこぎ棒などでシナモンスティックを叩き、クラッシュします(わたしが使っているのは石製すり鉢用の、石製のものです)。

綺麗に割れたら、ボウルへ入れます。

鷹の爪2本は、種を抜いてちぎり、同様にボウルに入れます(注7)。

セージは葉を丁寧につみ、片手一杯分を用意します。
かたい茎は入れず、葉っぱだけを丁寧につんでくださいね。

つんだ葉っぱは、ボウルの上で小さくちぎって中に入れます。

そして、「親指・人差し指・中指」でつまんだ塩をふたつまみ、オリーブオイル大さじ2、胡椒少々を全部ボウルに投入します。

ここからはおなじみ、「手」の作業です。
全体にオイル・ハーブ・スパイス・調味料がよくまわるよう、丁寧に塗りつけていきます。

全体にオイルやスパイスが行き渡ったら、しばらくそのままにして、トレイの準備をします。

耐熱トレイの上にぐるりとパーチメントペーパー(またはオーブンシート)を乗せます。
そこに、スクワッシュを重ならないように並べていきます

ハーブ、スパイス類は焼いている時に香りがよく移るよう、箸などを使って適当にスクワッシュの上にも乗せてやります

スクワッシュを並べ終わったら、トレイ全体をアルミ箔でおおいます

そのまま、予熱が済んだオーブンに入れて、30分、ローストします

30分経ったらアルミ箔をはずし、そのままの温度で10分、追加でローストします

できあがりがこちらです。

はじっこが少し茶色くなり、全体がオイルでツヤっとした感じに。
ハーブとスパイスも焦げておらず、シナモンとセージのいい香りがします。

できました。

盛り付ける際は、ちょっと面倒ですけども、クラッシュされているシナモンスティックを取り除いてください
意外とかたいものなので、知らずに食べると口の中を怪我したりする可能性があります。

プレートの中に盛り付けると、こんな感じです。

セージのよい香り、そして姿は見えないけれどいい仕事をするシナモン、そして時々ピリッとあたる鷹の爪の辛味。

スクワッシュも水気が抜けて、甘くてトロッとした食感になっています。
熱々はもちろん、冷めても美味しいので、お弁当やパーティなどにも向いています。

そして、この「セージ+シナモンスティック+鷹の爪」の組み合わせは、他の野菜に応用しても美味しいです。

わたしが試したのは、さつまいも、じゃがいも、人参、日本かぼちゃ。
ローストして美味しい、甘みのある野菜が向いていると思います。

他のウィンター・スクワッシュにも合うと思いますので、色んなウィンター・スクワッシュを混ぜてローストするのも、楽しそうです。

オーブン料理は手間がかかるというイメージがありますが、今回のローストは野菜にハーブ+スパイス入りのオイルを塗りつけて焼くだけ、という簡単なものなので、気軽に作っていただけます。

他のハーブ+スパイスの組み合わせになっても、またはスパイス・パウダーだけになったりしても、いいと思います(注8)。

シンプルな野菜のローストは、付け合せにも、一品にも対応できるすぐれもの
ぜひ、お試しくださいね!


注1
「ウィンター=冬」とあるからには、その反対の「夏」、サマー・スクワッシュもあります。日本ではおおまかに「ズッキーニ」と呼ばれるのがこの野菜です。
アメリカでは、エアルーム(原種)も含め、細いの、丸いの、平たいの、色んな色と形のサマー・スクワッシュがあります。

注2
いわゆる「パンプキン」と呼ばれるものもまた、種類が多いですが、ハロウィンの「ジャック・オ・ランタン」を作るかぼちゃのような、皮がオレンジのものをさすことが多いです。

お味はかなり水っぽいので、小さいものは詰め物をしてローストしたり、大きめのものはマッシュして香辛料とともにパイのフィリングにしたりします。

注3
何故か「Kabocha」ではなく「Kabucha」なのです。

注4
アメリカで売られている日本かぼちゃ(=西洋かぼちゃ)は、数ヶ月の熟成を経ることで、でんぷん質が糖質に変わって美味しくなります。
切る前の丸ごとの状態でなら、風通しの良い冷暗所で2ヶ月くらいの保存ができますので、若そうなものはしばらく待ってから食べるのも吉です。

皮の表面が艶としていて、ヘタ(切り口)が太い+よく乾いていて、ヘタの周りがしっかりへこんでいるものがいい感じです。
形は左右対称に丸みがあるものを。

注5
ヘタの周りをくり抜くことができるくらいに大きなスクワッシュやかぼちゃなら、まず最初にヘタの周囲へ縦方向の斜めに包丁を入れて、ヘタをくり抜いてしまいます

その後、ヘタのあった穴から包丁を入れれば、あまり力をかけずに切ることができます。

注6
この種部分からワタを洗い流した種を軽く天日干しし、その後オーブンやフライパンなどでローストします。それの皮をむくと、パンプキンシードとして食べられます。
近年では泌尿器科の症状に効果があるということで、じわっと人気が出ているようです。

わたしはいつも、ワタごと野菜出汁の「出汁のもと」にしています。

注7
鷹の爪には辛味成分がたっぷりですので、ご注意を。事
後はよく手を洗って、しばらくは顔や粘膜などを触らないようにしてください。

注8
例として「にんにくみじん切り+クミン」「クミンパウダー+チリパウダー少々」「クミンパウダー+チリパウダー少々+メイプルシロップ」「オレガノ+コリアンダーシード」「オレガノ+タイム」「タイム+にんにくみじん切り」…。

クミンはカレーの香りのもと、というわけで、日本人には好まれやすいスパイスです。ローストしてもいい香りに仕上がります。

メイプルシロップを少し足して焼くと、味覚的に甘みが足されるので、また違った感じに。かぼちゃや人参におすすめです。
青い野菜(蕪、セロリなど)でしたら、「ハーブ+にんにく」の組み合わせならはずさないと思います。

いずれも、丸ごとのスパイスを使う時は、砕くのがお約束です。
ハーブはお手持ちだったらフレッシュを。ない時はドライでもかまいませんが、気持ちだけ量を多めにすると、素材に香りがよくつきます

9月頭の「レイバーディ・ウィークエンド」が過ぎて、全米的に「秋」です。
NY周辺も朝晩の気温がグッと下がって、紅葉が始まっているところも出てきました。

夏真っ盛りでカラフルだったファーマーズ・マーケットのお野菜も、夏野菜と秋野菜の交代のタイミング
トマトとかぼちゃが同じお店に並ぶ、入れ替わりの時期になりました。

この時期、かぼちゃ類とともに「秋を告げる野菜」として出てくるのが、いも類です。

夏じゃがいもも、すっかり大きくなって並んでいます。
そして、秋のいも類というと思い出すのはやっぱり、さつまいも…ですね!

焼き芋、芋きんぴら、スィートポテトなどのお菓子、大学芋、お出汁で炊いたおばんざい風…。
秋から冬にかけて色々な楽しみ方ができる、優秀な野菜のひとつです。

さつまいもの主成分はデンプンですが、カロリーそのものは白米のごはんよりも低めです。

食物繊維は100gあたりに対してはそれほど多くはありませんが、結果的に食べる量が他の野菜よりも多めになるので、効率よく摂取することができます

また、さつまいもを切った時に出てくる「白い液」=ヤラピンという成分は腸のぜん動運動を促しますので、食物繊維との相乗効果でお腹のお掃除に役立ちます

ビタミンC、ビタミンE、そしてカリウム、銅、マグネシウムなどのミネラルもいっぱい(注1)。

特に、ビタミンCはじゃがいも同様、デンプンに包まれているため、加熱しても壊れにくいという特徴があります。
ビタミンEは体内の酸化を防止する「若さのビタミン」として有名ですね。

最近は和野菜の流行もあり、金時芋が普通に「Japanese Yam」として売られるようになりました。

油や甘味料と一緒に調理するお菓子では、どうしてもカロリーが気になってしまいますが、今回はこの金時芋を、インド風のドライカレーにしてみます。

和風も洋風もいいけれど、たまにはスパイシーなさつまいもはいかがでしょう。

身体をあたためるスパイス類(注2)、そして一緒に調理するしょうがが、季節の変わり目の冷えやすい身体をサポートしてくれます。

この芋ひとつでおよそ200gくらいです。

隣にある緑の葉っぱは、カレーリーフ(カリパタ)と呼ばれる、インドのハーブです。使わなくてもOKですが、もし手に入るようならぜひ、使ってみてください(注3)。

使用するスパイス類は、普通のスーパーで手に入れやすいものばかりです。マスタードシードは、クミンシードでも代用可能です。

唐辛子を使いますが、辛いのが苦手な方は使わなくてもOKです。

辛さ対策としては、チリパウダーも加減してみてください。
しかしながら、あまり減らすとカレーらしさがなくなってしまうので、半分程度を目安に。

材料

  • さつまいも・200g程度(中1個)
  • カレーリーフ・ひと枝(枝から外して葉だけにする、なければ使わなくてもOK)
  • 植物油・大さじ1
  • しょうが・ひとかけ(千切り)
  • 青または赤唐辛子・1本(縦に切れ目を入れて種を取りのぞく(注4))
  • ・100cc
  • マスタードシード(またはクミンシード)・小さじ1/2
  • パウダースパイス<コリアンダーパウダー・小さじ1/4、チリパウダー・小さじ1/4、ターメリックパウダー・小さじ1/8>
  • (ミネラルを含む、海塩などの美味しい塩)・小さじ1/4

道具

  • 厚手の鍋
  • 木べら(または竹べら)
  • 計量スプーン
  • 計量カップ
  • 包丁
  • まな板
  • 小皿(計量したスパイスを保管します)
  • ボウル

さつまいもは皮付きのまま、一口大に切ります。

切ったさつまいもはしばらく、水に放しておきます。

スパイスは計量し(パウダースパイスは一緒にしておいてかまいません)、しょうが・唐辛子・カレーリーフはそれぞれ下ごしらえをします(わたしは辛いのが好きなので、唐辛子を2本入れています)。

さつまいもはざるに上げ、水を切っておきます。

ここまでできたら、厚手の鍋に油とマスタードシード(またはクミンシード)を入れ、弱火にかけます。

マスタードシード(またはクミンシード)のまわりに泡ができたら、カレーリーフを入れます(注5)。

カレーリーフがしんなりしたら、しょうがと唐辛子を入れ、軽くまぜます。

さらに、水気を切ったさつまいもを入れ、水も入れます。

へらでざっくりと全体を混ぜあわせたら、蓋をして5〜10分程度、さつまいもが柔らかくなるまで弱火で火を通します(注6)。
煮過ぎには注意して下さい。

柔らかくなったさつまいもに、計量しておいたパウダースパイスを入れます。

さらに、塩も入れます。

全体をもう一度混ぜ合わせ、中火にして5〜10分、加熱します。

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このように水気がなくなり、スパイスが全体に絡んだら、できあがりです。

はい、できました。

さつまいもの甘さとスパイスの風味&辛味がマッチして、いつものさつまいも料理とはちょっと変わった食べ方ができます。
千切りしょうががぴりっと効くのも、アクセントになっていい感じです。

パンに添えてもいいですし、そのままおかずとして食べても。
カレーリーフも、そのまま食べられますよ。独特の香味があって、いいアクセントになります。

わたしはこの日、こんな風に「おかず」として一皿の中に盛り込みました(下部中央がさつまいものドライカレーです)。

おかずとして食べる他、別のカレーとチャパティやライスを添えて、ターリー(インドの定食)風に楽しむのも面白いですね。

実は、アーユルヴェーダをはじめとして、インド料理は野菜ごはんの宝庫なんです。カレーだけじゃなく、炒めものやスープなど、おかずの一品として食べられるものもたくさんあります。

それらは、またの機会にご紹介しましょう。


注1
さつまいもは寒い場所が嫌いです。
冷蔵庫には入れず、一本ずつ紙袋や新聞紙で包んで、室内の冷暗所に保存して下さい。

注2
スパイス類は一時的に身体を温めて発汗を促しますが、「陰陽」の分類では「陰」、つまり体を冷やす素材とされます。
インドやアフリカなどの暑い国で発汗によって熱を発散し、体を冷やすもの…と考えるとわかりやすいです。

とはいえ、大事なのはバランス
一度にたくさん取り過ぎたりしなければ大丈夫です。

注3
南インドの料理を作るには欠かせない、ごまのような香りのある葉です。
インド系のスーパーマーケットや、ハーブの専門店などで入手可能です。ドライのものを売っていることもあります。

注4
唐辛子の中身には辛味成分がたっぷりですので、種を取りのぞく時は慎重に。箸の先などを使うと便利です。
事後はよく手を洗って、しばらくは顔や粘膜などを触らないようにしてください。

注5
カレーリーフを入れると、油はねしますのでご注意を!
もしカレーリーフを使わない場合は、この工程は無視してください。

注6
さつまいもの水分や切り方、火力によって時間が変わるので、5分程度したら蓋をとってチェックし、柔らかくなり過ぎないように火を通して下さい。

目安は、さつまいもの表面が粉っぽくなくなり、やや透明感が出た感じです。

菜箸などで刺して、煮上がりを確認するのもいいですね。
今回の場合は、少しかための状態で次のステップに行ってください。

今回のレシピは、マバニマサコさんの「ベジ豆カレー」を参考にしました。
ご興味のある方はぜひ、読んでみてください。カレー以外のお料理もたくさん載ってます。

夏真っ盛り、ファーマーズ・マーケットにもたくさんのお野菜が並んでますね。
旬の栄養があるだけではなく、目にもうるわしい色とりどりのお野菜を楽しむのは、心にも身体にも元気をくれます

この時期のお野菜は、栄養たっぷりで香りもしっかり
シンプルに調理するだけで美味しくいただけます。

とはいえ、たくさんのお野菜を楽しむと、使い切りに苦心することはないですか?

あれやこれやと買い込んだものの、少しずつ余ってしまったお野菜を、最後まで楽しむにはどうしたらいいか…。

刻んでスープ、パスタ、炒飯に入れたり、ざっくり炒めて五目炒めにしたり…色んな方法がありますけども、今回ご紹介するのは、身体、特に腸が喜ぶ「ごはん」です。

腸が喜ぶ…というと、その代表格は「善玉菌」とも呼ばれる「乳酸菌」ですね。

この乳酸菌は、大きく分けると「動物性」と「植物性」があります。

「動物性」は、動物性の母体(乳など)で発酵を行うもので、チーズやヨーグルトに含まれています。ヨーグルトを健康のために毎日食べる…と言う方も少なくないでしょう。

でもこの乳酸菌、健康な方の場合は99%が胃酸で死んでしまいます
これは人間の免疫機能によるもので、外部から入ってきた菌を攻撃することによって起きるものです。

しかしながら、菌の「死体」は、腸に運ばれ、腸に存在する善玉菌の栄養になりますので、決して無駄ではありません。

対して「植物性」の乳酸菌は、植物(野菜など)を母体にして発酵を行うもので、漬物、味噌、日本酒などに存在します。
この「植物性」乳酸菌は、「動物性」に比べて強く、胃酸にも負けずそのまま腸まで届きます

また、高濃度の塩分にも強いため、漬物や味噌などの環境下でも問題なく発酵できるのです。

そんなピッチピチの乳酸菌をたっぷりととれる野菜ごはんを作ってみましょう。材料はわざわざ買ってこなくとも、家にある「使いさしの野菜」で充分なんです!

半端に残った野菜もこれで使いきれる上、身体にもよい一石二鳥の野菜ごはん、それが「発酵野菜」です。

要は「漬物」なので、白菜漬け、ぬか漬け、ザワークラウトなど、お仲間はたくさん存在しますが、今日は使いさしの野菜で作る「瓶漬け」をご紹介します。

この瓶漬けは、浅漬や無発酵ピクルスのような「漬け汁」を使って作る簡易の漬物ではなく(注1)、野菜自身の水分で発酵させる、ホンモノの「漬物」です。

今回のお料理で使うのは、何はさておき、保存瓶です。

できれば、ゴムパッキンのついたもので、しっかりと密封できる広口のものが好ましいです(注2)。大きさは適当で構いませんが、後で冷蔵庫に入れますので、冷蔵庫に入る程度の大きさにして下さい。

わたしが使ったものは、高さ16センチ、瓶底直径9センチのものです(IKEA製)。

材料はこちら。
冷蔵庫で保存してあった、使いさしの野菜たちです。

野菜はかたいもの(汁気の多くないもの)で、生食できるものなら何でもOKです。

汁気の多いもの、つまり、トマトなどは向いていません。
また、いも類や堅すぎる野菜(ごぼうなど)も向いていません。「スライスしただけでサラダで食べられる野菜」という判断基準でいいかと思います。

果物は、りんごやなしなど、汁気のないかためのものなら使えます。

今回用意したのは、きゅうり、大根、ズッキーニ、人参、玉葱、ハラペーニョ、にんにく、ピーマン。およそ300gくらいです(注3)。

材料

  • 使いさしの野菜や果物
    <きゅうり、大根、ズッキーニ、人参、玉葱、ハラペーニョ、にんにく、ピーマン、ビーツ、蕪、セロリ、りんご…など>
  • (ミネラルを含む、海塩などの美味しい塩)・野菜の全体量の5%

道具

  • 広口瓶
  • 電卓
  • 計り
  • 大きめのボウル
  • 包丁
  • まな板
  • スライサー
  • ラップ

広口瓶はきれいに洗い、しっかりと乾かしておきます。
厳密な消毒は必要ありません(注4)。

まずは、野菜をよく洗い(注5)、好みの厚さにスライスします。
スライサーを使ってもいいですし(ガードを使うなどして、怪我に注意してください!)、包丁で切ってもいいです。

少し歯ごたえを残したいものは、やや厚めに切るといいでしょう。

切った野菜は、計量します。
重量の5%の塩分を加えるため、この計量は必須です。

普段は計りを使わない方も、今回は必ず、きちんと計量してください

野菜を大きめのボウルに移し、野菜の重量の5%の塩を計算し、野菜全体にふりかけます

塩が野菜全体に回るよう、手でまぜていきます。

全体に塩が回ったら、そのまま30〜40分、放置します

30分後、ボウルを傾けるとこのように、野菜から水が出ています。
この水が「漬け汁」になるので、決して捨てないで下さい

もっと水が出るよう、野菜をもみます
野菜を壊さないよう、でもしっかりと水を出してもらえるよう、キュッキュッ、ともみます。

もんだあとの野菜はこんな感じ。
しっかりと水が出てますね。

この野菜を、広口瓶に手で詰めていきます。
できるだけすき間がないよう、こぶしを使ってギュッと詰めます

最後に、野菜から出た水分を注ぎ、野菜の上まで水が来ているのを確認します。

この時点で、野菜からの水が少なく、野菜の上まで水が来ていないようなら、「5%水溶液(水の量=重量に対して5%の塩を溶かしたもの)」を作り、野菜の上まで水が来るようにしてください

そのままの状態で野菜の上にラップをかぶせ、野菜たち全部が水にひたるようにします(わたしが後でキャベツを追加したので量が増えております…ごめんなさい!)。

そして、瓶のふたを「かぶせるだけで開けたまま(決してふたをしないでください!)」、風通しの良い常温の場所に放置します。
暑すぎる場所、直射日光の当たる場所などは腐敗の原因になりますので、ご注意下さい。

瓶のふたを開けたままにするのは、空気中に自然に存在する菌たちの力を借りるためです。
常温での工程が終わって冷蔵庫での熟成に入ったら、蓋をして保存します。

夏なら3日ほど、冬なら5日ほどで、発酵してきます。

毎日、瓶の中の匂いをかいで、無事に発酵していることを確かめてあげてください。

漬物などでかぐことのできる、ちょっと酸っぱいにおいでしたら問題ありません。

もし、不愉快な匂い(腐敗臭、硫黄臭など)がしたら、その瓶は残念ながら失敗です。コンポストに利用するか、ゴミとしてお別れするなどしましょう(注6)。

こちらは、今回以前にわたしが作った「発酵野菜」です。
ピンクの色は、ビーツから出ています。

実は、ビーツの色は酸によって抽出されるものなので、乳酸菌発酵が上手く行っていると、このように色素が抽出され、全体が赤くなります。

上手く行っているかどうかの目安になるので、初心者のかたは使ってみるのも便利です。ビーツ独特の風味は、思ったほど、味には影響しません。

また、緑の野菜も同様で、乳酸菌発酵が上手く行くと、緑からモスグリーンに変わってきます。ぬか漬けが古漬けになると、そうなりますよね。発酵具合を確かめるのに、これも使えます。

さて、3日後です。

「泡」が出ているのがおわかりいただけますでしょうか?
これ、乳酸菌発酵によるものなのです。

また、きゅうりの緑色がモスグリーンになっていますね。前述のとおり、これは乳酸菌が活発に活動して、発酵が順調に進んでいる証拠です。

こうなったら、常温での過程は終了です。

季節や湿度により、発酵の進み具合は異なりますので、毎日観察して、判断してあげてください
この「泡」が出る段階になると、においはだいぶ漬物っぽくなっていて、酸味をしっかりと感じられます

この後は、瓶のふたをしっかり閉じて、冷蔵庫での熟成期間に入ります(注7)。5日〜一週間後から食べられます

保存は1ヶ月ほどを目安に(注8)。
酸っぱすぎる、匂いが変わった、食感が変わった、などの異変があったら、その時点で食べるのをやめてください

5%塩分の漬物なので、それなりにしょっぱい漬物です。

そのまま食べて問題ありませんが、しょっぱいと感じたら、他の野菜の薄切りにまぜたり、豆腐に載せたり、炒飯の具材にしたりと、塩分を分散して食べてみてください。

スープなどに漬け汁ごと使っても美味しいですが、この場合、残念ながら煮立てることで乳酸菌は死んでしまいます。

この日のメニューにある、鮮やかなピンクのものが、わたしが以前に作った発酵野菜です(上記でご紹介したものです)。

こんな感じでちょっと添えるだけでも、乳酸菌をしっかりとることができるので、非常に便利です。

毎日の食卓に小鉢にちょっと取って添える、そんな食べ方ができる「常備菜」です。もちろん、やり方によってはメニューの中心にもなります(注9)。

この5%の塩分で漬ける、ということに慣れると、ヨーロッパ式の本格ピクルスや、ザワークラウトも作れるようになります。
いずれ、ご紹介しますね!


注1
浅漬や、漬け汁(ピックル液)を使うピクルスは「無発酵」のため、摂取できるほどは乳酸菌がいません(実は、乳酸菌自体がそんじょそこらにいますので、絶対にいない、とはいえないのですが…たくさんはいませんw)。

注2
手で野菜を詰める作業があるので、手がすっぽり入る広口瓶が向いています。

注3
実は、最後に物足りなくてキャベツを加えてしまいましたので、できあがりの写真は600g弱の野菜で作ったものになっています。ごめんなさい!

注4
空中に漂っている菌たちの力を借りるので、消毒に神経質になる必要はありません(煮沸消毒までは不要と思います)。手洗いも同様です。ぬか床と同じで、手についている菌が美味しくしてくれるのです。

注5
オーガニックでない場合は、重曹を使うなどして農薬をしっかり取りましょう。

参考>【今すぐやりたい!】重曹で野菜・果物の農薬除去がカンタンに♪

注6
わたしはいつも適当に発酵させていますが、失敗したことはありません。発酵具合の目安になる野菜を材料に加えるなどして、気軽にやってみてください。

注7
最初から冷蔵庫で進めることもできると思いますが、低温発酵になるため、かなり時間はかかります(2週間以上かかるのではないかと思います)。
そのまま忘れてしまった…ということにもなりかねないので、最初の数日は、常温で発酵させるのをおすすめします。

注8
わたしは半年ほど経過したものを食べていますが、それでも問題はありません。

注9
例えば、ごはんにまぜて、まぜ寿司やまぜごはんにしたりなどはいかがでしょう。薬味をたっぷり載せれば、かなり豪華になります。冷たい麺類の薬味にたっぷり使っても美味しそうです。

※2018年5月、使用する瓶の消毒について、補足しました

季節は夏、ファーマーズ・マーケットにも夏野菜が揃ってきて、お買い物も料理も楽しい時期です。

この季節の野菜は見た目が美しいだけじゃなく栄養もたっぷり、お値段も手頃で非常にありがたい存在です。購入したフレッシュなお野菜は、とにもかくにもすぐに調理して、お味を楽しむ、または封じ込めるのが大事!

でも、手間はそんなにかけなくても大丈夫。
ちょっと焼いたり煮たりするだけで、時にはそのまま、塩や簡単なドレッシングで食べるだけでも充分です!

今回は「すぐに使える封じ込め技」と、スーパーなどでも見かけるけど、今ひとつ「どうしていいかわからない」野菜のひとつ…「フェンネル」をご紹介しましょう。
甘くさわやか、かつ個性的な香りの野菜(注1)です。

フェンネル=ウイキョウ(茴香)は、地中海沿岸が原産の野菜ですが、日本には平安時代から入って栽培されているものです。薬用、食用、観賞用とあります。

主には種をスパイスや薬として利用しますが、「フローレス・フェンネル」と呼ばれる種類は、株の部分を食べる「野菜」として、アメリカでもよく栽培されています。

「フェンネル(Fennel)」の他「アニス(Anise)」と呼ばれることがあり、フランスでは「フヌイユ(Fenouil)」、イタリアでは「フィノッキオ(Finocchio)」と呼ばれます。

夏の終わりや冬のはじめに、玉葱のようにまんまるになった株がよく売られていますが、これをスライスしてサラダに、ローストして、パスタの具として、またはスープに入れたりと、個性的な香りを楽しみます。

今回、買い求めたのはまだちょっと若い感じの、細い株です。

今年は冬が長かったため、春から夏になる時期にトライステート周辺の野菜の生育が約1ヶ月ほど遅れていたのですが…そのせいもあるのか、この時期にはプックプクの株も、今年はまだちょっとスリムです。

この、株の上の方についている「茎&葉」は、もちろん食べられます(注2)。

今回はこのフェンネルをシンプルにローストしてみます。
野菜のお味の「封じ込め技」というわけです。

今回のお料理に使うのは、このハーブ二種類。
タイムとオレガノです。

材料

(アペタイザーサイズ2人前)

  • フェンネル(ひと株)
    <オプションとして、パプリカ半個、ズッキーニ小1個など>
  • ハーブ(片手にのる程度・1杯(注3))
  • ・小さじ1/4
  • オリーブオイル・大さじ3
  • 胡椒・少々
  • パーチメントペーパー・適量

まずはオーブンを190℃(380F)に予熱します。

フェンネルは茎の部分を切り離し、外側のかたい部分を剥いて外します(注4)。

綺麗にした株は四つ割りに。
まだ若い株なので縦長ですが、最盛期になると玉葱のように丸い株になって、形状がかなり変わります(注5)。

ハーブは茎から丁寧に葉っぱを外してやります。
茎は野菜ブロスの材料になりますよ(注6)。

みじん切りにして、少し大きめのボウルに移します。

塩、胡椒、オリーブオイルを入れます。

そこに、四つ割りにしたフェンネルをペーパータオルで丁寧に水気をとってから入れ、手でハーブ&オイルをなじませていきます。

株の根本にもオイルが入るように丁寧に、全体をよくなでつけます。

前回同様、今回も「手」は大活躍!
丁寧な仕事ができるので、ぜひ手を使ってやってみてくださいね。

天パンにパーチメントペーパー(オーブンシート)を敷き、その上にハーブ・オイルをまとった野菜をのせていきます。

このハーブ・オイルの残りは、他の野菜にも使えます。
どうせオーブンを使うなら、使い回しのきく野菜も一緒に調理しちゃいましょう!

夏場にオーブンを使うのはちょっと暑苦しいですけども、野菜を一度に調理してから保存しておけば、冷たい状態でも食べられるので、時間がある時にまとめてやると便利です。

冷蔵庫で保存すれば2〜3日はもちますし、冷たくても美味しく食べられます。イタリアンな前菜としても、冷たいパスタにのせたり、付け合せとしてメインに添えたり…アレンジは自由自在

今回は、細めのスィートペッパーの4つ割、エアルームきゅうりの四割(半個分)を追加しました。
素材がバラバラの時は、厚みや大きさを揃えるように準備すると、焼きムラができません。

つまり、かたいものは小さく、または薄めに、柔らかいものは大きく、または厚めに…という具合です。

が、フェンネルは基本的にかたい野菜ですので、お供の野菜が柔らかい時(ピーマンなどの、果肉が薄い野菜の場合)は、先にフェンネルを10〜15分くらい焼いてから、残りを一緒にしてください。

わたしはフェンネルのかたい歯ごたえも好きなので、全部を同じ時間で焼きました。

フェンネルだけなら、180℃(370F)25〜30分でOKです。
まずは25分焼き、できあがりを確かめてから追って焼くと失敗が少ないです(注7)。

目安は、素材の先っぽが少しこげたり、焼き色がついた感じです。
この焼き時間で、ほとんどの野菜には火が通りますので、後はお好みで調整してみてください。

さて、できました。

ハーブみじん切り+オリーブオイルをまとわせて焼いただけなのに、何だかすごく仕事をした感じに見えるのも、この野菜ローストのいいところ。

おもてなしにつかうなら、前日に準備しても大丈夫です。
シンプルな風味のローストなので、使い道は色々です。

このハーブみじん切り+オリーブオイルをまとわせて焼く…というのは、全シーズン使える調理法でもあります。

野菜が半端に余った時など、この方法でまとめてローストしておけば、半端野菜も「具だくさんの野菜ロースト」に変身!!
おろしたチーズをささっとかけたりしたら、立派な一皿です。

和風の素材、れんこんやごぼうも、薄切りにして使うと合いますよ。
根菜類などのかたい素材の場合、軽く(2〜3分)下茹でしてからローストするという手もあります。

ただし、水が出る素材(トマトなど)と水が出にくい素材(いんげん、キャベツ、根菜類など)を同じトレーでローストするかどうかはお好みで(注8)!

夏のディナーもこれで充実!
ワインにもビールにも合いますよ。


注1
種であるスパイスも同じ系統の香りで、青臭いながら甘い、独特の香りです。カレー、野菜のロースト、時にはデザートにも合わせたりします。

注2
ただし、茎はかなりかたいことが多いです。
食べられそうな柔らかさなら、スライスしてサラダに混ぜたり、スープに入れて煮たりして食べます。

葉っぱはこんなふうに茎から摘んでおけば、飾りやサラダに混ぜたりして使えます。

注3
今回はタイムとオレガノを使っていますが(目安として、それぞれを二枝くらい)、バジルでもマジョラムでもミントでも、お好きなものを使って下さい。

ハーブなんか全然ない、という時でも、パセリがあれば十分です!

注4
この外側の部分の綺麗なところは、薄くスライスしてサラダにしたり、少し時間をかけて煮込んだりすると充分に食べられます(トマトソースで味付けしたり、スープの具にしたり、色々できます)。

一番外側の、ちょっと汚れた部分も、洗ってから煮込み料理を作る時の下ごしらえとして入れると、香り付け&臭み消しにもなります。

注5
プックプクの株はこんな感じです。
今回のがまだ成長途中のスリムな株だということを、おわかりいただけます。

photo credit: aurélien. via photopin cc

注6
以前にも書きましたが、オーガニックでない場合は、よーく洗ってから使ってくださいね。

注7
焼き加減は、鉄串や竹串を、かたい根本などに刺して確かめます。
スッと入れば柔らかくなってますが、少し抵抗がある時はまだかためなので、少し焼き時間を延長してください。

注8
水が出やすい野菜と出にくい野菜を一緒にローストすると、トレーの野菜が水気の多い野菜の汁にひたってしまうのですね…。
それはそれで美味しいのですけど、汁にひたった野菜はいまいち…という場合は、一緒にしないほうがいいです。

ぷちぷちコラム「フェンネルのサラダ」

茎や外側のかたい部分、もしくは今回ローストした株の部分は、サラダにも出来ます。

スライスした後は(スライサーを使うと便利です)、氷水につけてパリっとさせると美味しいです。
しばらくつけた後、手でさわってパリっとしたら、サラダスピナーなどでよく水をってドレッシングと和えます。

摘み取った葉っぱも、一緒にしてみてください。

オリーブオイル+白バルサミコ+塩胡椒で和えただけでも美味しく食べられます。肉や魚の付け合せにもぴったり。

他にも、オリーブオイル+レモン+塩胡椒のベーシックなお味もよし、このフェンネルの香りによく合う柑橘類(オレンジ、グレープフルーツなど)を具にして足してもまた別の美味しさです。

ラディッシュの薄切りなんかも、よく合いますよ。
彩りも綺麗で可愛い感じになります。

さて、あなたが普段、一番良く使う調理器具って、なんですか?
包丁? 菜箸? ヘラ??  おたま???

わたしの場合、一番良く使う調理器具は「手」です。

サラダを作るとき、和え物を作るとき、いつでも手で混ぜ込みます。
その手が感じる「感触」で、でき具合を判断するのです。

手、特に日本人の手ってものすごく繊細にできてます。
ちょっとした調味料の混ざり具合や温度、素材の硬さなどが全て把握できるのです。

いわば「最高の調理器具」

ソースと素材を和える調理のとき、ヘラやお箸で混ぜてませんか?
それはすごくもったいないです。

熱いものを混ぜるときには仕方がないですけども(火傷しちゃいますからねw)、常温以下のものを調理する時には、ぜひ、手を使ってみてください
汚れたら洗えばいいだけで、普通の調理器具と変わりません。

でも、その「最高の調理器具」が感じる情報は、ものすごく多いのです。

今日はその、「手」を使う野菜ごはんを紹介します。


青汁の原料でもあり、ちょっと健康を考える人ならば食べておきたい素材、ケール

アブラナ科の野菜で、温暖な気候であれば季節を問わず栽培がたやすく、オールシーズン、買うことができます。

日本ではなかなか入手が難しいようですが、アメリカではそれこそ、スーパーでも扱うくらいのレギュラー商品です。

ビタミンAは人参の2倍、カルシウムも豊富、各種ミネラル、葉緑素、ギャバ、食物繊維、葉酸、タンパク質もたっぷり。抗酸化物質のルテインも含まれるという、「健康野菜」の代名詞のような存在です。

とはいえ、あのゴワゴワした葉っぱを食べるには、ちょっと勇気がいるのも事実。

お店で食べるサラダにも入っていたりしますが、苦味のある野菜でもあるので、刻んだものがそのまま入っているだけでは、正直、美味しいとは感じにくいですね。

そのケールを、食べやすいサラダで食べる方法をご紹介しましょう。
今日のお料理は「ケールのマッサージ・サラダ」です!

かつてのわたしもケールをサラダで食べることはあまりしませんでしたが、友人が作ってくれたこの「マッサージ・サラダ」はとても美味しくて、ケールサラダのイメージをひっくり返してくれました。

そして、レシピを教えてもらったところ、その簡単さにビックリ!
それ以後、自宅で何回も作り、色んなバリエーションで楽しんでいます。

主役のケールも、色んな種類がありますね。

普通に見かけるものだけでも、緑の葉っぱがチリチリしている「グリーンケール」、チリチリの葉っぱの縁が赤くなっている「レッドケール」、ゴツゴツした葉っぱの「ラシナート・ケール(ダイナソー・ケール、とも言います)」、広がった葉っぱの「ロシアン・ケール」…。

色んなケールがありますが、葉っぱを食べるものですので、ぜひ、オーガニックのものを選んでください。

今回使うのは、この「ロシアン・ケール」です。
葉が柔らかめで、食べなれない人にでもとっつきやすいケールです。

材料

(アペタイザーサイズのサラダ2人前、フルサイズのサラダ1人前)

  • ロシアンケール(半束ほど、ちぎった葉っぱを両手いっぱいに2杯)
  • 赤玉葱・小1/2個
  • ブロッコリの小房・3個
  • スィートペッパー・1個
  • クレソン・3〜4本
  • エクストラバージン・オリーブオイル・大さじ1
  • 醤油・大さじ1
  • レモン汁・大さじ1
  • 胡椒・適宜

今回、一緒にサラダになってもらうのはこの野菜たち。
「お供」はこうでなくてはならないというルールはありません。サラダで食べる野菜なら、お好みのものを何でも使ってください。

まずはケールを洗います。
金気を嫌うので、茎から手でむしって、食べやすい大きさにちぎります。

このくらいの大きさが食べやすいです。

茎の部分は、柔らかいものなら炒めて食べられますし、多少かたくてもスムージーやジュースの材料にしたりできます
わたしはいつも、野菜出汁の材料にして、お出汁をいただいてます。

ちぎって洗ったケールは、しばらく水に放します
多少しなびてしまったケールも、こうやって水に放すことで、元のようにパリっとします(注1)。

ケールを浸水している間に、材料の野菜を切ります。
お好きなサイズ、お好きな薄さにしてください。スライサーを使っても構いません。

切れた野菜たちです。
クレソンはペーパータオルに載せて水気を切ります。他の野菜はボウルにひとまとめにしておきます。

レモンを絞ります。

浸水してパリっとしたケールは、サラダスピナーで水気をしっかり切ります

さて、ドレッシングの準備です。

3つの素材「油・塩気・酸味」を全部同量、大きめのボウルに入れます。
胡椒も好きな感じで足します。

そこにまず、ケールを入れて、手でケールを「マッサージ」します。
つまり、揉みながらドレッシングとなじませます

柔らかいケールなら軽めに、かたいケールならキュッキュッと力を入れて。

この感覚は、「手」でないとつかめません。
「最高の調理器具」たる理由は、これなのです!!

全体の混ざり具合や、葉っぱとドレッシングの馴染み具合を手で感じてみてください。

こんな感じでまとまったら、OKです。

更に、他の野菜も入れて全体を和えます。
この時はもう「揉む」必要はないので、上下をよく返して、全体をなじませてください

はい、これが出来上がりです。

最後にヘンプシードを足して、仕上げました。

実際のプレートにはこんな感じで、レタスの上に載せてみました。
醤油とケールのほろ苦さがマッチして、パクパクいけますよ。

このドレッシングのポイントは「油・塩気・酸味」を揃えることです。
今回の組み合わせ以外にも、こんなのができます(注2)。

  • オリーブオイル・塩・マスタード
  • ヘンプオイル・醤油・バルサミコ
  • ごま油・醤油・黒酢
  • オリーブオイル・塩・アップルサイダービネガー
  • タヒニ(白ゴマペースト)・塩・レモン

大事なことは、「塩」を使う時だけは、油&酸味の量の1/4以下にすることです。人差し指・中指・親指で塩を摘んで、ふたつまみくらいにしてください。

油と同じ量の塩を入れたら、しょっぱくて食べられませんから、どうか注意してくださいね!

ケール以外の野菜は何でもいいですので、お好きなものを入れてください。

ボリュームが欲しい時は、野菜だけじゃなく、ツナ缶、茹でたチキン、ゆで玉子、小さく切ったチーズなんかを入れたりしても、美味しく食べられます。

ナッツやドライフルーツをトッピングしたりもナイス!
レモンの皮をおろして入れたり、唐辛子を混ぜてみたりしてもいいですね。

これからの季節なら、プチトマトやざく切りのトマトを、ケールといっしょに「揉んで」、旨味をしっかり出して食べるのも美味しいです。

醤油を使った時は和食にも合ったりしますし、ヴァリエーションは発想次第で色々。
サラダにタンパク系の素材を足してボリュームアップするもよし、お好きなパンやシンプルなパスタをお供にして食べるもよしです。

この夏、さっぱりブランチやランチに、ぜひ試してみてくださいね!

注1
要は水分が失われてしなびているだけなので、水を補給すれば戻る…というわけです。

注2
実は個人的なオススメは、オリーブオイル+醤油+ベリーのジャム&ビネガー少々、なのです。
ベリーのジャムの甘さと醤油が意外なほどマッチして、ひと味違った雰囲気になります。

オススメのジャムは、「リンゴンベリー(Lingonberry)・ジャム」。
北欧でしか食べないベリーのジャムですが、WholeFoodsなどでは入手可能です。